診療に関すること::リハビリテーション科
「言語聴覚療法室」を開設しました。
(この記事は2014年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
リハビリテーション科 言語聴覚士 西村 豪文 |
平成25 年7月より、リハビリテーション科に言語聴覚士が配属され、「コミュニケーション」や「食べること」に問題がある方の援助を行っています。「コミュニケーション」の問題は失語症、構音障害や、注意・記憶などさまざまな高次脳機能障害によって生じます。失語症とは、脳の言語領域の損傷により、「聴く・話す・読む・書く」という言葉の機能に障害が生じることです。失語症では、その方の重症度や失語症タイプ、年齢や職業など身体的・社会的背景にそった練習を、種々のドリルを用いて行います。構音障害とは、脳の病気や舌癌などにより、「声が出ない」「呂律がまわらない」など、話しにくくなることです。構音障害では症状に合わせて、発声器官の運動や、ドリルなどを使用しての発音の練習を行います。また、ゆっくり、大きく、区切って話すなど代償的な発話法も指導します。「コミュニケーション」の問題に対しては、障害された機能を可能な限り改善することと、機能の改善が難しい場合も、残された機能を生かすことで、コミュニケーション能力の改善を目指します。
「食べること」の問題は、脳の病気や癌などにより、飲み込みが上手くできなくなることです。食べることは、単なる栄養補給だけでなく、生きる楽しみの一つであり、コミュニケーションとともに“生きがい”に関わる問題です。嚥下訓練(飲み込みの練習)では、飲み込みにかかわる器官(のどや口など)の体操、呼吸訓練、嚥下パターン訓練、食事指導(姿勢や食事形態の調整など安全に食事を摂取するための指導)を行います。また当科では、低周波刺激法、筋電図によるバイオフィードバック法(以下BF法)など新しい技法を積極的に取り入れています。嚥下訓練では“飲み込む運動” を改善することが目標ですが、うまく飲み込めているかどうかは、自分自身ではわかりにくいものです。BF法では、飲み込んだ時に、のどの筋肉から発せられる電流を皮膚上から記録し、モニター上で“飲み込む運動”の状態(強さ・持続時間など)をリアルタイムで見ていただきながら、嚥下訓練を行います。このBF法は、見えないものを、見えるようにする技法であり、日本では導入している施設はわずかですが、欧米においては信頼性の高い治療法として認知されています。
先進の技術とチームワークで、地域の皆様が“生きがい” をもって暮らし続けられる、その一助になれればと考えております。
| Copyright 2014,01,01, Wednesday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |