診療に関すること::腎臓・泌尿器科
〝オシッコの出がおかしい〝と感じたら
(この記事は2006年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです。森田医師は転勤のため、現在西陣病院で外来診療はしておりません。ご了承ください)
泌尿器科 森田 壮平
前立腺肥大症とは尿道にコブが出来て排尿障害を起こす熟年男性の代表的な病気です。「最近、どうもオシッコの出方がおかしいな」と年配の男性が感じたときには、前立腺肥大症が疑われます。
前立腺は、男性の膀胱の出口に尿道を包むようにあるもので、精液を造るのに重要な役割をする器官です。ところが、前立腺の内腺の細胞にもり上がりができ、これが増殖し肥大して、ミカンかリンゴほどの大きさの良性のコブになって、尿道を圧迫してしまうのです。そうするとオシッコがすっきりと出なくなる排尿障害を起こします。これが前立腺肥大症という病気です。
50歳ぐらいから前立腺の内腺に結節ができる割合が高くなり、70~80歳台では10人のうち7~8人は大なり小なり前立腺肥大症の傾向があるといわれています。原因は男性ホルモンと何らかの関係があると考えられていますが、確かなことはわかっていません。
さらに統計的に見ると体質や食べ物、生活環境も病気を引き起こす共犯者といわれています。従来「日本人には比較的少なく、欧米人に多い病気」とされていました。それが最近急増しているのは、食生活の欧米化も影響しているようです。
症状としてはまず頻尿(オシッコが近くなること)、特に夜間の頻尿があります。少し進んでくると、「トイレに行っても尿が出始めるまでに時間がかかる」「尿線が細くなる、勢いが弱くなる」「尿が途中でとぎれる、最後の切れが悪い」「排尿が終わるまでに時間がかかる」などの状態が起こります。人によっては尿意を感じてからトイレに行くまでに我慢ができず、尿を漏らしてしまうこともあります。
次の段階として、自分ではがんばって完全に排尿し終わったつもりでも、実際には尿が出切らずに膀胱に残ってしまうという「残尿」現象が起こってきます。そうなると膀胱が空にならないために、短時間で尿が満杯になってしまいます。このため、昼夜の区別なく頻尿となります。こうなると、ちょっとしたことが引き金となって、尿が一滴も出なくなる尿閉を起こしやすく、大変苦しむことになるのです。
前記のような症状があれば泌尿器科で診察・検査をします。診察はまず問診の後、直接前立腺に触れてみる「直腸診」を行います。前立腺の大きさや固さ、形、表面の性状、押したときの痛みなどがわかり、前立腺がんや前立腺炎と区別することができます。さらに、残尿測定、前立腺超音波断層法、尿道膜胱造影、尿流量測定、膀胱内圧測定などを行います。
治療法には、薬物療法・開腹手術・内視鏡手術・高温度治療法・ステント留置法などがあります。まずは薬物療法が主体ですが、臨床症状や前立腺肥大症の程度などにより治療法を選択します。
前述のような症状に悩まれている方は一度泌尿器科を受診してみてください。
泌尿器科 森田 壮平
前立腺肥大症とは尿道にコブが出来て排尿障害を起こす熟年男性の代表的な病気です。「最近、どうもオシッコの出方がおかしいな」と年配の男性が感じたときには、前立腺肥大症が疑われます。
前立腺は、男性の膀胱の出口に尿道を包むようにあるもので、精液を造るのに重要な役割をする器官です。ところが、前立腺の内腺の細胞にもり上がりができ、これが増殖し肥大して、ミカンかリンゴほどの大きさの良性のコブになって、尿道を圧迫してしまうのです。そうするとオシッコがすっきりと出なくなる排尿障害を起こします。これが前立腺肥大症という病気です。
50歳ぐらいから前立腺の内腺に結節ができる割合が高くなり、70~80歳台では10人のうち7~8人は大なり小なり前立腺肥大症の傾向があるといわれています。原因は男性ホルモンと何らかの関係があると考えられていますが、確かなことはわかっていません。
さらに統計的に見ると体質や食べ物、生活環境も病気を引き起こす共犯者といわれています。従来「日本人には比較的少なく、欧米人に多い病気」とされていました。それが最近急増しているのは、食生活の欧米化も影響しているようです。
症状としてはまず頻尿(オシッコが近くなること)、特に夜間の頻尿があります。少し進んでくると、「トイレに行っても尿が出始めるまでに時間がかかる」「尿線が細くなる、勢いが弱くなる」「尿が途中でとぎれる、最後の切れが悪い」「排尿が終わるまでに時間がかかる」などの状態が起こります。人によっては尿意を感じてからトイレに行くまでに我慢ができず、尿を漏らしてしまうこともあります。
次の段階として、自分ではがんばって完全に排尿し終わったつもりでも、実際には尿が出切らずに膀胱に残ってしまうという「残尿」現象が起こってきます。そうなると膀胱が空にならないために、短時間で尿が満杯になってしまいます。このため、昼夜の区別なく頻尿となります。こうなると、ちょっとしたことが引き金となって、尿が一滴も出なくなる尿閉を起こしやすく、大変苦しむことになるのです。
前記のような症状があれば泌尿器科で診察・検査をします。診察はまず問診の後、直接前立腺に触れてみる「直腸診」を行います。前立腺の大きさや固さ、形、表面の性状、押したときの痛みなどがわかり、前立腺がんや前立腺炎と区別することができます。さらに、残尿測定、前立腺超音波断層法、尿道膜胱造影、尿流量測定、膀胱内圧測定などを行います。
治療法には、薬物療法・開腹手術・内視鏡手術・高温度治療法・ステント留置法などがあります。まずは薬物療法が主体ですが、臨床症状や前立腺肥大症の程度などにより治療法を選択します。
前述のような症状に悩まれている方は一度泌尿器科を受診してみてください。
| Copyright 2006,03,01, Wednesday 10:10am administrator | comments (x) | trackback (x) |