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新年のごあいさつ

(この記事は2016年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


山川先生 画像診断センター長
 放射線科 部長    山川 稔隆

 明けましておめでとうございます。
 
 皆様にはお健やかに新年を迎えられたことと謹んでお喜び申し上げます。西陣病院画像診断センターでは昨年一年間でCT約8400件、MRI約4500件の検査を施行いたしました。検査数は毎年2~3%の割合で増え続けておりますが、定期的にハードウェアを更新したり、ソフトウェアのアップグレードを行うことで、増え続ける需要に対応しております。また検査件数のうち、CTでは約15%、MRIでは約27%が近隣の診療所様・病院様からご紹介頂いた患者さんの検査となっておりまして、地域の皆様から信頼して頂いていることに対して、職員一同、身の引き締まる思いでおります。

 さて、増え続けるCT検査ですが、その一方で、放射線被曝に対する国民の意識も高まっております。戦後、日本人の平均寿命の伸びは著しく、世界最長寿国の一つとなりました。これには食生活の改善、抗生物質をはじめとする治療薬の進歩など多くの要因がありますが、レントゲン写真やCTなどの検査機器の発達とそれによる病気の早期発見もその一因であることは間違いありません。しかしながら検査を頻繁にすればその分、被曝も増大する恐れがあります。西陣病院ではX線量を低線量に抑えながらも画質を保つ最新のCT装置を導入しております。これにより被曝を低減しつつも医療の質を保っております。

 今後も地域の皆様のご期待に添えますように、職員一同、精進してまいりたいと思います。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

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手根管症候群とともに

(この記事は2016年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


牧之段先生 整形外科 部長  牧之段 淳

 明けましておめでとうございます。

 西陣病院に赴任して16年が過ぎました。多数の手術を経験してきましたが中でも最も多いのは手根管症候群の手術です。内視鏡下に手術を行って12年、昨年度は55件の鏡視下手根管開放術を行い、総数400件に達しました。鏡視下手根管開放術の年間件数では京都でNo.1の実績です。臨床検査科の協力を得て初診時のみならず手術後も1年は神経伝導検査を行っております。手術室では精通した看護師が円滑に手術が行えるようサポートしてくれています。術後は予約制の末梢神経外来で診させていただいております。診断、治療および術後フォローをこれだけ円滑かつしっかり行っている施設はそうないだろうと自負しております。手根管症候群というたった1つの疾患を通してですが理想的なチーム医療を実践しているとの感があります。開業医の先生方からも手根管症候群なら西陣病院にと手術の7割を占める多数の紹介を賜り感謝しております。

 整形外科は常勤医3名と少なく外来は新患・旧患合わせて基本1診で行っており皆様には御迷惑をおかけしております。医師の確保が容易でないところに新たに始まる新専門医制度の影響を受け増員が厳しい状況です。昨年2名の異動があり脊椎、肩関節のスペシャリストを新たに迎えました。各々の専門性を発揮しつつ地域密着型の安心できる医療を提供するべく整形外科一同努めます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

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お屠蘇にも薬効が!

(この記事は2016年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

お屠蘇


薬剤部 薬剤師 須山 奈見子



 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
 今回は、新年ということで、「お屠蘇」について書いてみたいと思います。
 「お屠蘇」と聞くと、お正月にお酒を飲むことだろうと思いますよね。
 ところが、どうやら違うようなので、少し調べてみました。


 お屠蘇とは、「屠蘇散」という漢方薬を酒やみりんで浸けこんだ一種の薬草酒のことです。お正月にお屠蘇を飲むというのは、中国で始まったと言われています。これも諸説あるのですが、三国時代の名医「華陀」という人物によって作られた処方で、元旦にこれを飲めば邪気が払われ1年間健康で過ごすことができると言われています。日本には平安時代に伝わり、江戸時代に一般的に広まるようになりました。

 お屠蘇は、単なるアルコールではなく、薬草酒だったというわけです。

 「屠蘇散」に含まれる生薬は、多くて10種類、市販されている「屠蘇散」には一般的に、5~6種類配合されています。調合はそれぞれ微妙に異なりますが、代表的な生薬とその効能について簡単にまとめてみました。



 つまり「胃腸を健やかにし、身体を温め、風邪を予防する」という効果があるそうです。しかし、元旦の朝に一口飲むだけでは効果はほとんどありませんが、今年1年の健康を祈願する行事として続けられているのでしょう。

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感染制御チーム( ICT:Infection Control Team)

(この記事は2015年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


副院長 柳田 國雄

 病院には多くの方が出入りされ、また入院されています。その中には感染症にかかっている方や子供さん、お年寄り、抵抗力の落ちている方などがおられます。そのような医療環境の中で感染が起きないように予防したり、院内での感染の発生をできるだけ早く発見し、拡げないように迅速に対応しているのが『感染制御チーム(ICT)』です。
 

 

 ICTは医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床工学士など多職種から構成されており、各専門分野から知恵を出しあって、患者さんとその家族の方だけでなく、院内で働くすべての人、来院するすべての人を感染から守るための活動をしています。その活動としては、

(1)院内での感染発生動向に関する調査・報告・対応
(2)感染拡大(アウトブレイク)への迅速な調査と制御
(3)職員への感染管理教育、感染防止技術の周知・徹底
(4)抗菌薬の適正使用活動
(5)感染対策マニュアルの作成や改訂
(6)職業感染対策-職員のB型肝炎、流行性ウイルス感染症(麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎)などの抗体チェック・ワクチン接種推奨、針刺し事故対策
(7)感染症診療に関連する相談
(8)医療環境の整備
(9)地域や国内外での感染発生動向に関する情報提供(最近ではエボラ、MERS、デング熱、手足口病の流行など)
(10)感染症流行時の対応(インフルエンザ、ノロウイルスなど)

など多岐にわたっています。また、平成24年からは地域連携の感染対策として京都府立医科大学と京都市内の2病院と連携し、年4回合同でカンファレンスを行い、相互ラウンド(お互いの病院を訪問して評価し合う)なども行って感染対策業務のレベルアップを図っています。



 当病院では、すべての患者さんが病院内で新しい感染を起こさないように、医療環境の清潔を保ち、職員の感染教育を徹底し、抗菌薬の適正な使用を進めるよう努力しています。「すべての血液・体液(汗を除く)・排泄物はすべて何らかの病原体を持っている可能性があるものとして取り扱う」という標準予防策が院内感染対策の基本です。その最も大切で、簡便な感染予防手段はマスクと手洗いです。皆様にも、来院時や、病室への入退室時に意識して手洗いをお願いしたいと思います。目に見える汚れがあれば流水と石鹸での手洗い、その他は病室に備え付けの速乾性アルコール消毒剤で手を擦り合わせて手洗いをして下さい。

 しかし、そのような努力をしても抗菌薬が効きにくい、あるいは効かない菌が検出されることがあり、これらを『耐性菌』と呼んでいます。多くの耐性菌の病原性は弱いので健康な人にはあまり問題ないことが多いのですが、高齢の患者さん、抵抗力が落ちている患者さんには大きなダメージになることがあります。耐性菌の多くは、患者さん、家族、面会の方、医療スタッフなどの手を介して感染が拡がります。やはり、手洗いが大事ということです。、ICTは病院内の耐性菌の検出状況を把握し、それらが拡がらないように防いでいく努力をしています。適切な感染対策により、患者さんにとって安心な、その家族の方々や医療従事者にとっては安全な医療環境を提供できるようにこれからも努力していきたいと思います。

 今後とも皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

 最後に、今年もインフルエンザの季節がやってきました!インフルエンザは普通の風邪とは違い、高熱や関節の痛みなどを伴い、高齢者や基礎疾患(糖尿病、慢性呼吸器疾患、抗がん剤や免疫抑制剤の使用など)のある方は重症化するおそれがあります。感染は、飛沫(くしゃみや咳)、接触(手指を介して)で拡がります。インフルエンザの感染を拡げないために、皆が「かからない」「うつさない」ことが重要です。その感染予防のためには「ワクチン接種」、「こまめな手洗い」「マスクの着用」などが重要です。インフルエンザワクチンは今季から含まれるウイルスのタイプが従来の3種類から4種類に増えました。効果が高まると考えられ、リスクの高いと考えられる方は是非接種をお願いします。

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腱板断裂について

(この記事は2015年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


 整形外科 医長
 祐成 毅


 肩関節の回りには、肩を安定させて動かすために大切な腱板と呼ばれる筋肉があります。腱板は、前から肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の4つがあり、腱板断裂とは腱板のいずれかが切れた状態を言います。


 腱板断裂を生じる原因としては、主に外傷および加齢による変性があげられます。外傷には、転倒や転落での外力によるものから急激に腕に加えられた外力、重たいものをよく持つなど繰り返される小さな外力によるものまで含まれます。腱板の変性は40 歳頃から徐々に進行し、進みやすい生活習慣や疾患として、喫煙や糖尿病などが報告されています。

 腱板断裂を生じていても、症状のない方もおられます。ある調査では肩が痛くなったことのない50 歳以上の約20%に腱板断裂を認めたという報告もあります。しかし、病院を受診される方のほとんどは、何らかの症状を認めます。

 典型的な症状は、「肩が痛い」、「肩の動きが悪い」、「肩に力が入りにくい」の3 つです。痛みは、夜間に強くなったり、肩を動かしている途中で生じたりすることが多いですが、安静にしていても生じることがあります。

 画像診断では、レントゲン、超音波検査、MRI(図1)が有用です。特に超音波検査は、近年画質もきれいになり外来で侵襲なく簡便に行うことができますし、MRIもさまざまな撮像方法が開発され、診断能力が向上しています。当院でもそれらを取り揃えていますので、受診され必要と判断した場合は、検査を行います。

 腱板断裂は、小、中、大、広範囲と断裂の大きさによって4つに分類され、治療の方針に影響します。

 治療には保存療法および手術療法があります。一般的に、腱板が一度断裂すると断裂部位の自然治癒はなく、断裂の大きさも徐々に大きくなっていきますが、保存療法で症状が改善することもあります。痛みが強い時期には、痛みを伴う動作を禁止し、安静のために三角巾などで固定を行う場合があります。また、痛みの程度に応じて消炎鎮痛剤や筋弛緩剤、安定剤などの薬物療法、ヒアルロン酸やステロイドなどの関節内注射を行います。痛みが軽減してきますと、肩の保温につとめて頂きながら、肩を動かし、残っている腱板の筋力をつけるためのリハビリテーションを行います。保存療法で症状が改善した後も再発することが多いため、定期的に診察を受けて頂くことが大切です。

 保存療法で症状の改善がない場合や若年者、重労働者などの活動性の高い方では、手術療法が選択されます。小、中断裂に対しては、関節鏡を用いた鏡視下腱板修復術(図2)が主に行われます。1cm未満の小切開を4~5ヵ所行うだけの小さな侵襲で手術が可能です。大、広範囲断裂に対しては、関節鏡のみで対応可能な場合もありますが、多くは関節鏡を行った後、皮膚切開を1ヵ所4-5cm程度に延長して、直接腱板を見ながら修復します。修復の際、金属性あるいは吸収性のアンカーを、腱板が元々付着していた上腕骨に打ち込み、アンカーから伸びた糸を、断裂した腱板の断端にかけて縫合します。術後は、再断裂や疼痛の増強を防ぐために装具固定を行い、作業療法士によるリハビリテーションを受けて頂きます。上述した腱板の修復が困難なほど、腱板の状態が悪い場合は、手術可能な施設や適応は限られますが、平成26年から日本でも導入された人工逆肩関節全置換術(図3)を行うこともあります。

 腱板断裂は、よく知られている四十肩や五十肩と症状が似ており、様子を見て状態が悪くなる方もしばしばおられます。前述した症状がある場合は、ぜひ整形外科を受診して下さい。

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