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地域で支える安心できる看護を目指して

(この記事は2014年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


中島美代子 看護部長 看護部長 中島 美代子


 2011年の京都府の高齢化率は23.7%で、約4 人に1が65 歳以上です。2025年には、団塊の世代が75 歳を迎え、高齢化率が30.5%になると言われています。今、日本では、この高齢化問題に取り組むため、医療も病院での医療から、地域で患者様とそのご家族を支えるチーム医療へと変わってきています。そして、看護も病院の中で治療を受ける患者様への看護だけではなく、住み慣れた家に帰るために、患者様やそのご家族ができるだけ安心して退院を迎えていただくための退院支援、ケアマネジャーへの情報提供や訪問看護師へつなげる看護が重要になっています。

 私たち西陣病院看護部は地域の看護に繋げられるように、入院治療を受ける患者様のケアはもちろんのこと、在宅に帰られる患者様が自分らしく生活することができるように、ご家族が安心して家で介護ができるように、看護してまいりたいと考えております。また、訪問看護ステーション西陣でも24 時間対応ができる、電話OnCall体制をとり、患者様とご家族にできるだけ安心して、在宅で過ごしていただけるよう看護し、地域の皆様が利用しやすいより良い病院づくりを目指してまいります。本年もよろしくお願い致します。


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肺炎球菌ワクチンのはなし

(この記事は2014年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


森本 卓志 薬剤部 院内感染予防委員 森本 卓志


 テレビコマーシャルや新聞広告で知っている方も多いと思いますが、厚生労働省の発表によると「肺炎」は悪性新生物(がん)、心疾患(心不全など)に次いで日本人の死因第3 位。しかも肺炎で亡くなる方の 95%以上が 65 歳以上だそうです。

 肺炎は細菌やウイルスなどが、からだに入り込んで起こる肺の炎症です。そして、日常でかかる肺炎の原因菌で最も多いのが、「肺炎球菌」とういう細菌です。「肺炎球菌」に対する免疫をつけるワクチンが肺炎球菌ワクチンです。

 現在、肺炎球菌感染症を予防するワクチンとしては、2歳以上で肺炎球菌疾患にかかるリスクが高い人および65歳以上の人を対象とした23価肺炎球菌多糖体ワクチンと、9歳以下の小児を対象とした13価肺炎球菌結合型ワクチンの2種類が発売されています。

 この23価肺炎球菌多糖体ワクチンは1回の接種で肺炎球菌の23種類の型に対して免疫をつけることができます。現在90種類以上の肺炎球菌の型が報告されていますが、この23種類の型で成人の肺炎球菌による感染症の80%以上がカバーできます。また、個人差はありますが、1回の接種で5年以上の効果が期待できます。

 ワクチン接種の副反応(期待される効果とは異なる作用)として、接種後に注射部位の腫れや、痛み、赤みなどがみられることや発熱や筋肉痛などがみられることがありますが、これらの反応は通常3日以内に自然に消失します。

 肺炎の予防には、うがい、手洗い、規則正しい生活などの日常的な感染予防が大切です。また、次のような方には成人用肺炎球菌ワクチンの接種が勧められています。
65歳以上の方
呼吸器に病気をお持ちの方(肺気腫(COPD)、喘息、結核感染後など)
糖尿病の方
慢性心不全、肝硬変などの肝臓病、免疫抑制剤による治療を受けている方

 西陣病院でも肺炎球菌ワクチン接種を行っています。ご希望の方は主治医にお尋ねください。


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LDLコレステロールが高いとなぜよくない?

(この記事は2014年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



栄養科 管理栄養士 河本久美子


LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれ、高くなると動脈硬化になり、心筋梗塞や脳梗塞の危険が高くなります。



DHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)は青背の魚の油に多く含まれており、血栓の生成を防いで動脈硬化に有効です。
●いわしのパン粉焼き

1人分:
エネルギー 229kcal / たんぱく質 16.7g / 塩分 0.7g
いわしのパン粉焼き
材料 (一人分)
  
作り方

(1) いわしの開きに塩・こしょうし、粒マスタードをぬる。
(2) 【A】をまぜ、いわしにのせてオリーブオイルをふりかける。
(3) オーブンで180℃ 8~10分焼く。(耐熱容器やアルミホイルをひいてオーブントースターで焼いてもOKです。パン粉が焦げないように注意してください。)
 いわし70g
 塩0.3g
 こしょう少々
 粒マスタード1g
 オリーブオイル3g
A
パン粉8g
バジル粉
(またはパセリ粉)
少々
パルメザンチーズ2g
おろしにんにく
(お好みで)
少々
※高LDLコレステロール血症… LDLコレステロール:140mg/dl以上(糖尿病・慢性腎臓病などの場合目標値は120mg/dl未満)


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ピロリ菌とその除菌について

(この記事は2013年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



 内科 鈴木 俊生


  ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)という名前を、一度くらいは見聞きされた方も多いのではないでしょうか。この西陣病院だよりでも前に話題として取り上げられていました。当時と多少状況が変わったところもあり再度取り上げることといたしました。

 ピロリ菌は、発見されてまだ30 年ほどですが様々な病気との関連性が解明されつつあります。その中でもわれわれ日本人が見過ごすわけにはいかないのは胃がんとの関連です。

 がんによって亡くなられる方のうち胃がんは、肺がんについで2 番目に多く、年間約5万人の方々が亡くなっておられます。また、年間約10万人の方が新たに胃がんと診断されています。

 ピロリ菌が感染した胃は、慢性胃炎の状態を経てがんを発症すると考えられます。そのため、ピロリ菌の感染をなくすこと( 除菌)は即ち胃がんの発症のリスクを減らすことにつながります。

 そもそも、ピロリ菌は口から体内に入り感染すると考えられており、衛生状態のよくない地域では感染のリスクは高まります。日本ではほかの先進諸国と比べてピロリ菌感染者の割合が高く、国民の50%(50 歳代以上では80%)が感染しているとみられています。若年世代では感染率は低く、戦後の急速な発展にともない衛生状態が改善されことを如実に反映しているといえるでしょう。

 今年はピロリ菌の除菌治療に関して大きな変化がありました。以前から、胃潰瘍、十二指腸潰瘍やそのほかの特定の病気のある方には、ピロリ菌の除菌が保険診療で行われてきました。

 しかし、これまではピロリ菌に感染してはいるけれども胃潰瘍や十二指腸潰瘍などのない方にはピロリ菌の除菌は保険診療では行えなかったのです。とうとう今年(2013 年)2 月より、そういう方の除菌治療も保険診療で行うことが可能となりました。

 ピロリ菌の感染を確認するためには、血液、尿、便、呼気のいずれかの検査か、胃カメラの際に胃の組織をごく少量採取して調べます。

 もし、これらの検査でピロリ菌に感染していることがわかれば除菌されることをお勧めします。

 除菌を希望される方で胃カメラを受けておられない方は、除菌に先立って胃カメラ検査を受けていただく必要があります。

 除菌の方法は数種類のお薬を7日間飲んでいただくだけです。たくさんのお薬を一度に飲んでいただくことになるため、下痢やアレルギーなどの副作用が現れることがあります。その後、除菌がうまくいったかどうかを先ほどの血液、尿、便、呼気のいずれかの検査で調べます。

 この治療で概ね70-80%前後の方々の除菌は成功します。うまくいかなかった方も二回目の除菌治療を受けていただくことができます。

 二回目の除菌治療は、一回目とは種類を一部変更した薬を飲んでいただきます。二回目の除菌まで含めると90% 以上の方のピロリ菌の除菌が成功します。ただし、その後もピロリ菌以外が原因の病気の可能性もありますので定期的に胃カメラを受けていただくのが望ましいでしょう。


日頃からおなかの具合がよくないとお感じの方や、胃の痛みがある方など気になる方は一度ピロリ菌の検査を受けてみてはいかがでしょうか。まずは病院に足を運んでみてください。お待ちしております。

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外科化学療法室が移転して新しくなりました。

(この記事は2013年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



福本医師 外科 副部長 福本 兼久


 以前、大腸がんに対する抗がん剤治療についてこの西陣病院だよりにも記載しましたが、2013年6月から外来化学療法室が移転して新しくなりましたのでご紹介します。
 大腸がんは近年急激に増えており、不幸にも大腸がんでなくなる方がこの数十年で10倍近くに増えています。厚生労働省が2007年に発表した死亡率でも、男性では肺がん、胃がんについで第3位ですが、女性では2005年から引き続き第1位です。

 また、大腸がんは、ほかのがんに比べ比較的ゆっくり進行するのが特徴ですが、いったん進行するとリンパ節や肝臓、肺、骨に転移するため、早期発見、早期治療により完治させることが重要です。早期発見のためには、大腸内視鏡検査を受けるのが最も確実で、小さなポリープや粘膜内にとどまっている早期がんは内視鏡下に切除することも可能です。(西陣病院だより2012年9・10月号でも紹介しています)

 がんが進行している場合でも腹腔鏡手術という、より低侵襲な手術により治療することが可能な場合もあり、更に進行して肝臓や肺に転移していても手術で切除が可能な場合もありますが、残念ながら既に肝臓や肺に多数の転移があり、手術単独では治せない場合も増加しています。そのような状態では、手術前や手術後に薬による治療いわゆる化学療法(抗がん剤治療)が行われますが、最近10年間で大腸がんに対する抗がん剤治療は大きく進歩し、新しい抗がん剤や分子標的薬といわれるがん細胞の一部分を狙い撃ちするような治療薬が出現し、薬が効きやすいがんになりつつあります。また、肝臓や肺の転移に対して抗がん剤治療を行うことで、腫瘍が縮小したり消失したりする場合も増えており、化学療法後に縮小した腫瘍を含めて肝臓や肺を手術で切除できる場合もあります。このように、化学療法(抗がん剤+分子標的薬)を行うことで、再発後の生存期間も約2年以上と飛躍的に改善しています。現在も新しい分子標的薬の開発や臨床試験が盛んに行われており、更なる生存期間の改善が期待されています。

生存期間中間値

 続いて、外来化学療法室で行っている実際の治療について説明します。

 当院では、大腸がんを含め、胃がん、膵がん、胆管がん、膀胱がん、前立腺がんなど様々ながん腫に対して外来化学療法を行っています。それぞれの治療法の詳細については割愛しますが、例えば大腸がんでは、抗がん剤+分子標的薬という多剤併用療法が行われることがほとんどで、治療時間も約3~4時間と長時間にわたり点滴を行います。実際に4時間ほどの点滴を続けるのは非常に苦痛なのですが、当院では患者様が少しでもリラックスして治療が受けられるように心がけています。

 設備としては、フルリクライニングチェアー5台(電動3台、手動2台)とベッド2台を配置し、プライバシーに配慮してそれぞれの間隔を広めに取っており、楽な姿勢でご希望の場所で治療を受けることが可能です。また、それぞれにテレビも配置しており、お好きな番組を見ながらの治療も可能です。

外来化学療法室


 最近の化学療法は、非常に特徴的な副作用が出現することも多く、当院では外来化学療法室専属の看護師が常駐しており、治療前から治療後まで患者様の体調をきめ細かく観察し、できるだけ安心して治療が受けられるようにしています。また、投与している薬の作用や副作用については、化学療法専門の薬剤師が丁寧に説明し、治療に対する不安を取り除くように心がけています。

 抗がん剤治療というと以前は副作用が強く、治療により動けなくなってしまうような印象がありますが、現在の治療法は副作用も少なくなっており、外来通院で治療を行うことが可能となりました。このため、外来化学療法室は、患者様にとって、より安心、快適、安全に、個々の病状に応じた治療を受けていただき、治療後も普段通りの生活に戻れるような施設を目指しています。また、主治医、看護師、薬剤師、管理栄養士が密に連携し、チーム医療により患者様の治療を支援していきます。

外来化学療法室スタッフ
外来化学療法室スタッフ


 当院では、週3回(月、水、金)化学療法専門外来を行っていますので、詳細は担当医または化学療法外来担当看護師までご相談ください。

 なお、当院は日本がん治療認定医機構認定研修施設の認定を受けています。

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