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PET脳ドック -物忘れが気になる方、脳卒中が心配な方に-

(この記事は2007年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

放射線科 谷池 圭子


2007年4月より、当院ではPET検査を取り入れた“PET脳ドックコース”を開設致しました。


当院で新しく始めました脳ドックは、脳や血管の形をみるMR検査、脳血流や脳の機能を画像で評価するPET検査、頚動脈の内径を調べる超音波検査、脳卒中の危険因子となる生活習慣病の有無を調べる血液・尿検査、受診者との対面方式による認知症スクリーニング検査、と多種類の性格の異なる検査を行い、多方面から脳を調べる脳ドックです。

MR検査は多くの施設の脳ドックで行われていますが、PETも加えた脳ドックを行える施設は、全国的に見てもまだ少数です。

PET検査では、認知症の2大原因である、アルツハイマー病と脳血管性痴呆の早期発見のために、脳のブドウ糖代謝と血流代謝の評価をおこないます。脳のブドウ糖代謝は、FDGという、がん検診で使われているのと同じ検査薬を用いて調べ、脳が活発に活動しているかどうかを画像で表します。血流代謝は、炭酸ガスを用いたガスPET検査で調べます。このガスPET検査が行える施設は、日本国内のPET施設の中でもわずかしかありません。

また、検査結果だけが一人歩きすることのないように、神経内科専門医が診察を行い、すべての結果を総合的に判断して、受診者に直接説明させていただきます。このように当院の脳ドックは、質の高い脳ドックです。

脳卒中は日本人の死因の第3位です。認知症は加齢に伴い発症率が上昇し、生活の質に大きく影響します。これらの疾患の予防、早期発見、早期治療のため、当院“PET脳ドックコース”をお役立てください。

詳しい内容は、ホームページにも掲載しています。
お問い合わせ先 

西陣病院 医事課 ドック担当
電話 075-461-8800 (代表) 内線 766

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心臓CT検査 (虚血性心疾患の診断)

(この記事は2007年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


内科 中森 診


虚血性心疾患は、心臓の筋肉に血液が十分にいかなくなる病気です。心臓には心臓を取り囲む冠動脈(冠状動脈)と呼ばれる血管から血液が送られていますが、様々な事情でこの冠動脈が狭くなり心臓に十分な血液がいかなくなってしまった状態を心筋虚血と言います。日本ではもともと少ない病気でしたが、近年食生活や生活様式の欧米化に伴い増加傾向にあります。

 虚血性心疾患には「狭心症」と「心筋梗塞」の2タイプがあります。冠動脈が狭まり心臓に十分な血液が供給されない為に胸がしめつけられたり急が詰まったりするような発作が起きるのが「狭心症」、冠動脈が一定時間以上塞がって血液が心臓に届かなくなったために心臓の筋肉が死んでしまう状態が「心筋梗塞」です。心筋梗塞の場合、激しい胸痛を自覚することが多いと言われていますが、胸全体・みぞおち・左肩・喉もと・背中の痛みや圧迫感として自覚することもあります。また、糖尿病の患者さんやご高齢の患者さんでは痛みや圧迫感を殆ど感じない方もいます。

 虚血性心疾患の診断には心電図、負荷心電図、心エコーが簡便でそれらの検査が外来で行われますが、虚血性心疾患を完全にとらえることは因難で、正確な診断をするためには心臓カテーテル検査が必要となります。心臓カテーテル検査は原則として外来ではなく入院していただき、動脈にカテーテルを入れて調べる検査です。

心臓CT画像 昨年10月から西陣病院では緊急の場合や虚血性心疾患が明らかな場合を除いて、まず「64列心臓CT検査」を行うようになりました。心臓CT検査とは、腕の静脈から注入された造影剤が心臓の血管に達したときに心臓を高速で撮影し、冠動脈の状態を調べる検査です。当院では1度に心臓を64スライス撮影することが出来る最先端の検査機器を用いています。検査は、まずCT検査室に入ってベッドに横になり、心電園モニターを付けます。その後、造影剤注射用の点滴をしてから、心臓を撮影する正確な場所を決めるために2~3回10秒弱の〝息止め〟をしていただいて心臓を撮影します。最後に造影剤を注入しながら15秒程息を止めていただき、その間に心臓を高速かつ精密に撮影します。この時にしっかり〝息止め″をして頂くことが冠動脈の状態を正確に診断する上で重要です。検査にかかる時間は約15分です。検査で得られた画像はコンピュータで処理された後、医師が診断します。

 冠動脈に動脈硬化の強い患者さんや、以前に狭心症の治療(ステント治療など)を受けたことのある患者さんでは冠動脈の状態を正確に判断することが難しい場合もありますが、心臓CT検査は心臓カテーテル検査に比べて入院の必要もなく、安全・迅速、かつ安価に外来で行うことが出来るため患者さんへのメリットは非常に大きいです。

 胸全体・みぞおち・左肩・喉もと・背中に痛みや圧迫感を感じる方、早足で歩いたり坂道や階段を上がったりすると症状が強くなる方は早めの治療が必要な場合もありますので内科外来を受診してください。

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「おしり」に異常(痛い、血が出る、膿が出る)を感じたら

(この記事は2007年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


中瀬 有遠 医師西陣病院 外科 中瀬有遠


日本人の4人に3人は「痔」の経験があるといわれ、また「痔」は虫歯の次に多いといわれるポピュラーな病気であり、当院にもたくさんの方が受診されます。「痔」 には①内痔核、②外痔核、③裂肛、④痔ろう・肛門周囲膿瘍があります。それぞれ症状や原因が異なるので治療方法も違います。


①内痔核:「痔」の中で一番多いのが内痔核です(約80%)。200703geka1

排便時の出血、排便後の違和感などの症状があります。一般的にまず肛門から入れる薬の治療を行います。薬で痔の症状がなくなれば手術の必要はありません。痔が飛び出して、出血がひどい、痛みが激しいなど日常生活に支障をきたすなら手術をおすすめします。当院では外来治療でできるゴム輪結紮術、あるいは入院していただき内痔核切除術を行っております。入院治療の場合、麻酔は肛門周囲が麻酔される仙骨麻酔で、手術は30分程度ですみますし、入院期間は1週間以内です。

②外痔核:肛門の外側にできる血栓 (血の塊)が原因で激しい痛みが起こります。外来で局所麻酔をして血栓を取り除くと痛みがほとんどなくなります。

③裂肛:いわゆる「切れ痔」で排便時に肛門が裂けて血がでます。繰り返しおこるようだと裂け目が治らない潰瘍状になったり、肛門が狭くなったりします。

④痔ろう・肛門周囲膿瘍:直腸と肛門の境目 (歯状線) にある、粘液を出すための小さなくぼみに大腸菌などが入り込み、肛門の周囲の′皮膚から膿がでるものを痔ろう、膿が皮下に溜まったものを肛門周囲膿瘍といいます。膿が溜まることで高熱がでることがあります。これらは薬では治らないので膿の通り道や溜まった部分を切開する必要があります。


 ①、②、③の痔の予防には規則正しい排便習慣を身につけることが大切です。便秘は特に肛門に負担がかかります。ストレッチ体操や腹筋運動、朝食を食べることなどは快便につながるのでおすすめです。ちなみに私は毎朝冷たい牛乳とヨーグルトで快便です。

 おしりは座ったり、排便したりと日常生活の中で大切な役割をしていて、少しの異常でも不快感が生じるデリケートな部分です。また、どんな病気でもそうですが、自己判断で治すよりも専門科 (西陣病院では外科)を受診して正しい治療法を行うことが大切です。とくに50歳を過ぎると直腸癌などのほかの病気が隠れていることもあるので気をつけてください。「おしり」に少しでも異常を感じたら外科を受診してください。

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腎臓の機能を知る検査

(この記事は2007年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤科 三宅健文


慢性腎臓病が原因となる心血管病により、2015年までに世界で3600万人が死亡すると予想され、日本では成人の20人に1人以上(約500万人)が慢性腎臓病を患っていると予想されます。



クレアチニン値

 血液中のクレアチニン値は腎機能を知る最も簡単な血液検査で、どの医療機関でも簡単に検査が可能で、多くの健康診断にも取り入られています。このクレアチニンとは筋肉からできる老廃物で腎臓の糸球体からこされて尿に排泄されます。したがって、腎臓の働き(腎機能) が低下すると血液中に蓄積し濃度が高くなります。


尿中に出てくるタンパク質(尿蛋白)

 蛋白 (特にアルブミン) は腎臓が正常な場合にはほとんど尿には出てきません。このため慢性腎臓病 (特に糖尿病、高血圧、動脈硬化、慢性糸球体腎炎などが原因の場合) になると尿中にアルブミンが漏れ出るようになり、それが多くなると尿検査で蛋白が陽性になり治療が必要となります。ただし残念なことにこの尿中アルブミン検査が日本の健康保険で認められているのは糖尿病が原因となる慢性腎臓病のみです。尿中アルブミン検査は、高血圧や血尿だけが陽性の慢性糸球体腎炎の早期発見や治療効果の判定にとても有効なことが国際的に認められていますので、早く保険が適用になることが希望されます。


西陣病院では腎臓病教室を開催しています

 腎臓病を患うすべての患者様とその家族に病気に対する正しい知識を身につけていただき、少しでも良い医療を受けられることを目的に開催しています。正しい知識は不要な不安を取り除くことができます。くわしくは、受付でお聞きください。

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血尿症状があれば怖がらずに泌尿器科へ

(この記事は2007年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです。森医師は転勤のため、現在西陣病院で外来診療はしておりません。ご了承ください))


泌尿器科 森 優


膀胱癌は、人種で見ると白人や黒人に多く、日本人には少ないと言えます。最近の日本人が1年間に膀胱癌にかかる率は人口10万人あたり約6人です。原因としては、尿中に排泄された化学物質が膀胱の粘膜に接して発癌させると考えられており、喫煙による膜胱癌の危険性は証明されております。年齢は45歳以上に多く、患者さんの平均年齢は60歳といわれています。症状としては、突然何の症状もなく血尿が出たり、頻尿、排泄時痛といった膀胱炎症状がなかなか改善しなかったりと言った事があげられます。

 膀胱癌には①表在性、②浸潤性の2種類があります。

 ①は膀胱の内腔に向かい発育し、根が浅く筋層には達しないものです。比較的おとなしい癌が多いです。膀胱癌の70%から80%はこのタイプです。

 ②は膀胱壁の深部へ浸潤し筋層にまで達するものです。たちの悪い癌が多いです。


治療法

①の場合は経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)が適応になります。特殊な内視鏡を尿道から挿入し腫瘍を切除する方法です。しかし経過を追っていくと膀胱内の新たな部位に再発をすることがあり、再発率は単発性の場合は30から40%、多発性の場合は70から90%とされています。また表在性癌でも上皮内癌という粘膜内に存在するが、細胞の悪性度が高いタイプの場合はBCGの膀胱内注入が行われますが粘膜下層に浸潤している場合は、膀胱摘出が必要なことがあります。表在性癌でも再発を繰り返すうちに浸潤性癌になったり、転移を生じてくる場合がありますが、一般的には生命予後は良好です。

②の場合は基本的には膀胱全摘術が適応になります。膀胱を切除しますから尿を違う所から出すこと(尿路変更)が必要になります。以下の2通りの方法が主に行われています。

○回腸導管法:小腸を15Cm程遊離して、これの一方の断端を閉じるとともに尿管を縫いつけ一方の断端を皮膚に縫い付けるものです。歴史があり安定した手術ですが、お腹に袋を下げる(パウチ)必要があります。

〇代用膀胱造設術:小腸や大腸を60Cmほど遊離し腸管を開いて布状とし球形に縫い、これに尿を貯めるものです。この袋に尿道を縫いつけ、尿が溜まった時には自分で腹圧をかけて排尿します。手技は複雑で、合併症もありますが、ストーマがなく自排尿できる点で優れています。


 ただし浸潤の程度が酷い場合(膜胱外にまで出ていたり、隣接臓器にまで浸潤している)又は転移を既に起こしている場合は、抗癌剤化学療法や放射線治療、膀胱全摘術を単独、又は併用して行います。


 膀胱癌は早期発見、早期治療が膀胱温存又は生命予後の改善につながります。上述しましたような症状が出るようでしたら、怖がらずに泌尿器科を受診してください。

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