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新年のごあいさつ 平成二十一年 元旦

(この記事は2009年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院 院長 伊谷賢次

 明けましておめでとうございます。

 皆様には、さわやかな新春をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。また、昨年中、当院に賜りました数々のご厚情とご支援に対しまして、職員一同心より御礼申し上げます。

 西陣病院は、地域の福祉医療を担って発足し、現在まで75年間にわたり、地域に密着した良質な医療が提供できるように、施設規模の拡大と医療内容の充実を図ってまいりました。特に、昭和61年の西館竣工後は、当院も京都市北西部の中核病院となりました。

 しかし、時代の流れとともに、医療そのものも高度化だけでなく医療安全など多様化し、患者さまのニーズも変わり、これらに対応できる医療を提供するには、本館は老朽化で手狭となりました。平成16年に本館増改築工事を着工し、平成20年3月に今日の患者さまのニーズに十分お応えできる医療環境の容積を確保することが出来ました。

 この間、地域住民の皆様や地区医師会の先生方はじめ、関係各位より当病院にお寄せ頂きました暖かいご理解とご支援に対して衷心より感謝申し上げます。

 また、本館増改築に合わせて、画像診断センター開設、115床の透析センターのワンフロアー化、西館も本館同様の療養環境確保のための改修工事、1病棟増設、日本病院機能評価受審(Ver.5.0)、7:1看護体制など当院にとって激動の数年間でした。この難局を事無く乗り越えられたのも職員の頑張りのお陰と深く感謝しています。

 この竣工により、今後はこの設備と機能を、如何により良く活用して行くかが、私共職員の最大の課題であろうと思っております。医療の取り巻く環境は厳しいものとなりましたが、当院の目指すべき目標は変わらず、設立当初からの基本方針である、地域に密着した良質な医療をさらに高いレベルで提供することです。

 今後さらに診療体制を充実させ専門性の高い急性期病院を目指します。しかし、中高年層の多い地域密着型の病院ですので、合併症の多い患者さまが安心して安全で高度な医療を受けていただくには各科医師の連携はもちろん看護師をはじめ、すべての医療スタッフのチームワークが必要です。職員全体が、患者さんを主体に考え、良質な医療を提供するためにスタッフ一人ひとりが役割と責任を自覚して努力していきますので、今年一年、さらなるご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

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京都府ウォークラリー大会 ~歩いて学ぶ糖尿病~ に参加して

(この記事は2009年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

リハビリテーション科 理学療法士 山口洋樹

 去る10月19日、宝ヶ池公園にてウォークラリー大会が開催されました。暦の上では寒露も過ぎてすでに晩秋。肌刺す冷気と色付く山々…となるはずでした。しかし当日は、朝から暖かい日差しが降り注ぎ、とても10月とは思えない陽気となりました。

 今回、西陣病院からは3キロコースに3チーム、計16名(患者様・職員他)が挑戦しました。準備体操の後、皆さん暑い暑いと上着を脱いでのスタートとなりました。

 公園内は、多くの家族連れやランニングを楽しむ方たちで賑わっており、私たちもゆっくりと景色を楽しみながら、おしゃべりに夢中で足よりも口を動かしていました。木の葉の色付きと、水面のきらめきが目に鮮やかで、大変気持ちが良かったです。鯉や亀、水鳥などの生き物たちも多く生息しており、日常を忘れて不思議な心持になりました。

 さて肝心のウォークラリーはと言いますと、ただ歩くだけでなくコースの途中で様々なイベントが用意されています。クイズは歴史や京都の文化など、糖尿病だけに関わらず、多岐にわたって出題されました。また輪投げや玉入れなどのゲームもあり、たっぷりと楽しめる内容になっていました。クイズは中々の難問揃いで皆さん喧々囂々(?)と解答を相談していました。

 のんびりと、途中食事も挟んでの約2時間30分で無事ゴール。なんと、今回は私たち西陣病院の「青8」チームが栄えある優勝に輝き、表彰状を頂きました。

 大会には、多くの医療関係者がスタッフとして参加されており、血圧や血糖値チェックなどの体調管理も実施されてとても安心です。そのため、参加者全員が無事にゴールすることが出来ました。

 自然の中で楽しみながら、さらに皆さんと情報交換も出来て、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。このウォークラリーは、来年も開催される予定ですので、興味をお持ちになられた方は、挑戦されてみてはいかがでしょうか。

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看護の日のイベント2008年

(この記事は2008年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

看護部外来看護師 副主任 西垣恵子

 ナイチンゲールの誕生日にちなんで「5月12日を「看護の日」と制定し、その日の前後に各地で様々なイベントが行われています。『看護の心をみんなの心に』をメインテーマに看護の心を考えます。

 21世紀の高齢社会を支えていくためには、看護の心、ケアの心、助け合いの心を私たち一人一人が分かち合うことが必要です。こうした心を、老若男女を問わずにだれもが育むきっかけとなるよう、「看護の日」が制定されました。

 当院でも看護の日にあわせて、5月10日(土)に本館1階玄関口ピーで各種健康チェック、健康相談 栄養相談及びデイケア作品展示などのイベントを行いました。毎年恒例となったこの日のイベントに外来診察を待っておられる患者様や付き添いの家族の方など45名の方が参加されました。

 身長、体重、血圧測定や足で簡易的に測定できる骨密度測定、睡液で簡単にストレスが測定できるこころメーター。なかでも人気があったのは、乗るだけで体脂肪率や内臓脂肪、基礎代謝が正確に測定できる体脂肪測定でした。近年増加しつつある生活習慣病に関心のある方がたくさん参加されました。測定結果に対して、看護師が食生活や日常生活の注意点などアドバイスを行い、パンフレットの配布をさせていただきました。又、栄養士による栄養相談も人気がありました。短時間でしたが、地域の方を始めとし、たくさんの方と交流がもてる良い1日となりました。

 来年も5月か6月の土曜日に当院でイベントを行う予定です。健康に自信のある方、不安や疑問のある方など皆様の健康状態を知るきっかけになりますので、多くの方が気軽に参加してくださることをお待ちしています。

デイケア 作品展示催に関する記事です
    デイケアだより 看護の日 作品展開催 [2008年7月]

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冊子「がんの痛みのコントロール」の紹介

 がんの痛みに苦しまれる患者さんの症状を少しでも緩和するため、当院では 宮垣 拓也 (外科部長)、三宅 健文 (薬剤科長)を中心として、医療従事者向けに小冊子『がんの痛みのコントロール』を作成、配布しております。

がんの痛みのコントロール第7版
青い表紙が『がんの痛みのコントロール 第7版(2008年4月刊)』です


ご希望の方がいらっしゃいましたら、下記までご連絡くだされば幸甚です。

西陣病院医薬品情報室
電話 075-461-8800(代表)
メール pharm-di@nisijin.net


あとがきにかえて (第4版より)
あとがきにかえて (第5版より)
あとがきにかえて (第7版より)

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あとがきにかえて (第7版より)-「がんの痛みのコントロール」-

(この文章は、医療従事者の方々向けに発行している冊子『がんの痛みのコントロール ~除痛率100%をめざして~ 』第7版に掲載した 宮垣 拓也 医師のあとがき文です)

第7版 あとがきにかえて

柳原:この4ヵ月、毎日、誰とも語らず、どこにも出ず、ただただ痛みに耐えてきたんですね。それで、痛みにひとつだけ効用があることがわかったんです。何だと思います?
加島:わかんないなあ。痛みはすごく怖いといつも思う弱虫だもの。ただ若い時、自分の腕をぶちきろうとしたけど、痛みはあまりおぼえていない。
柳原:私の結論はね、死ぬことが怖くなくなる。死ぬことが解放になる。この痛みから抜け出られるなら、死ぬってすてきなことだと思わせてくれる、その装置をつくってるんだということを、知りました。
加島:それはそうだ。痛みは死へのひとつのプロセス、過程ですね。その変化をじっと待って、痛みに耐える人になったら、大したもんだよ。僕にはできないけど。
柳原:変化を見る余裕はなかったですね・・・・・耐えるしかなかったから。
加島:『老子』から学んだ一番大きな思想は「すべては変化する」ということでしたね。それを実感したのは・・・・・
婦人公論 2008年3月22号より


 卵管癌と告知されて10年余、治療後再発し「余命半年」と云われてから4年余。その間、「がん患者学」「百万回の永訣-がん再発日記」など数々の作品を上梓され果敢にがんと闘われたノンフィクション作家の柳原和子さんがこの3月初めの日曜の朝、家族や仲間が目を話したわずかな間に、自分でその時を選んだかのように静かに笑顔で逝かれました。
「ああ。木に出会いたい。海に出会いたい。光を浴びたい。自然を取り戻したい。贅沢な希望」2月初めのこれが最後の文章。冒頭は亡くなられる2ヵ月少し前に行われた詩集「求めない」がベストセラーとなった詩人の加島祥造さんとの対談の一部です。

 この対談を読んだ時、真っ先にキュブラーロスの言葉を思い出しました(第4版あとがきにかえて参照)。本当に難しい。時にドクターショッピングと揶揄されながらも患者さんの切実なニーズに応えつつ、我々医療従事者の自省の契機にもなった作品を次々出版し、医学に精通し多数の優秀な先生方に支えられているはずの柳原さんでもこうなのかと、柳原さんだからこそこうなのかと・・・痛みについても十分勉強されその道のプロにしっかりペインコントロールされているものと思っていた者にとって、痛みに苦しまれている冒頭の対談はある意味衝撃を受けました。勿論この後、然るべき施設で適切な緩和ケアを受けられてこその穏やかな旅立ちだったのでしょうが、まだまだWHOや国が云う治療初期からの緩和ケアの道は険しいですね。
 これからも痛みに苦しまれる患者さんとの出会いは続きます。No Pain,No Gain「痛みなくして得るものなし」の意味を今一度自問自答しながら、山あり谷あり、あっちへ行ったりこっちへ来たり、3歩進んで2歩下がり、諦めず投げ出さずゆっくり頑張っていきましょう。相手の立場に立って、ということをよく言われます。しかし人はしょせん、他人の立場にたつことはできません。また、我々も患者さんも頑張ってどうにかなるほど単純な世界に住んでもいません。また患者さんが諦めることも投げ出すこともけっして悪いことではありません。これらのことを重々承知しながら。

 山頭火ではありませんが「まっすぐな道はさみしい」。無理せず、焦らず、水の流れの如く、溜まりに入っても慌てることなく、よどみも徐々に解かれていくから・・・

                  2008年 早春 宮垣 拓也



山頭火 =種田 山頭火(たねだ さんとうか) 男性 1882~1940

自由律俳句のもっとも著名な俳人の一人。

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