(この記事は2016年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
| | 消化器内視鏡センター長・内科部長
葛西 恭一 |
この度消化器内視鏡センターが新しくなりましたので紹介させていただきます。
当院の消化器内視鏡センターは日本消化器内視鏡学会の指導施設に認定されており、現在内視鏡医10 名(指導医1名、専門医6 名)、看護師8 名(内視鏡技師4 名)の体制で診療しております。私が当院に赴任した2002 年には年間検査件数は2000 件程度で、通常観察が主体であり特殊な内視鏡検査や内視鏡治療はほとんど行っておりませんでした。その後、NBI という特殊光を用いた内視鏡や拡大観察用の内視鏡、超音波内視鏡専用機等続々と登場する最新の機器を積極的に導入してきました。内視鏡治療手技に関しては、早期消化管癌に対するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)や、消化管粘膜下腫瘍や膵腫瘍に対するEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診)といった新しい技術を積極的に導入し、より高度な内視鏡診療を目指して努力してきました。スタッフの努力のみならず近隣の先生方からご紹介いただく症例の増加もあり検査件数は年々増加し2015 年度の内視鏡検査数は年間約5000 件となりました。
従来の内視鏡センターは本館地下1 階の画像診断センター内にあり、午前中は内視鏡室で上部内視鏡を、午後からは内視鏡室とX 線テレビ室を使って大腸内視鏡およびERCP(胆膵内視鏡)を行ってきました。X 線テレビ室が一つしかなく、各科共同での使用のため他科に迷惑をかけることも多々あり、検査件数の増加、検査内容の高度化も相まって従来の内視鏡センターでは今後の検査件数の増加に対応していくことは困難な状況となってきました。
このような現状のなか、本年3 月をもって当院で永年行ってきたPET 検査が終了することとなりました。PET 終了により従来の内視鏡室の隣に約143㎡ のスペースが空くこととなり、このスペースを内視鏡センターとして今回リニューアル致しました。新内視鏡センターは内視鏡室2 室と専用のX 線テレビ室1 室からなり、最大で3 室同時に検査が可能となりました。各検査室とも十分なスペースを確保し、安全に検査・治療ができるようにしました。スタッフの導線にも配慮し、各検査室間をスムーズに移動できるように設計しています。
スタッフルームには各検査室の内視鏡画像、X 線画像および検査中の患者さんに装着したバイタルサインのモニターがすべて同時に観察できるようにし、複数の検査が同時進行することにより指導や危機管理が疎かにならないように配慮しました。
内視鏡洗浄室は十分なスペースを確保し、より安全で衛生的な内視鏡の洗浄が可能となりました。
今後、旧内視鏡室を改修し、回復室や待合室とする予定です。
以上、新内視鏡センターの紹介をいたしました。より整った環境で内視鏡検査・治療が受けていただけるようになりましたので、どうか安心して当院消化器内視鏡センターへお越し下さい。