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(この記事は2009年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
泌尿器科 医長 小山正樹
さまざまな原因で腎臓の働きが除々に悪くなる病気を、慢性腎臓病(CKD)といい、日本では、成人の25人に1人は慢性腎臓病の疑いがあると言われています。腎臓病が進行すると、透析治療が必要となります。透析患者の増加には、糖尿病などの生活習慣病の増加や高齢化社会の影響が大きく、平成17年末現在では、25万人を超える人が透析治療を受けておられます。これは国民の約500人に1人にあたります。
透析療法には、血液透析(HD)と腹膜透析(PD)という方法があります。それぞれ特徴がありますが、腹膜透析の大きな利点としては、在宅でできることにより透析前の生活スタイルを大きく変えることなく始められることや、ゆっくりと24時間連続した透析治療であることにより、体にやさしく、透析導入時に残っている腎臓の機能をより長く保てることなどがあげられます。
腹膜透析は、自分の体の中の腹膜を利用して血液をきれいにします。お腹の中に透析液を一定時間入れておくと、腹膜を介して血液中の余分な水分や老廃物が透析液側に移動します。その老廃物や水分を含んだ透析液を体の外に出すことで血液をきれいにします。
また、腹膜透析には、CAPDとAPDの2種類があります。CAPDは日中に4回ほど透析液を交換して治療します。交換は日常生活の中で行います。自宅だけでなく職場や学校などでも行えます。APDは就寝中に機械を使用して、透析液の交換を自動的に行う治療です。また、CAPDとAPDを組合わせることもあります。
腹膜透析を行ううえで透析液を交換するためのカテーテルと呼ばれるチューブをお腹に埋め込む必要があります。カテーテルは、お腹よりやや下の左ないし右のお腹より出ています。カテーテルの出口は、特別な消毒はいりませんが、一日一度は石鹸とシャワーによる洗浄が必要です。入浴にはカバー材を貼り付けて入る必要があります。
腹膜透析は、自分の腹膜を使って透析を行いますので、腹膜の動きが弱くなってきたら、いずれ血液透析に移ることが必要になってきます。また、長期間腹膜透析を行うとお腹の中の腸管が癒着することがありますので、5から7年で腹膜透析から血液透析に移ります。
腹膜透析は、病院で行う治療でなく、自宅で行いますので、自分でおこなう必要がありますが、病院で十分な教育を受けてから、退院しますので自宅では自分でできるようになります。高齢者の方の場合には、介護者がおこなうことにより、高齢者だからといってできない治療ではありません。通院の回数が少ないので、高齢者にとって適している治療とも言えます。当院での腹膜透析患者さんの通院は、2週間に1度の通院で、月に2回のみの通院回数です。当院では、腹膜透析外来は、水曜日午後におこなっております。
残念ながら腎不全が進行し、透析療法が必要になられる方で、血液透析および腹膜透析について詳しくお話をお聞きしたい患者さんがおられましたら、当院泌尿器科にご相談下さい。
腹膜透析(PD)ってなに? 腹膜透析のしくみと特徴
腹膜透析(PD)のしくみ
お腹の中に透析液を出し入れすることで、体の余分な水分や老廃物を取り除きます。
お腹の中に透析液を一定時間入れておくと、腹膜を介して血液中の余分な水分や老廃物が透析液側に移動します。その老廃物や水分を含んだ透析液を体の外に出すことで血液をきれいにします。
治療の特徴
●通院は月2回程度です。
自宅や職場、学校でも可能ですので、社会復帰に有利で、生活スタイルにあわせた治療が行えます。
●治療は自分で行えます。
(画像はクリックすると大きく表示されます)
この記事の画像は、NPO法人腎臓サポート協会の許諾を得て転載しています。
(出典:NPO法人腎臓サポート協会「自宅でできる腹膜透析(PD)[腎栓の治療]」より転載)。
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(この記事は2009年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤科科長 三宅健文
七草粥は、お正月休みの食べ過ぎ、飲み過ぎで疲れた胃を優しくいたわってくれる7種類の薬草粥です。春の七草の行事は「正月の七日に春の七草を摘み、これを神前に供えてから食べれば、その年は病気にかからない」という考えで、もともとは中国から日本へ伝わりました。
正月7日(人日)、3月3日(桃の節句)、5月5日(端午の節句)、7月7日(七夕の節句)、9月9日(重陽の節句)を合わせて五節供と呼び、その中の1月7日を過去1年の厄払いとこれからの1年の無病息災と招福を祈願する「人日(じんじつ)の節句」とし、この日には、万病除けと邪気払いに良いとされる7種の野菜や雑草を入れた粥に餅を入れた七草粥を食べる習慣があります。
たくさんある春の若草のなかで、この7つが選ばれたのはなぜか。じつは、定説はなく、和歌に詠われたことから広まったと言われています。「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これぞ七草」鎌倉末期の四辻左大臣が詠みました。
本来、お正月に食べる七草粥は「7種類の草の粥」ではありませんでした。日本で、1月7日に春の若菜を粥にして食べる風習が始まったのは、平安時代とされています。1月7日は、都びとの位が上がる日だったので、「名(な)を成すために、菜(な)を食す」という縁起かつぎだったという面白い説もあります。
当時は、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ=七草粥とは、まったく決まっておらず、草以外にも木の実や海草など多彩に入れていたようです。「いろいろ、もろもろ、あれこれ、たくさん」という意味合いで、7という数字を使っていたのです。7はなんといっても吉の数字。ラッキーセブンですから。
春の七草を使った七草粥のエキスには、弱った胃腸を助けて食欲を増進する。という効果の他に、糖尿病の合併症を防いだり、活性酸素を除去する働きがあることが医学的に報告されているそうです。まさに「医食同源」を考えた漢方の知恵と言えるでしょう。
1.セリ(芹):
効能/健胃・食欲増進・解熱・利尿・去痰など
2.ナズナ 別名「三味線草」:
効能/止血・消炎・鎮痛・利尿・解熱・下痢止めなど
3.ゴギョウ(御形) 別名「母子草」:
効能/せき止め・去痰・扁桃腺炎・利尿など
4.ハコベラ 別名「はこべ」:
効能/利尿・乳汁分泌促進・歯痛・消炎など
5.ホトケノザ キク科の「コオニタビラコ」:
効能/健胃・食欲増進・歯痛など
6.スズナ(現在のかぶを指します):
効能/消化促進・解毒・せき止め・そばかすなど
7.スズシロ(現在の大根を指します):
効能/消化促進・せき止め・去痰・利尿など
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(この記事は2009年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
リハビリテーション科 理学療法士 山口洋樹
去る10月19日、宝ヶ池公園にてウォークラリー大会が開催されました。暦の上では寒露も過ぎてすでに晩秋。肌刺す冷気と色付く山々…となるはずでした。しかし当日は、朝から暖かい日差しが降り注ぎ、とても10月とは思えない陽気となりました。
今回、西陣病院からは3キロコースに3チーム、計16名(患者様・職員他)が挑戦しました。準備体操の後、皆さん暑い暑いと上着を脱いでのスタートとなりました。
公園内は、多くの家族連れやランニングを楽しむ方たちで賑わっており、私たちもゆっくりと景色を楽しみながら、おしゃべりに夢中で足よりも口を動かしていました。木の葉の色付きと、水面のきらめきが目に鮮やかで、大変気持ちが良かったです。鯉や亀、水鳥などの生き物たちも多く生息しており、日常を忘れて不思議な心持になりました。
さて肝心のウォークラリーはと言いますと、ただ歩くだけでなくコースの途中で様々なイベントが用意されています。クイズは歴史や京都の文化など、糖尿病だけに関わらず、多岐にわたって出題されました。また輪投げや玉入れなどのゲームもあり、たっぷりと楽しめる内容になっていました。クイズは中々の難問揃いで皆さん喧々囂々(?)と解答を相談していました。
のんびりと、途中食事も挟んでの約2時間30分で無事ゴール。なんと、今回は私たち西陣病院の「青8」チームが栄えある優勝に輝き、表彰状を頂きました。
大会には、多くの医療関係者がスタッフとして参加されており、血圧や血糖値チェックなどの体調管理も実施されてとても安心です。そのため、参加者全員が無事にゴールすることが出来ました。
自然の中で楽しみながら、さらに皆さんと情報交換も出来て、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。このウォークラリーは、来年も開催される予定ですので、興味をお持ちになられた方は、挑戦されてみてはいかがでしょうか。
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(この記事は2008年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
内科医長 中森診
正常では洞結節が心臓のペースメーカーとなり1分間に50~100回興奮し、この興奮が心房全体に伝わり、房室結節という心房と心室の間を伝って心室まで伝わります。しかし、心房細動では洞結節からの規則正しい興奮がおこらないために、心房が1分間に約300~500回の速さで不規則に細かく震えてしまいます。その結果、心房から心室へ効率良く血液が流れなくなり、心臓のポンプ機能が低下し、脈が不規則になります。
心房細動は、心臓に病気のある場合(心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋症など)や心臓以外の病気のある場合(甲状腺機能亢進症など)におこりやすいとされていますが、明らかな原因のない場合も多く、飲酒が原因でおこることもあります。また、心房細動は年齢とともにおこりやすくなり、70歳を越えると5%以上の割合で心房細動が認められると言われています。
この不整脈が発作的に起こると(発作性心房細動)、脈拍数が急に速くなったりリズムが乱れたりすることがあるので、胸部不快感や動悸・胸痛・息切れを感じ、外来を受診されることが多いのですが、心房細動であっても頻脈や徐脈でない場合は、自覚症状がなく心電図検査で初めて指摘されることもあります。
心房細動で心臓に病気のある場合・頻脈や徐脈が強い場合などでは心不全に陥ることがあり、また、心房内の血液の流れが遅くなることが多く、心房内で血液に澱みが生じ血栓ができやすくなります。左心房に血栓ができると、突然左心房から血栓が剥がれて脳動脈に詰まり脳梗塞(心原性脳塞栓)をおこす可能性が高くなるため、心房内で血栓ができにくくなるような治療が必要です。
心房細動の治療は、①心房細動を正常洞調律に戻す「リズムコントロール」②心房細動時の「レート(心拍)コントロール」③脳塞栓予防のための抗凝固療法の3つが中心です。
1)リズムコントロールには抗不整脈薬や電気ショック・カテーテルを用いた手術などがあります。
2)心房細動のレートコントロールは頻脈に対して心拍数を抑える治療が一般的で、心拍数が極端に低下する場合にはペースメーカーを植え込みます。リズムコントロールの治療で洞調律の維持が難しく心房細動が再発することもあり、レートコントロールとリズムコントロールのどちらが有効かは、塞栓症・心不全・生活の質(Quality of Life)などで未だに最終的な結論が出ていないのが現状です。
3)脳塞栓予防のための抗凝固療法は一般的にワーファリンが有効とされ、血液検査でワーファリンの効き具合を確認する必要があります。適切にワーファリンを服用することによって約60%脳卒中の発症を減らすことができると言われています。
心房細動は心電図検査で発見できる病気ですので、動悸・胸部不快感・胸痛・息切れなどの自覚症状があれば、心電図検査を受けることをお勧めします。
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