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地域包括ケア病棟の紹介

(この記事は2016年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

地域包括ケア病棟



看護部 地域包括ケア病棟 科長 福田 妙子


 西陣病院は、平成28年3月1日に地域包括ケア病棟を開設いたしました。

 『地域包括ケア病棟』とは、厚生労働省が推進している『地域包括ケアシステム』のひとつであり、地域で暮らす人々を、病院内のスタッフはもちろんのこと、地域で様々なサービスを提供されている事業所の方々とも協働して、生活・医療・看護の面から支えていく機能を持つ病棟を言います。急性期の、治療を受ける病棟で病状も安定し、治療も一通り終了した患者さんが退院を検討していく段階になったら地域包括ケア病棟に移っていただき、ご自宅に安心して退院していただけるようにリハビリテーションや在宅サービスの調整を行います。また、自宅で、長期に療養されている方の入院も受け入れ、入院中は患者さんがより生活しやすくなるようにリハビリテーションを行なっていただき、この間、ご家族には休息をとっていただく社会的入院も行っております。

 地域包括ケア病棟にはリハビリテーションのセラピストが常駐しており、看護師とともに患者さん一人ひとりにあったリハビリテーションメニューを考え実施しております。また、患者さんやご家族の思いを聞き、定期的に病棟看護師、専従理学療法士、社会福祉士、退院支援看護師とカンファレンスを実施し、退院への課題は何か、課題をクリアするためにはどうしたら良いのか等々を話し合い、目標を共有しながら退院支援を行なっています。

 私たち西陣病院スタッフは、患者さんの「住み慣れた家で暮らしたい」という思いに応えられるように、また、そのご家族が身体も心も良い状態でお世話ができるように、地域の方々とともに協働し、入院生活から安心して自宅での生活に移行できるようお手伝いさせていただきます。
地域包括ケア病棟

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おしりの病気は一人で悩まずに当院へご相談ください。

(この記事は2016年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



福本医師 外科 副部長 福本 兼久

 皆さんは「おしりの病気」というとどんな病気が思いつきますか?おそらく、いぼ痔や切れ痔などはよく耳にする病気ではないでしょうか。
 実は、肛門の病気というと大きく分けて、1,痔核(いぼ痔)2,裂肛(切れ痔)3,痔瘻(あな痔)があります。それぞれ症状も原因も異なり、治療方法も異なるため、肛門科などの専門外来を受診し、早く適正に治療する事が大事です。
 痔は国民病とも言われ、3人に1人は患っているといわれるくらい、多くの人が悩まされている病気です。きちんと治療すれば治る病気ですので、一人で悩まずに是非当院の肛門科へご相談ください。では、これから肛門の病気について、少し詳しく説明します。


◆痔核(内痔核、外痔核)

 通称「いぼ痔」といわれ、痔の中で最も多いものです。肛門にいぼ状の腫れができたもので、肛門(歯状線)の内側にできる「内痔核」と外側にできる「外痔核」があります。

痔核

 内痔核の原因は、主に排便時のいきみ、便秘や下痢などで、肛門のクッション部分に負担がかかる事によっておこります。また、妊娠、分娩時のいきみなども原因となります。
 症状は、排便時に出血や違和感を感じる事がありますが、通常は痛みません。ひどくなると痔核が肛門の外に飛び出すようになります。更にひどくなると、飛び出した痔が戻らなくなります。まれに、嵌頓痔核という状態になれば泣き叫びたくなるくらいの激痛が走ります。
 痔の治療というと手術で切らないと治らないと思っている方が多いのですが、治療の基本は肛門内に挿入する薬や飲み薬を使いながら、生活習慣の改善、排便状況の改善です。これだけでほとんど症状がなくなる場合もあります。
 薬で症状が良くならない場合や、すでに痔が飛び出して戻りにくくなっている場合は手術による治療が必要です。 当院では、外来診察室で行うことのできる「ゴム輪結紮療法」やジオン注射という薬を注射して痔を固めて切らずに治す「硬化療法」、そして以前から行われている痔を切除する「結紮切除術」等の手術を行っており、それぞれの痔の状態に応じて手術方法を決定しています。「硬化療法」や「結紮切除術」は通常下半身麻酔で行うため、一泊二日の入院が必要ですが、「硬化療法」は局所麻酔を用いた日帰り手術も行っています。
 外痔核は、スポーツや排便時に強くいきんだことで、静脈の血が固まり血栓ができることが原因です。 座るのも辛いほどの激痛がありますが、坐薬や軟膏などで痛みが和らぎ、1ヶ月ほどで血栓は吸収されてなくなります。まれに血栓が大きく、吸収されない場合は、局所麻酔を用いて切開し血栓を取り除く場
合があります。


◆裂肛
 
 通称「切れ痔」といわれ、排便時に肛門の出口付近が切れて出血や痛みを伴います。
 20~40歳代の女性に多く、便秘や下痢、肛門の過緊張が原因でおこります。
 裂肛が繰り返しおこると排便時の痛みが強くなり、排便への恐怖心から我慢してしまい、便が硬くなるため、排便時に更に切れやすくなってしまうという悪循環になります。そうならないため、できるだけ早く排便状況を改善し、薬の治療を行いましょう。
 裂肛を繰り返すと、肛門ポリープができたり、肛門が狭くなったりしますので手術が必要となります。

裂肛


◆痔瘻

 通称「あな痔」といわれます。
 下痢などがきっかけで肛門陰窩といわれるくぼみに細菌が感染し、肛門内が化膿して肛門の内と外がトンネルでつながったものです。
 肛門の周りに膿みがたまった状態を「肛門周囲膿瘍」といい、肛門周囲の激痛や熱がでたりします。
 肛門周囲膿瘍でたまった膿みが、肛門近くの皮膚に貫通して膿みが外に出てきたものが痔瘻という状態です。
 痔瘻を完治させるには手術以外に方法はありません。
 膿みの出口となった皮膚の傷口がふさがっても、一旦できたトンネルはなくなりません。膿みが出なくなっても治った訳ではなく、痛みや腫れが再発する事があります。
 また、10年以上治療せずに放置していると、まれに「がん化」することがあります。

痔瘻

 肛門は非常に敏感で、異常があると不快感を強く感じる部位です。上記のような症状でお悩みの方は、できるだけ早く専門病院や肛門科を受診して下さい。
 また、長年、排便時出血を痔があるからと放置していたら・・・
 実は、直腸癌だったということも本当にあります!!
 おしりのことでお悩みの方は、一人で悩まずに当院の専門科を受診して下さい。
 早期診断、早期治療を行い、一日でも早くおしりの悩みから開放されるようにお手伝いさせていただきます。

 当院肛門科を受診希望の方は、お気軽に当院受付までご相談ください。
 なお、受付には肛門外来ではなく専門外来と掲示しています。


午前外来や夜診外来でも肛門診察を行っておりますので、ご都合に合わせて受診して下さい。


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循環器内科の紹介

(この記事は2016年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



 循環器内科 副部長 中森 診



循環器内科とは
 心臓病は癌に次いで日本人の死亡原因の第二位になっていますが、「循環器内科」は血液の循環に関係する臓器(心臓、大動脈、末梢動脈、静脈、肺動脈)の病気(循環器疾患)の診断治療を行う内科です。狭心症、心筋梗塞、弁膜症、心筋症、心不全、不整脈などの各種心臓病の他、大動脈の病気(解離性大動脈瘤など)や、末梢動脈疾患(下肢の動脈硬化症など)、静脈血栓症などの治療を行っています。


◆循環器内科の特徴

 「胸が苦しくなる」、「動悸がする」、「心電図がおかしいと言われた」、「歩くと足が痛くなる」などは循環器疾患で、心不全の悪化で呼吸困難になったり、狭心症の発作で胸痛に襲われたり、心筋梗塞になり救急車で病院に運ばれたなどと聞くこともあると思います。このように、循環器疾患は緊急での対応が必要な病気が多いのが特徴で、特に急性心筋梗塞、不安定狭心症、急性心不全、急性大動脈解離、肺塞栓、重症不整脈などは、適切な初期治療が生死を分けますので、心臓病は怖い恐ろしい病気だというイメージがあります。しかし、循環器疾患を正しく理解し、日頃から適切な治療をうけ予防をしていれば、良い効果が期待できますので、むやみに怖がる必要はありません。



◆カテーテル治療

 狭心症などの診断には64列マルチスライスCTを用いて安全に行っていますが、緊急性の高い循環器疾患の治療を行うために、当院では休日・夜間も含めて24時間緊急心臓カテーテル検査・治療を行っています。また、狭心症や心筋梗塞の治療に使用するステントには再狭窄を予防する薬剤溶出性ステント(DES)を主に使用しています。虚血性心疾患に対する心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術)は血管カテーテル治療撮影装置を用いて行いますが、当院では平成27年11月に血管撮影装置を島津製作所製Triniasに更新し、以前より明瞭な画像でより安全かつ低被爆で治療を行うことができるようになりました。左主幹部病変、分岐部病変、慢性完全閉塞病変などの複雑病変や下肢の動脈硬化病変には血管内超音波(IVUS)や血流予備量比(FFR)などを用いてカテーテル治療を行っています。



◆チーム医療

 循環器疾患は、一人の患者さんの治療に複数の医師、看護師、臨床工学士、臨床検査技師、診療放射線技師などが同時に関わる場面が多いのも特徴のひとつです。この為、緊迫した状況下でも全員がチームの一員として適切に各自の役割を果たす「チームプレー」が欠かせません。カテーテル治療において、安全(Safe)を主として、迅速(Speedy)かつシンプル(Simple)に治療し、患者さんにやさしく(Soft)、笑顔で接する(Smile)ことの「5 S」を心掛けています。



◆心臓血管外科との連携

 当院に心臓血管外科はありませんが、京都第一赤十字病院心臓血管外科など他病院の心臓血管外科と緊密に連携を取り、緊急手術も含めて必要な治療ができる体制にあります。





・心電図、ホルター心電図、運動負荷心電図(マスター階段、トレッドミル)
・(経胸壁)心臓超音波(心エコー)検査
・冠動脈CT検査(64列)
・心臓カテーテル検査(冠動脈造影検査、右心カテーテル検査)
・経皮的冠動脈形成術(ステント治療 PCI)
・FFR(冠動脈予備量比)検査
・冠動脈血管内超音波検査(IVUS)
・大動脈内バルーンパンピング(IABP)
・心臓電気生理検査(不整脈カテーテル検査 EPS)
・ペースメーカー移植術(条件付きMRI対応ペースメーカ)
・経皮的下肢動脈形成術(下肢閉塞性動脈硬化症カテーテル治療)
・24時間自由行動下血圧測定
・ABI(足関節上腕血圧比)、CAVI(心臓足首血管指数)
・SPP(皮膚組織灌流圧)

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ジェネリック医薬品 について

(この記事は2016年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



薬剤部 主任 牛嶋 麻紀

 最近では「ジェネリック医薬品」という言葉は広く世間に浸透し、よく耳にするようになりましたね。では、どんな医薬品なのかもう一度説明したいと思います。


◆どんな医薬品?

 新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に、それと同じ有効成分で製造・販売される医薬品で、新薬と同一の有効成分を同一量含み、同一の効能・効果を持つ医薬品のことです。新薬と異なる添加物が使用されていることがありますが、有効性、安全性及び品質について国が厳格な審査をして、製造販売承認をしています。

◆どうして安いの?
 
 先発医薬品の研究開発には、長い歳月と莫大な投資費用が、コストとして薬の値段に反映されています。これに比べてジェネリック医薬品の場合、既に有効性や安全性について先発医薬品で確認されていることから開発期間やコストを大幅に抑えられ、結果として薬の値段も先発医薬品と比べて安く設定することができます。

◆これからは?

 少子高齢化が進む日本では、今後も医療費の増大が予想されています。ジェネリック医薬品の普及によって、一人ひとりの自己負担や国の財政・健康保険組合の負担などの削減、ひいては高齢化社会の進展によって増大を続ける国民医療費の抑制にもつながります。厚生労働省もジェネリック医薬品の普及を都道府県や医薬品メーカー、保険者などと共に進めています。

 西陣病院でも4月より後発医薬品の導入を予定しています。わからないことがあれば、かかりつけ薬局、当院薬剤部にご相談ください。


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お屠蘇にも薬効が!

(この記事は2016年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

お屠蘇


薬剤部 薬剤師 須山 奈見子



 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
 今回は、新年ということで、「お屠蘇」について書いてみたいと思います。
 「お屠蘇」と聞くと、お正月にお酒を飲むことだろうと思いますよね。
 ところが、どうやら違うようなので、少し調べてみました。


 お屠蘇とは、「屠蘇散」という漢方薬を酒やみりんで浸けこんだ一種の薬草酒のことです。お正月にお屠蘇を飲むというのは、中国で始まったと言われています。これも諸説あるのですが、三国時代の名医「華陀」という人物によって作られた処方で、元旦にこれを飲めば邪気が払われ1年間健康で過ごすことができると言われています。日本には平安時代に伝わり、江戸時代に一般的に広まるようになりました。

 お屠蘇は、単なるアルコールではなく、薬草酒だったというわけです。

 「屠蘇散」に含まれる生薬は、多くて10種類、市販されている「屠蘇散」には一般的に、5~6種類配合されています。調合はそれぞれ微妙に異なりますが、代表的な生薬とその効能について簡単にまとめてみました。



 つまり「胃腸を健やかにし、身体を温め、風邪を予防する」という効果があるそうです。しかし、元旦の朝に一口飲むだけでは効果はほとんどありませんが、今年1年の健康を祈願する行事として続けられているのでしょう。

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