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タバコがやめられないのは脳の病気

(この記事は2008年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

薬剤科科長 三宅健文

「意志が弱いのか…」
「口がいやしいからか…」
「決意が足りないのか…」

 禁煙に失敗した人は、理由を見つけたがりますが、結論は「脳の病気」だからだそうです。最近、テレビでやっていました。「ニコチン依存症」というのは、体の病気ではなく、脳の病気だそうです。

 医学的(?)に言うと、禁煙を試みるが、うまくいかず禁煙を中断し喫煙を始めるも、また禁煙をしてみる(つまり、再発を繰り返しています)

「タバコを吸うとリラックスする」
「ほっとする」
「気持ちが和む」
というのはすべて錯覚のようです。
「落ち着く」
「仕事に集中できる」
「思考が冴える」
これはある意味正解みたいです。

 喫煙は、全身を緊張状態に追いやるわけですから、結果的にこうした効果はもたらすでしょう。が、それがそもそもストレス状態であることに気づいていないようです。

 タバコを吸うと、中脳腹側被蓋野においてニコチンによリ「ドーパミン」という神経伝達物質が分泌されますが、これは、ホルモンの調節や快楽を感じる効果などをもたらし、一度これを得てしまうと、繰り返し得たいと思うようになります。

 脳を健康に保ち、脳が良く働くようにするには、脳を常に刺激し活性化させることが一番大切なようです。最近よく見かける、脳科学者の茂木健一郎氏が紹介する「アハ!体験」、脳の『ひらめき』は、新しいことや、変化に気づくことで、このドーパミンが放出され、脳の学習回路が強化されて、頭が良くなるというものです。

 薬物依存もドーパミンに関係しています。コカイン、アンフェタミンなどの覚醒剤などはドーパミンを増やす効果があるため、その行動そのものが動機となって強化され、精神依存を作り出し、やめたくてもやめられなくなります。脳から見るとタバコも覚醒剤も殆ど同じと言っていいことが明らかになっています。タバコ

 だから、気合をいれたり、努力することで、タバコを止めることはなかなか出来ません。正しい薬剤を使用して、適切な医師の指導のもとで禁煙しましょう。

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潰瘍性大腸炎(UC)とは?

(この記事は2008年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

臨床工学検査科主任 光村勝也

 潰瘍性大腸炎とは、何らかの原因により、大腸の粘膜に炎症が起こり、びらん(ただれ)や潰瘍ができる病気です。炎症は通常、肛門に近い直腸から始まり、その後、その奥の結腸に向かって炎症が拡がっていくと考えられています。腸に起こる炎症のために、下痢や粘血便(血液・粘液・膿の混じった軟便)、発熱や体重減少などの症状があらわれます。病状は、おさまったり(緩解期)、悪化したり(活動期)を繰り返すことが多く、長期にわたって、この病気とつきあっていくこともあります。

治療方法は
 治療方法の一種として、G-CAP療法(Granulocytapheresis)とL-CAP療法(Leuko Cyt Apheresis)があります。「G-CAP療法(顆粒球吸着療法)とは、血液中の活性化した顆粒球を取り除き、炎症をすみやかに治める治療法のこと」です。「L-CAP療法(白血球除去療法)とは、血液中の活性化した白血球を取り除き、炎症をすみやかに鎮める治療法です。」

治療時間及び回数は
 G-CAP療法1回の治療時間は約60分間です。回数は1週間に1回の間隔で5~10回行ないます。L-CAP療法1回の治療時間も約60分間です。1週間に1回の間隔で5回を1クールとし、2クールまで行えます。どちらの治療方法についても、患者さんの状態にもよりますが外来での治療も可能です。また、どの時点で治療を終了するかは症状の改善度や検査の結果、治療が原因と考えられる副作用の有無などによって決まります。

L-CAP療法とG-CAP療法の違い
 吸着・除去するものが違います。L-CAP療法は、白血球全体を取り除き、G-CAP療法は、白血球の中の顆粒球・単球を取り除きます。L-CAP療法かG-CAP療法かは、患者さんの状態を見て決めます。

当科での対応
 当院において、2006年2月よりこの治療法を開始しております。当科においては、医師の指示の下に施行中の管理などを受け持っており、随時、治療可能なように準備をしております。

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「皮膚・排泄ケア認定看護師」ってご存知ですか?

(この記事は2008年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

皮膚・排泄ケア認定看護師 多氣真弓

 「皮膚・排泄ケア認定看護師」ってご存知ですか。日本看護協会は、1996年、高度化・専門分化が進む医療現場の看護の質の向上を目的に資格認定制度を発足させました。認定看護師には19の分野があり、皮膚・排泄ケアはそのひとつです。半年間の専門教育をうけた後、認定審査を受審し認定看護師となります。現在、全国に818名とまだその数は少なく、一般には認知されていないのが現状です。皮膚・排泄ケア認定看護師は、スキンケアを基盤とし、ストーマケア論や排泄コントロール、創傷治癒の理論を用い治癒を促すケアを行うことにあります。

 現在、私は、午後、専門分野である創傷ケア、ストーマ(人工肛門、人工膀胱)のケア、失禁ケアを行っています。創傷ケアは、そのほとんどが褥瘡(床ずれ)で、局所のケアはもちろんですが、体圧分散用具の選択やポジショニングによる予防的なケアも行っています。

 ストーマケアは、病棟看護師と一緒にストーマを造設される患者様の術前、術後のケアに関わっています。 また、毎月1回、第2火曜日の午後にストーマ外来を開設し、外科、泌尿器科の医師と連携をとりながら退院後のケアの相談や装具の紹介などを行っています。当院以外の施設でストーマを造設された方に対してもケアを行っておりますのでご相談ください。

 失禁ケアは、尿道バルーンカテーテル留置中のケアや便、尿失禁によるスキントラブルのケア、おむつ、失禁装具の紹介を行っています。

 私は、まだ認定看護師として歩き始めたばかりです。これから、病棟看護師や医師、患者様を取り巻くさまざまな部署と連携をとりながら質の高いケアが提供できるようにしたいと考えております。これからもよろしくお願いいたします。

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「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第6回

(この記事は2008年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院栄養科 管理栄養士 小笹清香

骨粗鬆症

 骨粗鬆症は、骨の中がスカスカになり骨折しやすくなることから、高齢者の寝たきりの原因としても問題になっています。
~骨粗鬆症は、良い食習慣をつくることで予防できます~

●1日3度きっちり食事しましょう
●毎日、軽い運動・日光浴をしましょう
●カルシウムをしっかり摂りましょう
 (体の中のカルシウムは99%が骨(歯を含む)に含まれています)
目標 力ルシウム量1日600mg

カルシウムを摂るには牛乳・乳製品がオススメ!!
その他、ビタミン・ミネラルも豊富です
牛乳1本分の栄養(200mL=206g)

・エネルギー 138kcal
・たんぱく質 6.8g
・カルシウム 227mg
(五訂食品成分表より)
☆カルシウムの吸収を助ける食品を摂りましよう!
①ビタミンD
 きのこ、レバー、いわし、さんま、さば、さつま揚げなど
②酸味(クエン酸)
 酢、梅干しなど
☆リンの多い食品はほどほどに!
 ハム、ソーセージ、練り製品、インスタント食品などの加工食品はカルシウムの吸収を悪くします
きのこシチュー
(カルシウム量1人当たり 250mg)
<材料>2人分
しめじ 1/2パック・マッシュルーム 1パック・椎茸 1/2パック鶏肉 100g
玉ねぎ 1個・ジャガイモ 1~2個・人参 1/2本・ブロッコリー 1/4株
固形コンソメ 1~2個・水 200mL・サラダ油 大さじ1・バター 10g
塩コショウ 適量

(ホワイトソース用)
バター 20g・小麦粉 20g・牛乳 400g
<作り方>
1.鶏肉、野菜類、きのこを適量な大きさに切る。
2.バター・小麦粉・牛乳でホワイトソースを作る。
3.フライパンにサラダ油を熱し、鶏肉を炒めて一旦取り出す。そのフライパンにバターを熱し、玉ねぎときのこを炒める。
4.煮込み鍋にジャガイモ・人参を入れ、水とコンソメを入れて軟らかくなるまで煮込み、そこへ、炒めた鶏肉・玉ねぎ・きのこと、ホワイトソース・ブロッコリーを入れ、弱火で煮込む。
5.塩コショウで味を整えて完成!



前回の記事です
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第1回[2008年1月]
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第2回[2008年3月]
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第3回[2008年5月]
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第4回[2008年7月]
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第5回[2008年9月]

過去の関連記事です
    メタボリックシンドロームについて[2006年9月]

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女性と泌尿器科

(この記事は2008年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです。)

泌尿器科医師 奥原紀子

 当院では、腎臓病の方のための血液透析を主として泌尿器科が担当しており、5人の泌尿器科医が常勤しています。もちろん透析だけではなく、一般的な泌尿器疾患の診療も幅広く行っています。

 では泌尿器科と聞いてイメージされることはどんなことでしょうか。男性だけが受診する診療科のように思ったり、性病を主体に扱ったりするようなイメージ(偏見です!)をもたれたり…そんなことも多いのですが、実は女性にもなじみの深い診療科なんです。

 というわけで、今回は女医による、女性のための、女性泌尿器科の紹介です。

 トイレが近くて心配でおちおち外出できない。おしっこのことが心配で長時間のバス旅行に安心して行くことができない。夜中何度もトイレに行かなくてはならずにゆっくり寝られない。こういった悩みを抱えている女性は実はとても多いのですが、恥ずかしいから、年齢のせいだからとあきらめていたりするようです。確かに、男性医師には少し相談しづらいかもしれませんね。

 恥ずかしいからなどの理由で受診をせずに我慢をしている「隠れ」患者さんが特に多いのが尿失禁です。

 実は、40歳以上の女性の40%が尿失禁の経験があるといわれています。おしっこが漏れないように尿道を支える筋肉が、妊娠・出産で傷んでしまうため、重い荷物を持ったり、くしゃみをしたはずみに尿が漏れる「腹圧性尿失禁」になりやすいのです。治療には骨盤底の筋肉を鍛える体操や、薬の内服、手術などがあります。手術は数日の入院で可能で、合併症も少なく、治療効果も高いため、今後はさらに広まっていくものと考えられます。

 「腹圧性尿失禁」のほかには「切迫性(せっぱくせい)尿失禁」というものもあります。これは突然強い尿意がおきて、トイレまで走っていかなくてはならなかったり、間に合わずに漏れてしまったりするものです。このような症状で悩む方が多いことが近年注目されて、新しい薬が開発されてきています。

 そのほかに女性になじみの深い泌尿器科疾患は膀胱炎でしょうか。女性は一生のうちに-度か二度は膀胱炎になるといわれています。というのも女性は尿道が男性より短く、外部から細菌が侵入しやすい構造になっているため、膀胱炎になる確率が男性よりずっと高いのです。膀胱炎は内科でも治療していただけますが、-年のうちに何度も膜胱炎を繰り返すような方は、背景にほかの疾患が隠れていることもあります。一度泌尿器科での精査をお勧めいたします。

 また女性も当然のことですが膀胱癌、腎癌になることがあります(泌尿器科の癌で女性がかからないのは前立腺癌です。女性は前立腺がないですから。)どんな癌にでも言えることですが、癌の治療で-番大切なことは、早期発見・早期治療です。早くに見つかれば、癌は完全に治すこともできる病気なのです。逆にいえば、見つかるのが遅かったがために手遅れになることもあるわけです。血尿など気になる症状がある方は、早めの受診をお勧めします。

 この秋から外来を担当させていただくことになりました。これまで恥ずかしくて泌尿器科を受診できなかった方や、上記のような症状はあるもののどこに相談したらいいか分からなかった方、ささいなことでも構いませんのでご相談くだされば幸いです。

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