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西陣病院外科の紹介

(この記事は2005年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです。掲載時より年月が経過しておりますのでスタッフの変更等ございます。ご了承ください。)


外科部長 宮垣拓也


 当院は昭和9年に西陣地区の福祉事業施設として創設されましたが、外科の歴史は比較的新しく、本格的に稼動し始めるのは、昭和62年に中村隆一先生(昭和39年卒)が常勤医(副院長兼外科部長)として赴任されるまで待たねばなりませんでした。
以後、日本外科学会・日本癌学会等を主宰した伝統ある京都府立医科大学旧第一外科の流れを汲む消化器外科学教室の協力を得て、徐々に形を整え、10年間中村先生をサポートしてこられた北尾善孝先生 (昭和60年卒)が平成14年以降二代目部長として、ますます当科を発展さすべく頑張ってこられましたが、残念ながら平成17年の3月をもちまして退職されました。尚、両先生には現在も非常勤医として外来診療をお手伝いして頂いております。

 スタッフはこの4月から責を担うことになった宮垣拓也(昭和61年卒)、福本兼久 (平成6年卒)、高木剛(平成7年卒) と紅一点、水田有紀 (平成14年卒)の4名です。
(水田医師は平成18年3月に転勤のため現在当院では勤務しておりません。平成18年4月より中瀬有遠医師 (平成8年卒)が着任しております。)
卒後10年から20年の脂がのりきった外科医中心で、チームワークも抜群、皆ベッドサイドに張り付くことを厭わない頼もしい仲間です。

 「良い医療とは、患者さんの命を助けることなんだ。そして、臨床家をやる限りは、1年365日、1日も休まず患者さんを診続けること。例えば、金曜の夜から月曜の朝までね、休みなんかとって患者さんから目を離していたら、患者さんどんどん死んじゃうわけ…。医者が患者さんをちゃんと診ていくということが大切なんだ。」

第106回 日本外科学会会長 幕内雅敏先生の言葉です。こういったことが求められ、3Kとも5Kとも言われる外科を志願する医学生は年々減る一方ですが、我々は「現場に神宿る」ならぬ「ベッドサイドに神宿る」 の精神で日夜診療に励んでいます。

opim1 診療の中心は言うまでもなく手術。消化器癌を主に過不足のない手術を目指し、症例を選び積極的に鏡視下手術も行っています。地域柄、80歳以上の高齢者の手術も日常茶飯事(90歳を超える方も稀ではありません) で、透析患者さんの手術も多く、苦労も多いのですが、皆さんがにこやかに元気で退院されるのが何よりの喜びです。その笑顔を見ると今までの苦労も吹き飛び、外科医冥利につきます。4月以降、地域の先生方のお力添えもあり、手術症例も飛躍的に伸び、気を引き締め頑張っていきたいと思っています。また、残念ながら手術だけでは治るのが難しい患者さんも少なからずおられ、化学療法 (副作用が少なく効果的な抗癌剤治療)、緩和医療(症状コントロールをきちんとして、肉体的苦痛は勿論、精神的、社会的苦痛をできるだけ緩和していく治療) も大きな柱と考えています。

 以前、東京で日本医師会創立50周年記念大会が催されました。その中で元東大学長の森亘先生が「美しい死 品位ある医療のひとつの結果」と題して特別講演をされました。森先生は病理学が専門。「優に千を数える」解剖の体験をもとに 「必要にして十分な治療を施された遺体にはそれらが見事に反映され、それなりの美しさが感じられる」なぜか「その疾患の結末として起こるべくして起こった変化の集まりであり、大きな修飾は感じられない」からで「節度ある医療であり、品位ある医療である」「節度ある医療は、知識、技術、教養、品位を併せ持った医師によって初めて下しうる。今日の医師にはこうした高度の素質が求められている」と訴えられ、非常に感銘を受けました。

 こういった治療、手術ができるよう、個人は勿論のこと、チーム (チームとはつくづく一人の人間だと思っています) として精進して参りたいと思いますので、患者様、地域の先生方には、ご指導、ご鞭漣のほど何卒宜しくお願い申し上げます。

| Copyright 2005,09,01, Thursday 10:10am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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