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脳卒中のうち3分の2を占める脳梗塞(こうそく)は夏場が最も危険

(この記事は2008年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤科科長 三宅健文

 卒中とは「卒然として邪風に中る(そつぜんとしてじゃふうにあたる)」。つまり、「突然、悪い風にあたって倒れる」という意味です。
 冬に発症するイメージを持つ人が多いですが、ジメジメした梅雨、ジリジリと焼けるような夏は、本人も気づかぬうちに、汗をかいて脱水症状に陥りやすい季節です。しっかり水分補給をしないと心臓病や脳卒中の魔の手がしのびよります。「喉が渇いてないからまだ水分を摂らなくても平気」とか「トイレが近くなるから極力、水は飲まないようにする」というのは大きな間違いです。喉が渇いた時というのは既に体内で大幅に水分が不足している飢餓状態。いわば緊急スクランブルの指令が脳内を駆け巡っている状態なのです。夏場に水分をこまめに取りましょうというのは何も熱中症対策のためだけではありません。脳疾患の予防にも大きな意味を持っています。

脳卒中の予防策

・脱水症状
 血液が〝ドロドロ〝になって血液の塊ができやすくなるので、 こまめに水を飲みましょう。個人差もありますが、1日計1.5~2リットルほどの補給を。

・睡眠不足
 血管を収縮させるホルモンが分泌されて血圧を上げ、心筋梗塞などを引き起こします。1日に6~7時間ほどの睡眠をとりましょう。過労やストレスも、このホルモンの分泌を促すので要注意。

・排便
 便を出そうと気張ると血圧を急激に上昇させるので、便秘にならないように、食物繊維が多い食事をとるように気をつけましょう。

運動・運動
 暑いからと言って家にこもってばかりいると、肥満などを招きます。1日最低30分の散歩など運動をしましょう。でも、水分補給を忘れないで。

 脳卒中を起こした患者さんに処方される代表的なクスリを紹介します。

1)脳循環改善薬
 脳の血管を広げて、脳の血液を良くするクスリです。脳梗塞にも脳出血にも使います。通常発症から数週間たって、脳の状態が落ち着いた頃から処方されます。クスリの効果としては、脳の血液が悪いために起こる、頭痛、めまい、ふらつき、耳鳴りなどの症状を改善する働きがあります。

2)抗血小板薬
 脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)を予防するクスリです。効果としては、血液中の血小板の働きを妨げて、血栓を作りにくくする 作用があります。

3)抗凝固薬
 主に脳塞栓(心臓からの血栓による脳梗塞)を予防するクスリです。心房細動などの不整脈があると、心臓の中に血栓ができて脳に飛び、脳梗塞を起こすことがあるので、抗凝固薬で血栓をできにくくします。

4)その他のクスリ
 脳卒中の原因となる動脈硬化に関連した危険因子として、生活習慣病が最も注目されています。そこで、脳卒中の再発を防ぐために、生活習慣病の治療のための様々なクスリが処方されます。

| Copyright 2008,07,01, Tuesday 09:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

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