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アルツハイマー型認知症の治療薬について

(この記事は2012年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤師 安藤 典子


 認知症は65才以上の10人に1人が発症すると言われ、その中でもアルツハイマー型認知症の患者数は年々増加傾向にあります。アルツハイマー型認知症は、βアミロイド蛋白が脳の神経細胞に蓄積することにより神経細胞が破壊され、脳が萎縮し、脳機能が低下する疾患です。根本的な治療法はないものの近年新薬が次々と発売されており、治療の幅が広がっています。
 ドネペジル(商品名アリセプト)は最も古くから用いられている薬です。副作用に食欲不振、興奮、幻覚が報告されています。特に服用開始時は副作用が出やすいので注意が必要です。

 メマンチン(メマリー)は昨年使用できるようになった薬です。副作用に頭痛、めまいが報告されており、もともとめまいがある人は注意が必要です。アリセプトとメマリーを併用した方がよいとの報告もあります。

 ガランタミン(レミニール)も新しい薬で、主な副作用は吐き気、嘔吐です。

 リバスチグミン(イクセロンパッチ、リバスタッチ)は貼り薬です。副作用はかぶれ、吐き気ですが、吐き気は他剤に比べて軽減されているようです。いずれの薬も無治療なら1~ 2年で進む症状悪化のスピードを3年ほどに遅らせることができると言われています。しかし薬の効果には個人差があり、早い段階で治療を開始するほど効果が高いことも分かっています。

 何度も同じ事を言ったり聞いたりする、家事や仕事の段取りが上手く出来なくなる等の症状がみられたら、すぐに医師の診察を受け、早期治療を行うことが重要です。


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心血管病の早期発見早期治療に24時間血圧測定検査をご存じですか?

(この記事は2012年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

心血管病
角田先生 循環器内科 医長 角田 聖



◆血圧は測るたびに違う数値が出ます

 血圧が高い人も低い人も、自分の血圧はどれが本当の数値なのだろう?機械が壊れているのでは?やっぱり病院の水銀血圧計で測るのが正しいはず!と思っている人は多いのではないでしょうか。血圧は測る時刻や測り方で変わってきますし、仕事の日と休日でも違うでしょう。測るたびに緊張してどんどん数値が上がってしまう人や、病院でドクターやナースの前で測るとすごく高いという人もいます。同じ人で同じ時刻でも、両手両足の血圧を同時に測ると、それぞれ別々の数値が出てくるものなのです。こんなに毎回、違う数値が出てきたら、何を信用すればいいのか、自分が高血圧なのかどうなのかも、わからなくなってしまいますね。

 たとえば30分おきに血圧計の前に座ってみると、どうでしょう。食事の前と後、運動の前と後、お風呂の前と後、すべて違う数値がでてきますが、すべてその人の血圧です。血液透析を受けている人は透析中に何度も血圧を測るので、血圧ってそもそも一定じゃないことをよくご存じだと思います。ですから血圧は同じ測り方、同じ測定条件で何回か測定し、得られた数値の平均値を参考にするのが一般的です。1回だけで判断せず、一日の平均、一週間の平均、一か月の平均が大事になってきます。



◆寝ている間も血圧は刻々と変わります

 血圧計を自宅に持っていて、朝と寝る前に家庭血圧を測ってくれている人も最近は増えてきました。でも血圧は起きているときだけ測定していれば十分なのでしょうか。夜中自分で血圧を測ることはできませんが、心臓が拍動しているかぎり血圧は測定できるはずですね。夜中寝ているときに脳卒中や心筋梗塞を発症して救急車で運ばれる人も少なくありませんから、睡眠時の血圧が高いか低いか知っておくことが、これからは必要かもしれません。血圧の測り方は、病院で測定する診察室血圧(外来血圧)、自宅で測る家庭血圧、朝晩通じて一日中血圧計を巻いておき、一定の時間ごとに自動的に測定する24時間血圧、などがあります。このうち睡眠時の血圧を測定できるのは24時間血圧です。



◆あなたはどのタイプ?

 一般に夜間睡眠時には血圧が低下します。このような人のことを専門用語でディッパー(低下型)といい、正常型とされています。一方、夜間の血圧が低下せず昼間と血圧があまり変わらない人をノンディッパー(非低下型)といいます。夜間に血圧が上昇してしまう人もいて、これをライザー(上昇型)といいます。このようなタイプの違いは10年以上前から専門家の間では知られており、ノンディッパーやライザーの人は高血圧性臓器障害の割合が多く、心血管事故の危険性が高いということがわかってきました。また、夜間の血圧が思ったよりも下がりすぎている人もいて、これをエクストリーム・ディッパー(超低下型)と呼んでいます。このような人は朝方の血圧上昇が激しい可能性があります。

 国の調べによると、現在日本人の高血圧の人は4,000万人ぐらいいて、そのうち病院で治療を受けている高血圧患者様は約半分で、治療がよく効いて血圧が安定している患者様はさらにその半分くらいと考えられています。自分は高血圧じゃないと考えている人も、24時間血圧のようないつもと違う測定法で調べれば、実は高血圧だったということがわかるかもしれません。(測定法によって高血圧の基準値は異なります。)早期発見早期治療はガンだけでなく、血圧でもいえることです。すでに高血圧の治療を受けている人も、夜間睡眠時血圧を調べ、ディッパーかそうでないかを知っておくことで、心血管病の予防に役立てることができます。

 当院でも24時間血圧測定を随時受け付けていますので、内科角田外来(水曜日夜診、木曜午前診、隔週土曜午前診)を受診いただくか、各科かかりつけの主治医の先生に頼んでみてはいかがでしょうか。




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心臓血管外科治療と外来開設のご案内

(この記事は2012年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


髙橋先生 心臓血管外科 髙橋 章之


今まで透析患者様を中心に多くの西陣病院の患者様が京都第一赤十字病院の心臓血管外科で手術を受けられましたが、術後の通院が遠いなどのご不便をおかけしていました。また、心臓及び血管疾患に関しては整形外科や泌尿器科など一つの科の中で診断から治療までを一貫して行うわけではなく、診断から内科的治療・外科的治療までを循環器内科医と心臓血管外科医が相談・連携して診療にあたっていましたが、残念ながら西陣病院には心臓血管外科がなく、手術が必要と判断された場合は他の病院に受診しなければなりませんでした。特に入院中の患者様に関しては話を聞きたくても他院まで受診することが困難な方もおられました。このような理由から、外科的治療の可能性がある患者様に手術内容や危険性・メリットなどを説明したり、手術後のフォローを行う目的で9 月より第2 週と4 週の土曜日午前中に西陣病院循環器センターの一環として京都第一赤十字病院との連携で心臓血管外科外来を開設致しました。

 対象疾患としては弁膜症や狭心症などの心臓疾患、動脈瘤を初めとする大動脈疾患、閉塞性動脈硬化症などの末梢動脈疾患、下肢静脈瘤などの静脈疾患などを扱います。心臓疾患に関しては当院の循環器内科チームとの連携で治療方針を相談させて頂きます。一方で、動脈瘤や末梢動脈疾患、下肢静脈瘤などの疾患は必ずしもすぐに手術を行う必要はありません。

 大動脈瘤とは心臓から全身に血液を送る幹となる大動脈が部分的に“こぶ” のように膨れてしまう病気です。主に動脈硬化が原因でおこりますが稀に感染などにより急にできてしまうことがあります。その多くは無症状で、たまたま撮影したレントゲンやCT、超音波検査などで偶然見つかります。逆に症状がある場合は早期破裂による急死の危険性が極めて高く緊急手術の対象となる病気です。一旦できてしまった動脈瘤は自然経過や投薬で治ることはなく治療方法としては手術しかありません。手術方法に関しては以前から胸やお腹を切って動脈瘤の部分を人工血管で取り替える手術を行ってきました。以前に比べて手術成績も良くなってきており、今では胸部大動脈瘤で5 ~ 10%、腹部大動脈瘤では1 % 前後の危険性まで低下しました。また、最近では大きな傷を作らないでも治せるステントグラフトと呼ばれるカテーテル治療に準じた手術も増えてきています(但しこれは全ての患者様に行える訳ではありません)。更にこの両方のハイブリッド治療も選択肢に増えてきました。またすぐに手術が必要とならず定期的な受診によるフォローで経過を見ることもあります。それぞれのメリット・デメリットをその患者様一人一人に対して考え判断しなくてはなりません。

ステントグラフト
図1) ステントグラフトとはカテーテルを使って動脈瘤の内側に
金属骨格のついた人工血管を裏打ちして補強する方法

腹部大動脈瘤
図2) ステントグラフトで治療さ
れた腹部大動脈瘤

下肢静脈瘤
図3) 下肢静脈瘤は足の表面
の血管がこぶ状にふくれる病気



 下肢静脈瘤とは足から心臓に戻る方の血管(静脈)のうち皮膚に近い部分の静脈が“こぶ” 状に膨れる病気です。動脈瘤と異なり足の静脈瘤は破裂しても命にかかわることはありませんが、皮膚炎や血栓症を起こしたり、足がだるい・かゆい・むくむなどの症状が出てきます。治療方法は主に①足の静脈を抜去して静脈瘤を切除する、②レーザ治療、③薬の注射による硬化療法などであり、また必ずしもすぐに積極的な外科治療が必要でないケースも多々あります。

 心臓血管外科というと一般の方々からすると、かなり敷居が高い診療科のように思われがちですが、決して特殊な科ではありません。皆様が気軽に受診できて相談して頂ければと思いますので、何卒宜しく御願い申し上げます。


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ノロウイルス

(この記事は2012年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)




栄養科 管理栄養士 河本 久美子


― 発生時期は??

 ピークは秋から春ですが、年間を通して発生しています。


― 原因は??

 カキなど二枚貝の加熱不十分や調理器具を介しての二次汚染が主な原因です。少量でも感染力が強く、人のふん便やおう吐物などから感染が広がるので注意が必要です。


― 感染するとどんな症状??

 潜伏期間は1~2日で、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱が主な症状。通常これらの症状が1~2日続いた後、治癒しますが、幼児や高齢者など抵抗力が弱い人が感染すると重症になることがあるため、水分と栄養の補給を充分に行うなど注意が必要です。





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看護の日2012年

(この記事は2012年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

看護の日



看護部 教育担当 科長 兵頭 美香子



 京都府看護協会では、一人でも多くの方々に「看護の心」をご理解いただくために、毎年この時期に、中学生以上の学生および一般府・市民を対象にした「ふれあい看護体験」を実施しています。

 西陣病院では、7月28日(土)に看護師を目指している高校生4名を招き、実際に看護を体験していただきました。初めは緊張した様子でしたが、患者様との会話を通じ少しずつ緊張がほぐれ、患者様と共に楽しく充実した時間を過ごせたようです。ある高校生は、患者様から「頑張っていい看護師さんになってね」と励まされ、看護師になる夢を絶対に実現させようと、強く思われたそうです。

 そして、「ふれあい看護体験」の実施に合わせ、毎年恒例の「ふれあい健康相談」を開催いたしました。今年も健康相談の他に、皮膚・排泄ケア認定看護師によるスキンケア、訪問看護ステーションの利用者様のご家族様の手記の展示を行いました。スキンケアは特に女性の方々に好評で、皆さま熱心にアドバイスを聴いていらっしゃいました。

 参加したスタッフから、以前入院されていた患者様と久しぶりにお会いすることができ、とても嬉しかったとの声もあり、来年もこのようなイベントを企画し、患者様や近隣の方々との交流を図っていきたいと思います。


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