診療に関すること::薬剤部
肺炎球菌ワクチンのはなし
(この記事は2014年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤部 院内感染予防委員 森本 卓志 |
テレビコマーシャルや新聞広告で知っている方も多いと思いますが、厚生労働省の発表によると「肺炎」は悪性新生物(がん)、心疾患(心不全など)に次いで日本人の死因第3 位。しかも肺炎で亡くなる方の 95%以上が 65 歳以上だそうです。
肺炎は細菌やウイルスなどが、からだに入り込んで起こる肺の炎症です。そして、日常でかかる肺炎の原因菌で最も多いのが、「肺炎球菌」とういう細菌です。「肺炎球菌」に対する免疫をつけるワクチンが肺炎球菌ワクチンです。
現在、肺炎球菌感染症を予防するワクチンとしては、2歳以上で肺炎球菌疾患にかかるリスクが高い人および65歳以上の人を対象とした23価肺炎球菌多糖体ワクチンと、9歳以下の小児を対象とした13価肺炎球菌結合型ワクチンの2種類が発売されています。
この23価肺炎球菌多糖体ワクチンは1回の接種で肺炎球菌の23種類の型に対して免疫をつけることができます。現在90種類以上の肺炎球菌の型が報告されていますが、この23種類の型で成人の肺炎球菌による感染症の80%以上がカバーできます。また、個人差はありますが、1回の接種で5年以上の効果が期待できます。
ワクチン接種の副反応(期待される効果とは異なる作用)として、接種後に注射部位の腫れや、痛み、赤みなどがみられることや発熱や筋肉痛などがみられることがありますが、これらの反応は通常3日以内に自然に消失します。
肺炎の予防には、うがい、手洗い、規則正しい生活などの日常的な感染予防が大切です。また、次のような方には成人用肺炎球菌ワクチンの接種が勧められています。
● 65歳以上の方 ● 呼吸器に病気をお持ちの方(肺気腫(COPD)、喘息、結核感染後など) ● 糖尿病の方 ● 慢性心不全、肝硬変などの肝臓病、免疫抑制剤による治療を受けている方
西陣病院でも肺炎球菌ワクチン接種を行っています。ご希望の方は主治医にお尋ねください。
| Copyright 2014,01,01, Wednesday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |