NEWEST / < NEXT   BACK >

私たちは生活の援助のプロです

(この記事は2009年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


看護部 部長 中島美代子



皆さま、はじめまして。7月1日付で、西陣病院の看護部長に就任いたしました中島美代子と申します。



私は、この3月まで、患者さまを直接お世話する病院ではなく、未来の看護師の育成の場である看護学校で教員として、学生の教育を行っておりました。私自身の経歴としては、病院で看護師として働いた期間のほうが長く、その中で出会った沢山の患者さまに、沢山の大切なことを教えていただきました。その学びが、看護師として働く、私の考え方や姿勢に大きな影響を及ぼしてきたと思っています。私は、学生たちに「看護は患者さまを看ることで学び、看護の評価は患者さまによって与えられる」と教えてきました。看護は私達が患者さまに何をするかではなく、患者さまが求めているものに、私達看護師が持つ知識や、技術でどうお答えするか、あるいはお手伝いするかだと思います。看護師は生活の援助のプロです。患者さまが病気や怪我をし入院する病院の中でも、患者さまの生活は続いています。痛くて苦しい生活を送っている方の苦痛をどのようにして取り除くか。また、病気になり不安になって過ごしている患者さまの不安をどのように緩和するか。自信をなくしてしまって落ち込んでいる患者さまに、どのようにして自信を取り戻していただき、家に帰っていただくか。そのために、私達は、患者さまの症状や検査の結果を観察し、患者さまのお話を聴き、今、何にお困りになっているのか、どんなことが苦しいのか、一緒に感じ、悩み、考えます。そして、患者さまと一緒に歩みます。患者さまの健康問題の生活の部分を支えるのが看護師の役割と言えます。



今、西陣病院に入院していらっしゃる患者さまは、病気や怪我をされ、入院し治療を受けていらっしゃいます。治療が進み、退院の日が近づくことはうれしいことだと思います。しかし、元の生活に戻るのは勇気がいることです。いろんな不安をお持ちだと思います。また、お家で待っていらっしゃるご家族の不安も同様のことと思います。患者さまの健康問題の生活の部分を支えるのが看護師の役割であるわけですから、私達は、患者さまやご家族の方々のこの不安も一緒に考えていきます。家に帰るのに、今、ご心配なことは何ですか? お困りなことは何ですか? ご自宅に戻ってどうしたらいいかわからないことはないですか? どうぞ、看護師にご相談ください。「家のトイレは部屋から遠いからそこまで歩けるかどうか自信がない」「家に帰ったら家事をしなければいけないけれど今までと同じようにしても大丈夫なのか」「今までの生活に問題があって病気になったことはわかっているが、どこをどう直して行ったらいいのか、家に帰ったらどんなことに気をつけたらいいのか」私達が患者さまやご家族の方とー緒に考え、患者さまに一番あった方法を見つけ、一緒にリハビリテーションをさせていただきます。患者さまやご家族の方に必要な知識を学ぶことをお手伝いさせていただきます。そして、入院中はできる限り、快適な生活を送っていただけるように看護の力を発揮して参ります。



これからも、西陣病院看護部は患者さまにご満足いただけるような、生活の援助のプロであれるよう、看護師一同努力して参りたいと思います。



新しい看護部長の紹介
中島美代子 看護部長
中島美代子 看護部長 出身地 長野県
血液型 A型
趣味 読書・絵を描くこと

| Copyright 2009,09,01, Tuesday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

慢性腎臓病について

(この記事は2009年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


泌尿器科 医師 前田陽一郎腎臓・泌尿器科 前田陽一郎


近年、慢性腎臓病(CKD : Chronic Kidney Disease)という概念が提唱され、その早期発見と早期治療の重要性が指摘されています。慢性腎臓病とは、尿検査や血液検査で腎臓に病気があることを示す所見がある、または腎臓の機能がある程度低下している状態のどちらかが3ケ月以上持続する場合のことです。この慢性腎臓病の患者は、心筋梗塞や脳卒中になり易いことがわかっています。また、腎臓の機能が低下してしまうと透析療法が必要になる可能性が高くなります。このような理由から慢性腎臓病の早期発見と早期治療は非常に重要なのです。日本腎臓学会の調査によると、わが国の成人における慢性腎臓病の患者数は約1330万人いると推計されています。これは成人のうち慢性腎臓病の人が12.9%もいることになりこの数は予測されていたよりもはるかに膨大です。もはや慢性腎臓病は国民病であるといっても過言ではありません。これらの慢性腎臓病の人たちが早期にそれぞれの進行過程に合った、適切な治療をきちんと行えば、透析になったり、心疾患で亡くなったりする人の数を大幅に減らすことが可能と考えられています。

では、慢性腎臓病を早期発見するにはどうすればよいのでしょうか? 一番簡単な方法は尿検査を受けることです。職場の健診や住民健診で尿検査を受けたことがある方も多いのではないでしょうか。腎臓が正常な場合は尿中にタンパクは混じっていません。ところが慢性腎臓病の患者では尿にタンパクが混じっています。この尿タンパクが存在するかを調べるのは非常に重要なことなのです。尿検査ではこの尿タンパクの有無を調べることができます。また、尿タンパクがたくさん出ている人ほど、将来腎臓の機能が悪くなる可能性が高くなることがわかっています。しかし、健診などで「尿にタンパクが混じっていますよ。病院で診てもらってください。」と指摘されても、自覚症状がないために、ついつい放っておく人が圧倒的に多いのが現実です。尿タンパクを指摘されて実際に病院で詳しい検査を受けた人は約半数にとどまっていることが、日本慢性腎臓病対策協議会の調査で分かり、腎臓病に対する認識の低さが問題となっています。尿タンパクの程度に応じて適切に治療することで、腎機能障害の進行を防ぐことができる場合があります。また、腎機能障害の進行を防ぐことができない場合でもその速度を遅くすることは可能です。健診などで尿タンパクを指摘された場合は、自覚症状がなくても(自覚症状が出現するぐらい腎臓の機能が悪くなる前に)病院で詳しい検査を受けて頂きたいと思います。特に、糖尿病、高血圧、肥満、脂質異常症(高脂血症)、メタボリックシンドローム、尿路の病気、膠原病、肝炎、家族に慢性腎臓病の人がいる、消炎鎮痛剤を常用する方は注意が必要です。尿検査を受けていない人にはぜひ受けていただきたいと思います。


| Copyright 2009,09,01, Tuesday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

「結膜弛緩症」について

(この記事は2009年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


眼科部長 小室青


結膜弛緩症とは、その名の通り、結膜(白目の皮)が弛緩する(たるむ)病気で、中高年に非常によくみられます。病気といっても、もともとは、顔のしわと同様に加齢性の変化であるので、特に治療されていませんでした。しかし、最近、この白目のしわである結膜弛緩症が、涙目やごろごろ感といった目の不快感の原因となることがわかってきたため、手術的な治療もなされる様になってきました。では、なぜ、結膜弛緩症が目の不快感を引き起こすのでしょう。

涙は、上まぶたの外側の奥にある涙腺というところで作られ、目の表面を潤したあと約10%は蒸発し、残りは、目の内側にある小さな穴(涙点)から、鼻の奥の方へと抜けていきます(泣いた時に鼻がでるのは、このためです)。結膜弛緩症では、たるんだ白目の皮が、下まぶたの縁に存在します。この下まぶたの縁は、涙がたまり、涙点へ流れていく涙の通り道になっていますので、たるんだ白目の皮がこの通り道をじゃまするために、涙がうまく流れていかなくなり、涙がまぶたの皮膚の方に、こぼれやすくなります。そのため結膜弛緩症では、なみだ目を訴えることが多いのです。また、まぶたの縁にたまった涙は、まばたきのたびに、目の表面に広がりますが、結膜弛緩症では、本来涙がたまる部分にゆるんだ白目の皮があるため、涙のたまる場所が小さくなっています。したがって、涙が少ない人では、涙がさらにたまりにくくなり、もっと目がかわきやすくなることがあります。また、目がかわきやすい人では、ゆるんだ白目の皮が、まばたきのたびに、目にふれる感じ、すなわち、ごろごろ感を感じやすくなります。また、もともと、目がかわきやすいドライアイの人に白目のたるみがあると、目薬が、うまくたまらずこぼれてしまうので、症状が悪化しやすくなります。このような症状以外にも、まばたきのときに、たるんだ白目と上まぶたの縁が擦れて白目に出血(結膜下出血)が起こり、白目が真っ赤になったりすることもあります。また、かすんで見えることもありますが、結膜弛緩症があっても、まったく症状がない患者さんもたくさんおられます。

結膜弛緩症によると考えられる強い自覚症状がある場合には、治療を行います。よく充血する場合や、ドライアイがある場合には、炎症をおさえる薬や人工涙液の目薬をします。軽い症状であれば、自然によくなることもありますが、症状が強いようであれば、手術で治療します。手術は特に入院の必要もなく、手術の間の痛みもありません。手術は、白目のたるみを切除するものですが、白目のたるみは重力の関係で下方に強いので、主に下方の結膜を切除し、できるだけ目の表面をしわのないなめらかな状態にします。アンケートによる調査では、この手術後には、約90%の患者さんの自覚症状が良くなることがわかっています。しかし、涙目については、涙点以降の涙の通り道が狭くなっている(鼻涙管狭窄)を合併している場合も多くあり、結膜弛緩症の手術だけでは、あまり症状が良くならないこともあります。また、もともとドライアイがある場合には、術後も人工涙液の点眼を続ける必要があります。

結膜弛緩症は、ありふれた病気ですが、目の強い不快感を生じることがあります。なみだ目やごろごろ感といった目の不快感が続く場合には、一度眼科を受診してみて下さい。

| Copyright 2009,09,01, Tuesday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

夏バテ解消、疲労回復にビタミンB1

(この記事は2009年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


栄養科 管理栄養士 須惠裕子


ビタミンB1は
  • 糖質がエネルギーに変わるのをサポート
  • 不足すると、糖質の代謝が低下し乳酸などの疲労物質が体内に溜まり、疲れやすくなります
  • 過剰摂取しても、水溶性のビタミンなので尿などと一緒に体外に排出され、過剰摂取による毒性は知られていません


ビタミンB1 1日の必要量

男性 0.8~1.1mg  女性 0.7~0.9mg


多く含まれる食品は
夏バテ解消、疲労回復にビタミンB1
  • 豚ヒレ肉100g 1.22mg
  • うなぎ蒲焼1串(100g) 0.75mg
  • 大豆(ゆで)100g 0.22mg
    • 1回量(45g) 0.1㎎
  • 玄米ごはん茶碗1杯(150g) 0.24mg


食べ方のヒント
  • にんにくやネギ、玉ねぎ、にらなどの臭気成分であるアリシンと一緒に摂取すると効果的です
  • 貝やエビ、カニ、山菜などにはB1を破壊する酵素が含まれていますが、熱に弱く加熱して食べれば影響は少なくなります


献立例
梅じそ豚ヒレカツ 2人分(1人当たり エネルギー:225Kcal, ビタミンB1:0.77mg)
豚ヒレ肉…120g 塩・こしょう…各少量 梅干(種を除く)…2個
青じそ…4枚 溶き卵・小麦粉・パン粉…各適量 揚げ油
  1. 豚肉は4等分に切り、厚みの中央に切り込みを深く入れ、塩・こしょうをふる。
  2. 梅干はたたき刻み、しそに等分にのせる。
  3. 肉の切り込みに(2)をはさんで爪楊枝で止め、卵・小麦粉・パン粉の順に衣をつける。
  4. 揚げ油を180度に熱し、(3)を入れて約5分こんがり揚げ、出来上がったら爪楊枝を抜く。

参考 (100gあたり)

エネルギー(kcal)ビタミンB1(㎎)
豚ヒレ肉1121.22
豚ロース2910.77
豚ばら肉4340.45

| Copyright 2009,07,01, Wednesday 09:26am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

西陣病院でボランティア活動をはじめて

(この記事は2009年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


宮本清正


転機は10月だった!

もともとサラリーマン人生を歩むつもりが、父の死で本格的に田舎で何百年と続く旧家と実家の商売を引き継ぐ事になった。まぁ誰かの代でやらなければならないとは思っていたので、今の時代では通用しない風習をスクラップし現代に必要な習慣をビルトして、交通整理が終わった頃時間が空いてきた。そこで友達からボランティアを薦められた。もともと思っていたのは、ボランティアをする事は人生をしっかり片付けた定年後に欲も得もなくやる姿が健全だと思っていて、未だ早いと思ったがとりあえず、ひと・まち交流館に行って西陣病院を知った。西陣病院が京都の西北という立地は魅力的だった。

私は学生時代もサラリーマン時代も京都市内で過ごし、そこには北野おどりがあり、金閣寺があり四季折々の文化と伝統行事があることを当たり前に思っていた。田舎に帰ってTVニュースで京都の伝統行事の中継を見るにつけ、そのあり難さがわかった。

ボランティア活動中の1コマ

おっかなびっくりではじめたボランティアだが案外すんなり入れたのは、地域に於いて商売を通して老人の方と接し話し相手をしている事などで、ある程度失礼のない話し方をする事には慣れていた。ほかにもPTA、体育振興会をはじめとする地域活動にも参加していたので、病院とか公共性のあるものについてはイメージダウンにならないよう言動には注意するという押さえどころ、及びケジメは分っていた事も良かったと思う。

今では屋上で草むしりをしている時、京都の山々を見ながら患者さんと話していたら、本当に西陣病院で良かったと思う。西陣病院の理念が分るような気がする。西陣病院は癒される雰囲気があり、勿論人命を預る仕事ゆえ緊張感の上に成り立っているが、本当に地域に根ざした病院であると思う。

私自身にも変化があったのは、私は前述したように一族のものがサラリーマンとして、全国を飛び回る間に田舎の旧家のメンテナンス役をしっかりこなして、家族を支えている自負があった。しかし、車椅子の移動とか患者さんの面倒を看たり、草むしりをする事で解ったのはそれは全て自分の事であり、常に裏方として支えてくれている家族の存在と健康でいてくれることが当たり前と思い、思いやりがなかった事を反省した。最近は思わず帰り道にお土産にドーナツ等を買って帰る事が増えた、今日この頃である。


| Copyright 2009,07,01, Wednesday 09:25am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

NEWEST / PAGE TOP / < NEXT   BACK >

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACK


LINK

PROFILE

OTHER

POWERED BY

BLOGNPLUS(ぶろぐん+)