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老年期のうつについて-第3回

(この記事は2008年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


デイケア室主任 作業療法士 石原祐子

 前回は老年期のうつの特徴についてご紹介しました。今回は、ご高齢の方のうつの予防についてお話したいと思います。

 若いころには、「うつなんて関係ない」と思っていた人でも、年齢を重ねて病気や人との別れを経験する中で、うつの症状が出てくることがあります。うつの予防のために、生活の中で次のようなことを心がけてみてください。

1.生活のリズムをととのえる

 何もすることがないからと、体の調子がよいのに昼間から横になっていませんか? 昼と夜が逆転すると、うつの症状が出ることがあります。起きる時間、食事の時間を決め、規則正しい生活を送りましょう。また、できれば朝いちばんに明るい光をあびるようにしましょう。

2.体を動かす時間をつくる

 「体の症状や先々の心配事ばかりに気が向いて、1日中落ち込んでいた」と言われる方が多くおられます。体を大切にしながら、動ける部分はよく動かして活動性を高め、体力を回復し、自分の健康な部分に目を向けてゆくことが大切です。まずは1日5分でも、簡単な体操からはじめてみましょう。

3.人との交わりを積極的に

 高齢になるにつれて、親しい友人や家族と死別し、仲のよい人に会いに行くのもむずかしくなってきます。同じ年代の人との交流の場をさがして、できるだけ定期的に参加してゆきましょう。同世代のなじみの人と苦労を分かち合ったり、支えあったりすることで、おどろくほど元気を取り戻される方がたくさんおられます。

4.声を出す

 音読をすることが脳の活性化につながるということが、最近話題になっていますね。実際、黙読するのと比べて、脳全体が活発に働くようです。本を読む、声を出す、うたをうたうなどやってみてください。また、悲しい気持ちやつらい気持ちを心の中にとじこめておくと、心が不健康になりがちです。うつの予防のために、自分の気持ちをことばにすることも、ぜひおすすめしたいと思います。

5.自分の役割をさがす

 仕事も引退して、家のことも家族にまかせて、もう自分は 何の役にもたたないと思っておられませんか? 仏さんのお世話、せんたくものをたたむ、ご家族の健康を祈る、など、小さなことでも、自分にできる役割をさがしてみましょう。

6.相談できる人をもつ

 年齢を重ねると、ちょっとしたことで、だれにも相談できずに悩み続けて、心身ともに具合が悪くなってしまうということがあります。気軽に相談できる友人や窓口をもつこと、小さなことでも、遠慮せずに相談する習慣を身につけることを心がけましょう。

 デイケア(通所リハビリテーション)では、介護保険「要支援」「要介護」の方に、うつの予防と回復にも配慮しながら、体と心のリハビリを目的とした活動をおこなっております。お問い合わせ、ご見学ご希望の方は、電話:075-461-8800(代)からデイケア室を呼び出していただくか、直接、西館地下1階デイケア室までおたずねください。


(前回の記事です)
老年期のうつについて-第1回
老年期のうつについて-第2回

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「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第2回

(この記事は2008年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院栄養科 山本茂子


食生活習慣

習慣の改善
①不適切な食習慣
(1)血圧が高めな人へ
高血圧を放置しておくとやがては心臓病や脳卒中へとつながる場合がありますので注意してください。

血圧チェック

収縮期(最高)血圧値130mmHg以上 拡張期(最低)血圧値85mmHg以上
の両方またはいずれかが該当する場合

高塩分→高血圧

塩分を減らす工夫
1.昆布、かつおなどでだしをしっかりとる (八方だし)
2.香味野菜や香辛料を利用する
3.漬物・加工食品の摂取は控える
4.みそ汁などの汁物は1日1回までにする

八方だし(万能だし)

八方だし100cc→しょうゆ5cc=塩1g
作り方
1、鍋にみりんを50cc入れ、火をつける
2、みりん沸騰させアルコールを飛ばす
3、淡口しょうゆ50ccをいれ火を止める
4、だしで1リットルにのばす

お浸し
塩分1g 小松菜60g 淡口しょうゆ小さじ1
→八方だし使用の場合 塩分0.5g 小松菜60g 八方だし50cc


減塩で手作りつけもの!!

1人分 塩分0.2g
切り干し大根  6g 土生姜1g たかのつめ 少々 刻み昆布適量 酢5cc 八方だし20cc
作り方 
1、切り干し大根は良く洗い、水に戻した後(3分程度)固く絞る。
2、1を食べやすい大きさに切る
3、鍋にたかのつめを入れ軽くいったところへ酢を加え、沸く手前で八方だしをいれる
4、3を沸かした後火を止めて切干大根を入れる
5、4をボールにうつし針生姜、刻み昆布を入れて冷ます

前回の記事です
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第1回[2008年1月]

続きの記事です
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第3回[2008年5月]
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第4回[2008年7月]
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第5回[2008年9月]
    「メタボリックシンドローム」と生活習慣の改善-第6回[2008年11月]

過去の関連記事です
    メタボリックシンドロームについて[2006年9月]

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新年のごあいさつ 平成二十年元旦

(この記事は2008年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院 院長 伊谷賢次


 明けましておめでとうございます。

 皆様には、さわやかな新春をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。また、昨年中、当院に賜りました数々のご厚情とご支援に対しまして、職員一同心より御礼申し上げます。西陣病院は1934年、地域の人々のための福祉医療を目的に大報恩寺(千本釈迦堂)の境内に西陣診療所として開設されたことが、その始まりです。当時はまだ保険医療制度もなく、治療のための技術も今日に較べればずっと未熟で、地域の人々の健康を守るのにたいへんな環境であったと想像できます。今日では医学は飛躍的な進歩を遂げ、日本の素晴らしい保険医療制度により、西陣病院も福祉医療を使命とし、地域に密着した良質な医療が提供できるように、施設規模の拡大と医療内容の充実を図ってまいりました。

 ところが、21世紀は、構造改革の名の下に医療費が抑制され、医療を取り巻く環境は厳しいものとなりました。しかし、当院の日指すべき目標は変わらず、設立当初からの基本方針である、地域に密着した良質な医療をさらに高いレベルで提供することにあります。そのためには、ハード面、ソフト面ともさらに充実させなければなりません。

 特にハード面では、2005年に念願の病院増改築に着手し、2006年9月に地上5階、地下2階の本館増築の第一期工事が終了しました。地下1階にはPET装置の移設や64列のマルチスライスCT(MDCT)、1.5TのMRIなどの最新機器に更新し、放射線科の常勤医も2名体制となり、画像診断センターを開設しました。2007年7月には本館増築の第二期工事が終了し、地上1階は外来部門で診療環境を整備し、地上2階は透析センターとして115床のワンフロアー化でより安全な透析医療に努力しています。地上3階から5階の病棟は1病床に8平方メートルを確保し(1病室4床)、患者さまのアメニティが向上しました。また、2007年10月に西館も本館と同様の療養環境確保のための病棟改修を行いました。

 ソフト面では、今後さらに診療体制を充実させ専門性の高い急性期病院を目指します。しかし、中高年層の多い地域密着型の病院ですので、合併症の多い患者さまが安心して安全で高度な医療を受けていただけるには各科医師の連携はもちろん看護師をはじめ、すべての医療スタッフのチームワークが必要です。職員全体が、患者さまを主体に考え、良質な医療を提供するためにスタッフ一人ひとりが役割と責任を自覚して努力していきます。今年3月の本館増改築後には、ハード・ソフトともさらに良くなり、患者さまが安心して高度な医療を受けていただける病院にしたいと考えています。

 患者さまや地域住民や開業医の先生方からのご意見を真摯に受け止めて、全職員が良質な医療を提供できるように努力していきますので、今年一年、さらなるご指導、ご鞭漣をよろしくお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

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大腸がんに効く薬(抗がん剤治療)

(この記事は2008年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


福本 兼久 医師
西陣病院 外科 福本兼久




 今回は、大腸がんに対する抗がん剤治療についてお話しします。

 大腸がんは生活様式の変化から近年国内でも急激に患者数が増加しており、死亡率も男性では肺がん、胃がん、肝がんについで第4位ですが、女性では第1位です。

 多くは早期発見、外科手術により完治させることが可能ですが、残念ながら手術後に再発したり、手術前に肝臓や肺に転移があり手術だけでは治せない場合も増加しています。そのような場合には手術以外の治療法として、薬による治療いわゆる化学療法(抗がん剤治療)が行われます。以前は大腸がんに対する有効な抗がん剤は少なく、副作用が強い割に効果が弱い薬も多かったのですが、1980年代後半から様々な抗がん剤が開発され、現在はそれらの抗がん剤を組み合わせて投与する多剤併用療法が行われるようになり、大腸がん患者さんの生存期間は大幅に改善しました。具体的には、数年の間に約10ヵ月も延び、抗がん剤治療を受けている人の約半数が20ヵ月を超えて生存できるようになりました。現在も新しい抗がん剤の開発や臨床試験が多数行われており、更なる生存期間の改善が期待されています。では、実際の抗がん剤治療について少し詳しく説明します。

一般的に抗がん剤治療は、次の2つの目的に分けて行われます。

 1.手術後に再発を予防するため(補助化学療法)
 2.手術でがんがとりきれない場合にがんが大きくなるのを抑えるため

1. 手術後の再発予防のために行う抗がん剤治療として現在一般的に行われているのは、
UFT(ユー・エフ・ティー)カプセルとロイコボリン錠(ユーゼル錠)を約6ヵ月から1年間服用します。これらの薬は、副作用も少なく、外来で処方されて他の薬と同じように服用することができます。

 既に、抗がん剤を服用しなかった場合に比べて服用した方が、再発率が低いという報告もあり、術後に再発の可能性が高い場合は杭がん剤治療を行っています。


2.手術でがんが全てとりきれなかった場合や再発した場合は、注射や飲み薬の抗がん剤を組み合わせた治療が行われます。具体的には、注射剤の5-FU(ファイブ・エフ・ユー)とロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチンなどを組み合わせたり、飲み薬と注射を組み合わせたりして行います。2時間ぐらいから約2日間かけて行うものまで様々な方法がありますが、副作用が少ない場合は2週間毎の外来通院で行っています。


 当院では週二回(月・水)化学療法専門外来を行っていますので、詳細は担当医または化学療法外来担当看護師までご相談ください。

 なお、当院は日本がん治療認定医機構研修施設の認定を受けています。

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世界糖尿病デー

(この記事は2008年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

西陣病院 看護副部長 三輪徳子

 「世界糖尿病デー」の11月14日、糖尿病の予防と治療の大切さを啓発するためにエンパイアステートビルやエッフェル塔・万里の長城など世界各国の180ヶ所が青にライトアップされました。日本でも東京タワーが青く輝いているのをニュースで見た方も多いと思います。

 糖尿病は世界の成人人口の5~6%を占め、年間380万人以上が糖尿病の引き起こす合併症などが原因で死亡しています。これは世界のどこかで、10秒に1人が糖尿病に関連する病で命を奪われている計算となり、AIDSによる死者に並ぶ数字です。日本でも40歳以上の3人に1人が糖尿病または糖尿病予備軍で、問題なのはその80%ほどの方は治療を受けていないことです。治療開始が合併症発症時では、打つ手に限りがあり、手遅れなのが糖尿病の怖い点です。早期の受診をぜひお願いします。

 さて、10月28日に西陣病院の糖尿病患者会「糖友会」のメンバー6人と病院職員2人は、今回も宝ヶ池のウォークラリーに参加してきました。3キロコースを歩きながらクイズやゲームに全員で参加し、お弁当を食べ、話に花が咲き、秋の1日を楽しく過ごし、今年も参加10チーム中3位入賞を果たしました。治療の継続には、自分の体を知ることや仲間の支援が大切なことを痛感した1日でした。

 当院に通院していない方も、患者会や糖尿病教室への入会・参加は可能です。希望の方は、お気軽に受付もしくは外来処置室までお問い合わせ下さい。

インスリン自己注射や血糖自己測定を行っている患者様へ
 
使用済みの注射針等はペットボトルなどに入れて医療機関へ

 京都市では、使用済みの注射針等は有害物質として扱われ、ごみとして収集していません。

 使用済みの注射針(ペンニードル、マイクロファインプラス、B-Dロードーズ)、血糖自己測定時に使用した穿刺針はペットボトル等の容器に入れてかかりつけの保険薬局または病院へお持ち下さる様お願いいたします。

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