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男性の病気、前立腺癌と前立腺肥大症について

(この記事は2009年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


泌尿器科 医長 関英夫泌尿器科 医長 関英夫


おしっこが近くて少しずつしか出ない、残尿感がある、おしっこが出にくいといった症状は加齢に伴い男女を問わず多かれ少なかれ出てきます。「年をとったら皆そんなもんだ、仕方がない。」ということも確かにありますが、中にはそうでないこともあります。

とくに男性においては、膀胱と尿道の間に前立腺という臓器があり、前立腺は加齢に伴い排尿の異常の原因となることがあります。その中で頻度の高いものが前立腺肥大症です。前立腺肥大症とはその名の通り、前立腺が大きくなって、正常ではクルミくらいのものが大きいものではソフトボール位になってしまい、膀胱や尿道が圧迫されておしっこが出にくくなったり、頻尿になったりする疾患です。この病気は50才くらいから症状が出だして次第に悪化してくることがあります。悪化するとお酒や風邪薬などの服用を契機におしっこが全然出せなくなり非常に苦しい思いをすることがあります。年末年始などに飲みすぎた後でおしっこを出したくても出せなくなり、苦しくなって深夜に救急受診される方を時折見かけます。

治療方法は、軽症ならば内服で、重症の場合は手術を行うことが一般的です。手術は尿道から内視鏡をいれて前立腺を削り取る手術がほとんどです。入院は1-2週間です。手術によって薬を使わずとも若い頃の様に勢いよく排尿できるようになることがあります。

次に、いま述べた前立腺肥大症とほとんど同じ症状で、注意をしなければいけない疾患で前立腺癌があります。症状が同じでも癌の場合は治療法が全然違ってきます。手術療法、放射線療法(リニアック、IMRT、小線源療法)、薬物療法(ホルモン療法、癌化学療法)などを駆使して治療を行います。もちろん早く見つかるほうが治癒率は高いです。しかしながら癌の場合は症状が出てきたと時はすでに進行癌で根治が難しいことがしばしばです。

症状が気になりだしたら一度は受診していただくのはもちろんですが、症状が出る前に検診などで前立腺癌の血液検査(PSA)をすれば早期癌の段階で発見できることもあり、根治できる可能性も高くなります。50歳を超えたら1年から2年ごとに1回程度の前立腺癌の血液検査をすることをお勧めします。

以上、簡単ではありますが泌尿器科の代表的な疾患を紹介させていただきました。


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冠動脈石灰化について

(この記事は2009年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


内科 医長 北村亮治内科 医長 北村亮治


動脈が肥厚し硬化した状態を動脈硬化といい、これによって引き起こされる様々な病態を動脈硬化症といいます。動脈硬化の最終像である石灰化は、血管壁の柔軟性と弾力を減少させ、最終的には血管脆弱性を招きやすい状態になります。このため、血管石灰化は糖尿病や慢性腎不全の症例において、虚血性心疾患や脳血管障害などを誘発する因子として注目されています。この中でも冠動脈石灰化は虚血性心疾患の検出や予後判定に有用であるという成績が多く報告されています。冠動脈石灰化は粥状動脈硬化のプロセスで生じ、正常血管壁には生じないと考えられています。従って、冠動脈石灰化を評価する意義は冠動脈硬化の存在とその重症度を評価することにあります。

マルチスライスCT(MDCT)を用いた冠動脈石灰化の検出及び測定は、造影剤を使用せずに比較的容易に短時間で検査が可能であり、X線の被爆という点を除けば、患者さんに苦痛を与えることなく施行できます。生活習慣病の予防と治療においては、動脈硬化の進展予防が重要であり、冠動脈硬化の一指標である冠動脈石灰化の測定は、動脈硬化の進展の程度の把握と虚血性心疾患の予防への動機づけに有用であると考えられます。したがって、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常症、慢性透析の患者などを基礎疾患に持つ方々に検診の一環として冠動脈石灰化の測定を行うことは重要であると考えています。

また、ADLが低下し日常生活で虚血発作が誘発されにくく、無症候性虚血も多数存在する超高齢者患者にも、非侵襲的に簡便に低リスク患者群と高リスク患者群を同定できる冠動脈石灰化の測定は非常に有用と考えています。残念ながらMDCTには石灰化部位が冠動脈狭窄部位とは必ずしも一致せず、また、脂質が豊富で不安定な非石灰化プラークの検出などに課題を残しています。しかし、一般に冠動脈石灰化量(CACS)は冠動脈硬化重症度と相関するといわれており、CACSを算出することによって将来的な心血管事故の危険性を推定することができます。なお、冠動脈の狭窄部位の精査については、石灰化が高度な症例では造影剤を使用する冠動脈CTAより冠動脈造影法で確かめる方が良い場合もあります。

いずれにしても、虚血性心疾患の評価目的として冠動脈石灰化の測定をお勧めします。興味あれば一度循環器科の医師に相談して下さい。

 

図1 MDCTでの冠動脈石灰化
MDCTでの肝動脈石灰化

 

図2 冠動脈石灰化についてのコンセンサス
肝動脈石灰化についてのコンセンサス


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神経伝導検査-神経障害の検査-

(この記事は2009年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


臨床工学検査科 山下奈々
 
 

手がしびれることはありませんか?

手のしびれをおこす疾患の一つに「手根管症候群」という病気があります。この病気の原因は正中神経にあります。正中神経は、頚椎から肩・肘を通り手首のあたりで手根管とよばれるトンネルを通って指先まで走っています。このトンネル内で神経が圧迫されることにより、しびれを起こします。

このしびれは「手根管症候群」の主な症状です。進行すると、しびれが痛みに変わり、「筋肉のやせ(萎縮)」・「指先の動き」が悪くなったりします。手のしびれは親指~薬指の4本にみられ、特に親指・人差し指・中指に強い症状がみられます。小指は別の神経(尺骨神経)に支配されているため、しびれません。

しびれや痛みの症状は夜間・早朝に強くなるのが特徴です。女性に多く、家事などで手を酷使すると発症してしまうこともあります。また、腎不全(長期透析)・糖尿病・リウマチ・自己免疫疾患などと関連して生じることが知られています。

手根管症候群を診断する手段として神経伝導検査という検査があります。

神経伝導検査では親指の付け根の筋肉(短母指外転筋)に電極を貼り付け、手首とひじを電気で刺激し、電極から波形を記録、電気の伝わる速さなどを測定します。測定した値と描出された波形から神経障害の有無やその程度を知ることができます。

「電気で刺激する」というと怖く思われますが、低周波マッサージのようなピリピリ程度です。人によっては少し痛く感じる場合もありますが、痛みが残ることはありません。検査にかかる時間はおよそ30 分程度です。

今回は「手根管症候群」を取り上げましたが、その他にも手だけでなく足にもしびれを起こす病気はあります。気になる方は一度、末梢神経外来(木曜・午後のみ・予約制)または整形外科外来を受診されてみてはいかがでしょうか?


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看護の日のイベント2009年

(この記事は2009年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


手術室 科長 堀さとみ


わが国では皆様に看護職に対する理解を深めていただくため、平成2 年に看護週間と看護の日(5 月12 日)が制定され、翌年から各地で看護の日のイベントが行われるようになりました。その看護の日とされた5 月12 日はナイチンゲールの誕生日で国際ナースデーでもあります。

当院でも毎年、看護の日にちなんだイベントを行っています。今年は7月25 日土曜日にふれあい看護体験と、外来待合スペースにて生活習慣病委員会と合同で地域の方々の健康チェック、デイケア作品展示を開催しました。

看護体験には3 名の女子高校生が参加され、白衣に着替えて病棟でバイタルサインチェックやリハビリ、注入食の見学などを体験していただきました。短い時間でしたが、病棟で看護の仕事に触れ、将来看護師を目指したいという決意が聞かれ大変うれしく思いました。何年か後に体験に来てくださった方々と一緒に働ける日がくるのを楽しみにしています。健康チェックでは、血圧、身長・体重、血糖、骨密度測定と体成分分析を行い、管理栄養士による栄養相談、薬剤師によるお薬相談の他、看護師による健康相談とフットケアを実施しました。大雨にも関わらず、日ごろ健康管理に関心をお持ちの方々が参加してくださいました。

来年も5 月から8 月の間でイベントを行う予定です。診察を受けるほどではないけれど、何か気になるようなことがある方、普段のお食事やお飲みになっておられるお薬のことなど、健康に関するご相談をお受け致しますので、皆様お気軽におこし下さい。


看護の日

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夏バテ、口内炎の予防にはビタミンB2

(この記事は2009年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


栄養科 管理栄養士 河本久美子


ビタミンB2は・・・
  • 脂質がエネルギーに変わるのをサポート
  • 余分な脂肪がつきにくくするため、肥満を抑える働きがあります
  • 皮膚や粘膜の健康を保ち、口内炎やニキビの予防や改善する効果もあります


肥満度を知ることが第1歩
BMI:肥満度の判定に用いられる指数です。 体重kg÷(身長m×身長m)の式で計算し、22の指数が理想です。
判定 18.5未満 18.5~24.9 25以上
やせ 標準 肥満

ビタミンB2 1日の推定平均必要量 (50歳以上)

男性 0.9~1.2mg  女性 0.8~1.0mg


多く含まれる食品は・・・
納豆
  • うなぎ蒲焼1串(100g) 0.74mg
  • 豚ヒレ肉100g 0.27mg
  • 納豆1パック(50g) 0.28mg
  • 卵1個(50g) 0.22mg
  • モロヘイヤ70g 0.29mg


献立例
うなぎの酢の物 2人分 (1人当たり エネルギー:191kcal, ビタミンB2:0.4mg)
うなぎの蒲焼…50g きゅうり…1本 白ごま…大さじ1/2 みょうが…1個
〈合わせ酢〉
 酢…大さじ2 だし汁…大さじ2 砂糖・薄口醤油…各大さじ1/2 しょうが汁…少々
  1. うなぎは酒を振ってさっと焼き直し、1cm幅に切る
  2. きゅうりは薄切りにして塩もみし、しんなりしたらさっと洗って水気を絞る
  3. みょうがは斜めの細切りにする
  4. (1)と(2)を合わせ酢で和え、みょうがを散らし、ごまを振る


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