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LDLコレステロールについて

(この記事は2009年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


臨床工学検査科 副主任 松田英樹


コレステロールについて

 皆さんは、コレステロールをご存じでしょうか。

 コレステロールは脂質の一種です。生命維持に必要な役割を果たす物質で、以下の働きがあります。

・男性ホルモン、女性ホルモンを作る材料となる
・細胞を包む膜(細胞膜)を作る
・栄養分の分解吸収をする

 コレステロールは食べ物からも摂り入れられますが、必要量の約7~8割が肝臓で作られ、食べた量に合わせて血中コレステロールが一定に保つよう調整されています。このコレステロールを肝臓から身体の細胞に運ぶものをLDL(悪玉コレステロール)といいます。悪玉といいますがコレステロールを体内へ運ぶ大切な仕事をしています。ただし、活性酸素によって酸化された悪玉コレステロールが要注意で、それが血管の壁にくっついて、内壁をどんどん硬く厚くし、狭くしていくのです。これが動脈硬化です。


閉塞性動脈硬化症(ASO)とは

 動脈硬化が進むと、動脈の血管は硬くなったり狭くなったりします。

 特に、足での動脈硬化が進み、足の血管が狭くなったりふさがったりすると、血液の流れが悪くなって、足の先の方まで栄養や酸素を十分に送る事が出来なくなってしまいます。足が冷たい、しびれる、ふくらはぎの筋肉がつる、痛むなどの症状が出てきます。

 このような症状を閉塞性動脈硬化症(以下ASO)といいます。症状の出現部位は腰の部分から足先までありますが、最も多く出現する部位はふくらはぎです。この部位にASOが起きると、足先にチアノーゼ(血液の酸素濃度が低くなり皮膚が紫色になること)・潰瘍が起きやすくなり、最悪の場合、壊死するケースがあります。

 ASOの治療は、症状の進行状況に応じて薬物療法や外科的治療が用いられますが、薬物療法で十分な効果が得られず、外科的治療が難しい場合には、動脈硬化の原因の一つとされる血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)などを除去する目的でLDL-アフェレーシス療法を行います。


LDL-アフェレーシス療法とは

 「アフェレーシス」とは、患者さまの血液中の不必要な成分を取り除いて、きれいにした血液を再び患者さんに戻すことです。

 LDL-アフェレーシス療法は、専用の機械を用いて体から血液を取り出し、吸着器でLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を取り除きます。きれいになった血液はすべて体に戻されます。治療時間は、症例によりますが約3時間程度で、治療効果を診るために動脈硬化検査や採血等も行います。LDL-アフェレーシス専用機器

 ASOの患者さまで、なおかつ一定の条件を満たす場合にLDL-アフェレーシス療法が保険適応となりますが、治療期間は3ヶ月間で10回までとなります。

 当科では、医師の指示のもとに、LDL-アフェレーシス療法の準備・設定・治療・管理を行っております。

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メタボ(メタボリックシンドローム)と対策(まとめ版)

(この記事は2009年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院栄養科 科長 木村美枝子

-メタボはなぜ怖い?-

 最近の高脂肪食、運動不足などの生活習慣のもとで内臓脂肪の蓄積が引き起こされ、それがインスリン抵抗性の原因となりその結果、高血圧、糖尿病、脂質異常症など心血管病のリスク因子が複数重なりあって動脈硬化疾患(心筋梗塞・脳卒中など)の危険ハイリスクになると言われています。


-18年度国民栄養調査結果から- 食習慣の改善を!

(1)メタボリックシンドローム及び予備軍
 ・40~74歳でみると、男性の2人に1人、女性の5人に1人
(2)肥満者(BMI≧25)の割合20歳以上
 ・男性30~60歳代の3割が肥満
 ・女性60歳代の3割が肥満
(3)脂肪エネルギー比率が30%以上(20歳以上)
 ・男性 約2割  女性 約3割

-内臓脂肪を減らす5つのポイント-

(1)日本の食文化を見直す(日本人の体質に合っている)
 ・主食に魚類、豆類、野菜を積極的に取り入れる
 ・太らない食事→脂肪のとり方に工夫を
(2)食事量の目安を知る
 ・主食に一汁三菜(主菜、副菜、汁物そろえて)
(3)食べる順序で満腹感を
 ・野菜など食物繊維の多いものを食べる
 ・よくかんで食べる
(4)食事のリズム
 ・朝昼夕食は規則正しく食べるというリズムを作ることで、レプチンが分泌され食欲が調整されます。~夜間に食べると太りやすい~
 ・食事はゆっくり摂る
(5)野菜やくだものでアディボネクチンを刺激
               ▼
 ・メタボを抑えるホルモン=動脈硬化防御機能をもつ
 (但し、くだものの摂りすぎに注意)

かんたんレシピで野菜を摂ろう!!(各2人分材料)

ブロッコリーのかき油炒め (エネルギー143kcal 食物せんい4g)
ブロッコリー…1/2株(100g) しめじ…1パック(100g)
にんにく…1/2株 かき油…大さじ1

(1)ブロッコリーは小房に分けて熱湯で固めにゆでる。
(2)しめじは石づきをとり、ほぐしておく。にんにくはみじん切りにしておく。
(3)中華なべにごま油大さじ1を入れ、にんにくを炒めた後、しめじを入れて炒める。
(4)ブロッコリーを加えて手早く混ぜ、塩・こしょうを入れ、かき油をまわしかけて炒め混ぜ合わせる。
豚汁うどん (エネルギー384kcal 食物せんい5g)
うどんは冷凍うどんでもOKです。(冷凍うどんは解凍せずにそのまま入れて)
野菜たっぷりの豚汁にうどんを加えて、体があたたまる一品です!!
豚バラ薄切り肉…80g ごぼう…50g だいこん…80g 人参…20g
長ネギ…30g うどん…2玉 味噌…40g しょうゆ…小さじ2
酒…大さじ2 だし汁…4カップ 粉山椒…少々

(1)ごぼうは細い乱切り、大根・人参はいちょう切りにし、固めにゆでる。
(2)豚肉は細切りにして炒めておく。だし汁に肉、ゆでた野菜を入れ調味料を加えて調える。
(3)野菜たっぷりの豚汁にうどんを加え、再度煮立て仕上にネギを入れる。



前回の記事です
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第1回[2008年1月]
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第2回[2008年3月]
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第3回[2008年5月]
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第4回[2008年7月]
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第5回[2008年9月]
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第6回[2008年9月]

過去の関連記事です
    メタボリックシンドロームについて[2006年9月]

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デイケアだより 転倒を防ぐための環境整備

(この記事は2009年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

デイケア室主任 作業療法士 石原祐子

 東京消防庁の統計(平成18年度)によると、ケガが原因で搬送された高齢者のうち、転倒・転落による人が78%にものぼるそうです。どのようにしたら、転倒を防いで安全に生活することができるでしょうか。
 転倒・転落事故の要因として最近注目されているのが、次の12項目です(中間浩一氏の研究による)。

(1) 転倒・転落事故の経験
(2) 中等度以上の認知症
(3) 多動
(4) 早足
(5) 年齢(85~89歳)
(6) トイレ使用
(7) 骨密度低下
(8) 不穏
(9) 便秘
(10) バランス不良
(11) 抗生物質
(12) 視覚障害


 運動能力だけでなく、認知症などによる不安やあせり、周囲の状況がわからないなどの精神的な面、また、便秘や尿意ががまんできなくて急いで動こうとするなど、排泄行為の影響もわかってきました。
 さらに、転倒・転落事故の発生場所として、施設、自宅とも、廊下や階段ではなく居室が70%をこえていることも見逃せません(前述統計)。
 最も長い時間を過ごす居室での転倒を防ぐために、次のような工夫が考えられます。参考にしていただければ幸いです。

(1) なるべく床に物を置かない。
(2) コード類は移動のじゃまにならぬように、すみに固定する。
(3) じゅうたんやマットは、端を固定する。
(4) 夜間は足元に常夜灯をつける。暗くてもスイッチが見えるよう、蛍光テープを貼る。
(5) 床はすべりにくく光を反射しにくい素材にする。
(6) 階段の端にはすべり止めテープを貼る。
(7) 敷居などの段差には段差解消材、ミニスロープを貼り付ける。
(8) いすやベッドの高さは、一般的には、ひざが直角になり足底がしっかり床につくように。
(9) よく使うものは、背のびしたりかがんだりしなくても取れるところに置く。


※デイケア(通所リハビリ)では、介護保険「要支援」「要介護」の方に、転倒予防のための運動を取り入れたプログラムを行っております。お問い合わせ・見学ご希望の方は、電話461-8800(代)からデイケア室を呼び出していただくか、直接、西館地下1階デイケア室までおたずねください。

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私たち薬剤科の仕事

(この記事は2009年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤科科長 三宅健文

 今回は、薬剤科について紹介します。

 私たち薬剤科(現在、薬剤師は10名)の仕事はもちろんクスリに関するすべての事。最近クスリの進歩はめざましく、いろいろな病気を治療する上でとても大切なものとなってきています。患者さま一人一人に最も適したクスリが効果的かつ安全に使われ、質の高い薬物治療が行なえるよう、医師や看護師など他のスタッフと連携をとり業務を行なっています。

 業務の中心は、入院患者さまが服用するクスリの調剤や監査業務、中心静脈栄養療法時の注射薬混注業務、薬剤管理指導業務(患者さまへのクスリの情報提供を行なったり、クスリに関するご相談をお受けするとともに、クスリを効果的に使用する上で必要なお話を伺ったりしています)などですが、入院患者さまだけではなく、外来患者さまや地域の方々に糖尿病教室や透析教室など各種健康教室でもクスリの話をしています。また、次世代の薬剤師を研修・教育するために、入院薬局や病棟において薬学部の大学院生や4回生を対象に、実務研修や実習なども行なっており、新しい薬学教育6年制の薬学部生も受け入れるため現在準備を進めています。

 今年で処方箋を院外に発行してから10年目になります。外来患者さまに対しては、お目に掛かることが少なくなってしまい、少し寂しい思いをしていますが、近隣の保険薬局とも連携を取りながら、適正にクスリが使用できるよう努力しています。クスリに関して疑問・不安等があれば遠慮なくいつでも声をおかけください。

 最近の薬剤科では、専門的な分野にも力を入れています。ひとつは、糖尿病治療に関する専門としての『糖尿病療養指導士』が2名います。ふたつめは、厚生労働省が推進している“がん均てん化(どこの施設でも同じようながんの治療が受けられる体制)”に伴い、1名の『がん薬物療法認定薬剤師』がいます。最後に、入院患者さまの栄養に関するサポートを行なうため専任の『NST専門(薬剤師)療養士』が1名います。まだまだ至らないところも多いと思いますが、クスリを通じて患者さま一人一人の身近な存在として日々業務を行なっていけるよう精進して参りたいと思いますので宜しくお願い致します。

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新年のごあいさつ 平成二十一年 元旦

(この記事は2009年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院 院長 伊谷賢次

 明けましておめでとうございます。

 皆様には、さわやかな新春をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。また、昨年中、当院に賜りました数々のご厚情とご支援に対しまして、職員一同心より御礼申し上げます。

 西陣病院は、地域の福祉医療を担って発足し、現在まで75年間にわたり、地域に密着した良質な医療が提供できるように、施設規模の拡大と医療内容の充実を図ってまいりました。特に、昭和61年の西館竣工後は、当院も京都市北西部の中核病院となりました。

 しかし、時代の流れとともに、医療そのものも高度化だけでなく医療安全など多様化し、患者さまのニーズも変わり、これらに対応できる医療を提供するには、本館は老朽化で手狭となりました。平成16年に本館増改築工事を着工し、平成20年3月に今日の患者さまのニーズに十分お応えできる医療環境の容積を確保することが出来ました。

 この間、地域住民の皆様や地区医師会の先生方はじめ、関係各位より当病院にお寄せ頂きました暖かいご理解とご支援に対して衷心より感謝申し上げます。

 また、本館増改築に合わせて、画像診断センター開設、115床の透析センターのワンフロアー化、西館も本館同様の療養環境確保のための改修工事、1病棟増設、日本病院機能評価受審(Ver.5.0)、7:1看護体制など当院にとって激動の数年間でした。この難局を事無く乗り越えられたのも職員の頑張りのお陰と深く感謝しています。

 この竣工により、今後はこの設備と機能を、如何により良く活用して行くかが、私共職員の最大の課題であろうと思っております。医療の取り巻く環境は厳しいものとなりましたが、当院の目指すべき目標は変わらず、設立当初からの基本方針である、地域に密着した良質な医療をさらに高いレベルで提供することです。

 今後さらに診療体制を充実させ専門性の高い急性期病院を目指します。しかし、中高年層の多い地域密着型の病院ですので、合併症の多い患者さまが安心して安全で高度な医療を受けていただくには各科医師の連携はもちろん看護師をはじめ、すべての医療スタッフのチームワークが必要です。職員全体が、患者さんを主体に考え、良質な医療を提供するためにスタッフ一人ひとりが役割と責任を自覚して努力していきますので、今年一年、さらなるご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

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