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動脈硬化検査 form ABI/TBI

(この記事は2008年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

臨床工学検査科科長 水野良彦

 あなたは「動脈硬化」をご存知ですか?動脈硬化とは何か、私たちの体にどのような影響をおよぼすかをわかりやすく解説します。

 まず動脈とは、心臓から送り出される血液を全身に運ぶパイプのような血管のこと。ただ単に血液を運ぶだけでなく、状況に応じて心臓に押し戻すなど、ポンプのように効率よく血液を運ぶ作業を行っています。そのため動脈はとてもしなやか。簡単に破れたり詰まったりしない、強さと弾力性をそなえ持っています。

 それでは動脈硬化とは、文字どおり「動脈がかたくなる」ことです。

 動脈がかたくなると、その特性であるしなやかさが失われるため、血液をうまく送り出せず、心臓に負担をかけてしまいます。

 また、動脈がかたくなると血管の内側がもろくなって粥腫(じゅくしゅ)ができ、血管の中がせまくなったり、詰まったり、粥腫がはがれて血液中をただよい細い血管を詰まらせたりします。ちょうど古い水道管が汚れて詰まったり、さびてはがれるのと同じ状態です。

 血管の内側がせまくなると必要な酸素、栄養がいきわたらず、臓器や組織が正しく機能しなくなります。さらに血管が詰まると臓器や組織に血液が流れず、壊死してしまうことも。かたくなることで、血管はもろくなり破れやすくもなります。

 動脈硬化が進行すると心臓に大きな負担がかかるため、高血圧心肥大心不全などの心疾患につながります。また、血管が狭くなったり詰まったりすることで、心筋梗塞狭心症脳梗塞下肢閉塞性動脈硬化症などを引き起こします。血管が破れると、くも膜下出血など脳出血の危険も。たかが動脈硬化とあなどってはいけません。死につながる恐ろしい症状を引き起こす危険を抱えているのです。

 さまざまな症状を引き起こす動脈硬化ですが、いちばん恐ろしいのは「気づきにくい」ことです。そのため、自覚症状が出たときはすでに重症化している人も多いのです。それが、動脈硬化が「沈黙の殺人者」といわれるゆえんなのです。手遅れにならないように、ふだんから血管の状態をチェックすることが大切です。
ABI
 自覚症状がないことから「沈黙の殺人者」と呼ばれる動脈硬化ですが、簡単に発見できる方法があります。それが「form ABI/TBI検査」です。

 当院でも、動脈硬化の検査を行なっています。検査時間は15分~30分で行なえる簡単な検査です。動脈硬化の気になる方は一度検査を受けてください。

| Copyright 2008,05,30, Friday 09:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

優しく・痛まないように・安全に治すことを心がけています-肛門外来のご案内-

多数の患者様の強いご要望もあり、4月よりあらたに下記の時間帯で肛門外来を開始します。
お尻の問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

(この記事は2008年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

肛門科(外科部長)  宮垣拓也

宮垣 拓也 医師  各種肛門疾患(痔核・痔ろう・裂肛等)に対して、薬物療法(飲み薬・塗り薬・座薬等)、注射療法(ホームページ「いぼ痔は切らずに治したい」参照)、手術療法を患者さんの病態に合わせて併用あるいは使い分けて治療にあたっています。出来るだけ痛みがないように、できれば入院せずにしても短期間で済むように工夫しております。これらの病気は非常にデリケートな問題をはらんでおりますので、恥ずかしさに配慮することや体への負担が少なくなるようにいつも考えています。

肛門鏡 肛門科外来の診療開始に伴い、最新式の肛門診察用テレビモニターシステムを導入しました。患者さんにもその場で自分のお尻の状態をしっかり見てもらい、今後の治療方針を話し合いながらじっくり考えて行きたいと思います。

 希望される方には患部の写真を提供します。

 お尻の問題でお悩みの方は、一人で悩まず、お気軽にいつでもご相談ください。詳しくは下記の西陣病院だよりのリンクページをご覧ください。


診 療 時 間 の ご 案 内
診   療    月曜日及び金曜日
受付時間    12時30分から15時30分
診察時間    13時より開始
担当医師    外科 宮垣 拓也
場   所    外科診察室(5番)

初診の際は、受付で「外科」もしくは「肛門科」とお申し付けください。尚、従来どおり午前診療、夜間診療でも肛門科の診察は行います。ご不明な点は受付までお尋ねください。


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地域に密着した、優しい医療を目指しています-内科のご案内-

(この記事は2008年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

内科部長(副院長) 柳田國雄

柳田Dr 医学の各分野が目覚しく進歩し、細分化、先端化していく中で、内科という分野も臓器別に細分化、専門化していく傾向が強まっています。その今、「病気ばかりみて患者さんをみず」ということなく、患者さんを総合的・全人的に診ていく姿勢を大切にしていきたいと”内科”は考えています。

 消化器、循環器、糖尿病などの内分泌・代謝疾患を中心に据え、その他呼吸器、腎臓、神経、血液、アレルギー・膠原病、感染症など数多くの疾患・病態に対応できるよう努力しています。

 糖尿病に関しては、日本糖尿病学会教育認定施設として活躍しており、糖尿病教室や栄養指導の充実に努めています。

 また膠原病・アレルギー、肝臓病、呼吸器、神経内科に関しては専門外来を設け、個々の患者さんの病態に応じた診断・治療・療養援助に努めています。

 高齢者の皆さんにありがちな複合的な病態に対応しつつ、各医師が新しい知見を消化吸収しながら専門性も高めています。これからも、地域に密着した優しい医療を目指し、診療の中心としてがんばっていきたいと思います。

内科専門外来
糖尿病教室について

 糖尿病の方やその御家族の方、また糖尿病について勉強したい方を対象に、毎週金曜日の午後2時より、糖尿病教室を行っております (1、8、12月を除く)。是非ご参加下さい。受付にて教室の内容を配布させていただいております。

平成20年5月~7月の予定です。(下の表をクリックしていただくと拡大して表示されます。)

糖尿病教室案内(平成20年5月)

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冊子「がんの痛みのコントロール」の紹介

 がんの痛みに苦しまれる患者さんの症状を少しでも緩和するため、当院では 宮垣 拓也 (外科部長)、三宅 健文 (薬剤科長)を中心として、医療従事者向けに小冊子『がんの痛みのコントロール』を作成、配布しております。

がんの痛みのコントロール第7版
青い表紙が『がんの痛みのコントロール 第7版(2008年4月刊)』です


ご希望の方がいらっしゃいましたら、下記までご連絡くだされば幸甚です。

西陣病院医薬品情報室
電話 075-461-8800(代表)
メール pharm-di@nisijin.net


あとがきにかえて (第4版より)
あとがきにかえて (第5版より)
あとがきにかえて (第7版より)

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あとがきにかえて (第7版より)-「がんの痛みのコントロール」-

(この文章は、医療従事者の方々向けに発行している冊子『がんの痛みのコントロール ~除痛率100%をめざして~ 』第7版に掲載した 宮垣 拓也 医師のあとがき文です)

第7版 あとがきにかえて

柳原:この4ヵ月、毎日、誰とも語らず、どこにも出ず、ただただ痛みに耐えてきたんですね。それで、痛みにひとつだけ効用があることがわかったんです。何だと思います?
加島:わかんないなあ。痛みはすごく怖いといつも思う弱虫だもの。ただ若い時、自分の腕をぶちきろうとしたけど、痛みはあまりおぼえていない。
柳原:私の結論はね、死ぬことが怖くなくなる。死ぬことが解放になる。この痛みから抜け出られるなら、死ぬってすてきなことだと思わせてくれる、その装置をつくってるんだということを、知りました。
加島:それはそうだ。痛みは死へのひとつのプロセス、過程ですね。その変化をじっと待って、痛みに耐える人になったら、大したもんだよ。僕にはできないけど。
柳原:変化を見る余裕はなかったですね・・・・・耐えるしかなかったから。
加島:『老子』から学んだ一番大きな思想は「すべては変化する」ということでしたね。それを実感したのは・・・・・
婦人公論 2008年3月22号より


 卵管癌と告知されて10年余、治療後再発し「余命半年」と云われてから4年余。その間、「がん患者学」「百万回の永訣-がん再発日記」など数々の作品を上梓され果敢にがんと闘われたノンフィクション作家の柳原和子さんがこの3月初めの日曜の朝、家族や仲間が目を話したわずかな間に、自分でその時を選んだかのように静かに笑顔で逝かれました。
「ああ。木に出会いたい。海に出会いたい。光を浴びたい。自然を取り戻したい。贅沢な希望」2月初めのこれが最後の文章。冒頭は亡くなられる2ヵ月少し前に行われた詩集「求めない」がベストセラーとなった詩人の加島祥造さんとの対談の一部です。

 この対談を読んだ時、真っ先にキュブラーロスの言葉を思い出しました(第4版あとがきにかえて参照)。本当に難しい。時にドクターショッピングと揶揄されながらも患者さんの切実なニーズに応えつつ、我々医療従事者の自省の契機にもなった作品を次々出版し、医学に精通し多数の優秀な先生方に支えられているはずの柳原さんでもこうなのかと、柳原さんだからこそこうなのかと・・・痛みについても十分勉強されその道のプロにしっかりペインコントロールされているものと思っていた者にとって、痛みに苦しまれている冒頭の対談はある意味衝撃を受けました。勿論この後、然るべき施設で適切な緩和ケアを受けられてこその穏やかな旅立ちだったのでしょうが、まだまだWHOや国が云う治療初期からの緩和ケアの道は険しいですね。
 これからも痛みに苦しまれる患者さんとの出会いは続きます。No Pain,No Gain「痛みなくして得るものなし」の意味を今一度自問自答しながら、山あり谷あり、あっちへ行ったりこっちへ来たり、3歩進んで2歩下がり、諦めず投げ出さずゆっくり頑張っていきましょう。相手の立場に立って、ということをよく言われます。しかし人はしょせん、他人の立場にたつことはできません。また、我々も患者さんも頑張ってどうにかなるほど単純な世界に住んでもいません。また患者さんが諦めることも投げ出すこともけっして悪いことではありません。これらのことを重々承知しながら。

 山頭火ではありませんが「まっすぐな道はさみしい」。無理せず、焦らず、水の流れの如く、溜まりに入っても慌てることなく、よどみも徐々に解かれていくから・・・

                  2008年 早春 宮垣 拓也



山頭火 =種田 山頭火(たねだ さんとうか) 男性 1882~1940

自由律俳句のもっとも著名な俳人の一人。

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