(この記事は2015年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
| 薬剤部 主任 森本 卓志 |
最近、「毒薬を紛失した」とか「向精神薬が盗難にあった」など薬に関係した事件や事故がニュースでみられます。
では、この「毒薬」とか「向精神薬」とはなんでしょう。今回は薬の分類について紹介します。
薬は下記のようにいろいろな基準で分類されています。
● 「毒薬」「劇薬」「普通薬」
「毒薬」が一番毒性が強く、次が「劇薬」、「普通薬」の順になります。毒薬は、少量で、強い効き目が現れ、服用量に注意を払わないと、中毒や死亡することがあるので、病院でしか使用できません。また、病院では鍵のかかる場所で厳重に管理しています。
普通薬は、比較的安全性の高い薬で、ドラッグストアなどでも売っています。
とはいっても、『普通薬だから安全!』というわけでもありません。そこは薬ですので、やはり間違った使い方をすれば『毒』になることもあります。薬をのむ以上はしっかり服用のタイミングや服用量を守らなければいけませんね。
● 「麻薬」「覚せい剤」「向精神薬」
「麻薬」は「麻薬及び向精神薬取締法」、「覚せい剤」は「覚せい剤取締法」、大麻は「大麻取締法」によって薬の成分や取り扱い等が規制されています。間違った使い方をすると、習慣性や依存性が増し、連用による快感と中止による禁断症状を持つ薬です。モルヒネ・コカイン・コデイン・ヘロイン・大麻などがこれにあたります。
モルヒネ等はがんによる強い痛みに対して汎用されますが、正しく使用すれば先に述べたような依存性等の有害な作用は出ることなく使用することができます。
また、「向精神薬」は麻薬と同様に中枢神経系に作用して精神機能に影響を及ぼす薬物のうち、依存性があり、かつ乱用された場合に有害作用が麻薬、覚せい剤より低いものをいい、ある種の睡眠薬・精神安定剤・鎮痛剤が該当します。
● 「医療用医薬品」「一般用医薬品」
「医療用医薬品」は医療機関で医師の処方によって受け取れる薬で、「一般用医薬品」は薬局・薬店等で購入する事が出来る薬です。最近では、「スイッチOTC」と呼ばれ、医療用医薬品の成分を一般用医薬品に転用した製剤も販売されています。
いずれも、医師や薬剤師の指導のもとに用法・用量をきちっと守って服用することが大事です。