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経口(飲み薬)抗菌薬のおはなし

(この記事は2012年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



岡本早織 薬剤部 薬剤師 岡本 早織


 抗菌薬(抗生物質)は、細菌を殺すことで感染症を治療するお薬です。抗菌薬はウイルスを殺す作用はなく、風邪の80~90%を占めるとされるウィルス性の風邪に対して直接効くわけではありません。しかし高熱、咳や痰が多い等症状の強い風邪では、細菌による二次感染を治療・予防するために抗菌薬が処方されることがあります。このほか皮膚感染症、呼吸器感染症、泌尿器感染症等様々な疾患に対して処方されます。

 皆様は、病院でもらった抗菌薬を、症状が良くなったために途中で飲むのをやめたことはありませんか?

 149例を対象に実施された経口抗菌薬の服薬状況の調査では、42%の患者様で服薬が中断されていました。さらに、日本は世界各国の中で、中国に次いで服薬コンプライアンス(服薬遵守=指示通りに服薬すること)の悪い国であるとの調査結果も公表されています。

 抗菌薬の服用中断による問題点は2つあります。1つは、また悪化したり治るまでの期間を長引かせる場合があること。もう1つは、『耐性菌』といって、抗菌薬が効きにくくなったり効かなくなった菌を増やしてしまうことです。






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「心臓血管外科外来」開設のご案内

(この記事は2012年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


小田先生 内科主任部長・循環器センター長 小田 洋平


 拝啓 初秋の候、 益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。

 また平素は当院に対しまして格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

 最近は虚血性心疾患や不整脈、心臓弁膜症による心不全などの内科的治療が充実する一方で、当院では手術治療を行うことが出来ませんでした。そこで手術治療が必要な患者様のために、すこしでもお力になれるように、京都第一赤十字病院および京都府立医科大学附属病院心臓血管外科のご協力をいただき、平成24年9月から『心臓血管外科外来』を下記のように開設する運びとなりました。

 外来受診の対象症例は、心臓外科と胸部血管領域の全般、腹部血管(腹部大動脈瘤についてはステントグラフト治療適応の検討希望も含めて)、末梢血管疾患(閉塞性動脈硬化症や下肢静脈瘤など)、循環器内科的には外科治療を要する心疾患全般(狭心症、心筋梗塞、弁膜症など)となります。

 心臓や血管の手術の適応と考えられる患者様の診察を入念に行い、手術せず経過をみる場合の危険性や、手術の心配な点を詳しくわかりやすくご説明いたします。外来受診の結果、内科的治療を継続する場合には当院で引き続き治療を行い、心臓血管領域の外科的治療が必要な場合には主として京都第一赤十字病院心臓血管外科等で一貫した治療を行っていくことを想定しております。心臓血管外科領域においても各種疾患の早期発見がその後の治療を大きく左右することはご承知のとおりです。また手術予定の患者様だけでなく手術を迷っておられる患者様や手術後の合併症でお困りの方も受診していただいて結構です。少しでも疑わしい症例がございましたら、どうぞお気軽に紹介いただきたく、謹んでご案内を申し上げます。
  
敬具


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さまざまな内視鏡診療について

(この記事は2012年9・10月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


葛西先生 内科部長・消化器内視鏡センター長 葛西 恭一


 消化器内視鏡センターは当院本館地下1階の画像診断センター内にあります。当院は日本消化器内視鏡学会の指導施設に認定されており、10名の内視鏡医(指導医 1名、専門医 6名)と8名の看
護師(内視鏡技師 3名)で日々内視鏡検査・治療を行っています。

 「内視鏡」とは太さ約1㎝、長さ約1mの柔らかいチューブで、体内の状態を体に傷をつけずに観察できる医療機器の総称です。体の様々な部分の観察に使用されますが、特に消化管(胃や大腸)の観察に最も広く使用され、発展してきました。

 現在当センターで行っている内視鏡診療について紹介します。



◆上部消化管内視鏡

 いわゆる「胃カメラ」と言われている検査でもっとも一般的な内視鏡検査です。平成23年度は年間約2,600件行いました。食道・胃・十二指腸を観察し、癌や潰瘍、ポリープ、胃炎などの診断に用います。最近では逆流性食道炎という病気が増えてきていますが、食習慣・生活習慣の欧米化が要因の一つと考えられます。胸焼けやゲップを自覚することが増えてきたと感じておられたら一度検査されることをお勧めします。また、最近NBIと呼ばれる特定の波長の光を用いて消化管を観察すると通常の光(白色光)では見えにくかった早期癌がより見えやすくなることがわかり、以前にもまして癌
をより早期に診断できるようになりました。(図1)早期の胃癌や食道癌は内視鏡切除が可能な場合が多いので、少しでも自覚症状のある方、自覚症状はなくても癌が心配な方は是非検査を受けて下さい。


◆下部消化管内視鏡

 肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸まで観察します。平成23年度は年間約1,200件行いました。日本人の大腸癌は増加傾向にありますが、早期発見できれば内視鏡切除や腹腔鏡下切除により治癒が期待できる疾患です。ただし、胃カメラに比べると、挿入時の苦痛が強いのではないかと不安に思っておられる方も多いと思います。当センターでは、患者様毎に異なっている大腸の形状、走向に対応するため、体内の内視鏡の形状が体外で確認できる内視鏡装置を採用しております。(図2)また、従来は内視鏡から「空気」を送り込むことにより大腸を膨らませて観察していましたが、現在は体内に吸収される「炭酸ガス(二酸化炭素)」を送り込む装置を用いておりますので術中、術後の苦痛はかなり軽減されます。これらの機器の進歩により安全で苦痛の少ない挿入を行っておりますので安心して検査を受けて下さい。また、胃カメラと同様にNBIや拡大観察による精密な検査が可能です。


図1
(図1)NBI拡大観察で確認できた
大きさ4㎜の早期胃癌

図3
(図3)内視鏡的に除去された総胆管結石

図2
(図2)体内の内視鏡の形状を右上のモニター画面で
確認しながら大腸内視鏡を挿入していきます。

◆胆膵内視鏡

 食物の消化に必要な「胆汁」と「膵液」は、胃の奥にある十二指腸から分泌されます。胆膵内視鏡検査は、十二指腸に挿入した内視鏡から胆管(胆汁の通路)と膵管(膵液の通路)に造影剤を注入してレントゲン撮影し、胆石症、膵炎、胆道癌、膵癌などの診断や治療を行います。平成23年度は約130件の検査を行い、総胆管結石の除去や胆管炎・黄疸を軽減させるチューブやステントの留置を多数例行っております。(図3)


◆腹腔鏡・内視鏡合同手術

 近年、より低侵襲な外科治療を目指して内視鏡医と外科医が合同で行う手術方法が開発される時代となり、実際に当院でもそのような手術を行っています(西陣だより2012年7・8月号で紹介しています)。今後この分野は更に発展するものと予想されます。


 消化器内視鏡センターは、より苦痛の少ない安全で確実な診断・治療を心懸けてスタッフ一丸となって努力していきますのでよろしくお願いします。



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消化器センター外科部門についてご紹介します

(この記事は2012年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


福本先生 外科 副部長 福本 兼久



 当院では、消化器疾患(食道・胃・大腸・肛門・肝臓・胆嚢・膵臓などの疾患)をより専門的に診断し高度な治療を提供するため、2012年4月より消化器センターを開設いたしました。

 近年の内視鏡(胃カメラ・大腸カメラなど)や画像診断の進歩は目覚ましく、従来では発見できなかったような様々な病気を診断することが可能となっており、さらに専門的かつ高度な治療法が必要とされるようになってきました。当院では以前より積極的に専門的な診断、治療に取り組んできましたが、今後も消化器内視鏡センターや画像診断センターなどの連携によるさらに高度な医療を目指して消化器センターを開設する運びとなりました。また、当院は、患者様に最良の医療を提供することを病院の基本理念として掲げており、その精神に基づき、治療方針について透析センターや循環器センターなどと頻繁に意見交換を行い、透析患者様や循環器疾患など様々な合併症をお持ちの患者様に対しても、迅速で的確な質の高い医療を提供できるよう頑張りますので、宜しくお願い申し上げます。



◆当院での消化器疾患治療

 消化器疾患といいましても、非常にたくさんの種類の疾患が含まれており、例えば胃がんや大腸がんなどでも内視鏡で切除ができるものから外科手術で摘出術が必要となるような場合もあります。また、比較的よく聞く病気として、胆石や胆嚢炎,膵炎、虫垂炎、痔、ヘルニアなど、がん以外の疾患もたくさん消化器疾患に含まれ、この中でも手術による治療が必要となる場合もあります。このように様々な疾患を消化器センターでは担当することになりますが、その中でも今回は外科的な治療(いわゆる外科手術)についてご紹介させていただきます。


◆当院での手術症例

  昨年度に当院で行われた外科手術症例は全418例で、主な疾患としては胃がん;17例(腹腔鏡手術8例)、結腸・直腸がん;46例(腹腔鏡手術40例)、胆石など良性胆嚢疾患;70例(腹腔鏡手術67例うち単孔式腹腔鏡手術37例)、肝・胆嚢・膵臓腫瘍;7例、虫垂炎;31例(単孔式腹腔鏡手術30例)、鼠径・大腿ヘルニア;90例(腹腔鏡手術34例)、イレウス;12例、肛門疾患;62例(痔核硬化療法32例)、直腸脱;6例(腹腔鏡下直腸固定術1例)でした。

 これらの疾患すべてを消化器センターが担当することとなり、様々な臓器の疾患について、的確な診断と治療が必要であることがわかっていただけると思います。

 消化器センターでは、これら多種多様な疾患それぞれに対して更なる高度で良質な医療を目指して日々取り組んでおり、外科治療としてより低侵襲な手術方法を積極的に行っています。


◆腹腔鏡手術 ~より低侵襲な手術を目指して~

 当院では平成21年より手術室をリニューアルし、LED無影灯や腹腔鏡手術用のハイビジョンモニターやハイビジョンカメラ(腹腔鏡)を導入し、様々な疾患に対して積極的に腹腔鏡手術を行っています。(「西陣病院だより」2009年7・8月号掲載、中川医師(麻酔科)の記事もご参照ください。)

画像1
胃噴門部粘膜下腫瘍
画像2
腹腔鏡で見た胃
(胃内は内視鏡で観察中)
画像3
切除される粘膜下腫瘍
 腹腔鏡手術はすでに十数年前より導入しており非常に低侵襲な手術方法ですが、当院では数年前より、腹腔鏡手術の中でもより小さな、少ない傷で行う、単孔式手術(傷が1カ所)、Reduced Port Surgery(傷が2~3カ所)、Needle scopic Surgery(細径手術器具を用いてより小さな傷で行う腹腔鏡手術)を胆石、鼠径ヘルニア、虫垂炎をはじめ胃がん・大腸がんにも症例を選んで導入し、根治性と低侵襲性の両立を目指しています。今回、詳しい手術方法の説明は省略しますが、詳細は「単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術について -傷の無い手術を目指して- :「西陣病院だより」2010年5・6月号掲載、宮垣医師」を参照してください。

 また最近は、外科医と内視鏡医が協力して手術を行うような腹腔鏡・内視鏡併用胃部分切除など、さらに低侵襲な手術も行われるようになってきており、今後は消化器センターと他の診療科との連携が必須となる新しい医療が求められています。この様に、より高度に専門化された医療に対応できるよう新たに消化器センターを設立しましたが、当院の理念である地域に密着した良質の医療を提供することを決して忘れず、当院を受診された患者様や当院へご紹介頂いた先生から更に信頼していただける病院を目指してこれからも日々精進していきますので、宜しくお願い申し上げます。


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カンピロバクター食中毒

(この記事は2012年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



 栄養科 管理栄養士 須惠裕子


◆発生時期は??

 ピークは5~7月ですが、年間を通じて発生しており、京都市内でも毎年発生しています。発生件数が最も多く、患者数もノロウイルスに続いて2番目に多くなっています。
 また、カンピロバクター食中毒は患者数が1名の事例が多いことも特徴の1つです。


◆原因は??

 鶏肉や牛レバー等の肉類の生食や加熱不十分が主な要因です。調理過程における二次汚染による食中毒も起こりやすい傾向があります。


◆感染するとどんな症状??

 下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感など。潜伏時間が一般に2~5日間とやや長いことが特徴。
 また、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合があることが指摘されています。

食中毒予防



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