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循環器・消化器・消化器内視鏡センターを開設しました

(この記事は2012年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


小田先生 内科主任部長・循環器センター長 小田 洋平

 平成24年4月1日から西陣病院内科主任部長として赴任しました小田でございます。西陣病院は、これまで院長を先頭に職員一丸となって、地域に密着した安全で良質な医療を提供すべく格段の努力をされてまいりました。今後は私自身もその一翼を担うべく全力を尽くす所存ですのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

 私の専門分野であります循環器内科においては、本年4月から循環器専門医スタッフが5名と増員しましたので、急性期症例の受け入れや高度な医療を提供すべく組織を再編し、循環器センターとして発足する運びとなりました。循環器分野における最新の専門的治療を提供しますとともに、循環器疾患の未病や予防に直結する生活習慣病の改善など医療技術のみに偏ることのない幅広い全人的な診療を行い、他科との連携も強化して心温まる循環器センターを構築したいと思います。

 富士山が美しいと日本人が感じるのは、ただ高いからだけではなく裾野が広いからです。当循環器センターも、裾野が広くて倒れにくい、品のある美しい組織を目指したいと思いますのでご指導、ご支援のほどお願い申し上げます。




宮垣先生 外科部長・消化器センター長 宮垣 拓也

 当院の各科医師・メディカルスタッフ間のチームワークの良さ、フットワークの軽さは各方面から高い評価を得ておりますが、消化器(食道・胃・大腸・肛門・肝臓・胆嚢・膵臓など)疾患の診断治療にあたり、さらにその連携を密にし患者様中心の垣根のない継続性ある診療を行うべくこの4月より消化器センターを開設しました。

 わが国の3大成人病のうち死亡原因の第1位を占める癌の中で、消化器系の癌で亡くなられる方は常に上位を占めております。また癌以外の消化器疾患も非常に種類が多く、専門診療領域も多岐に渡っています。このような疾患を内科・外科と云った単一の科で診療するのは困難となってきました。当院では以前より各科が同席する総合医局内で消化器内科医・外科医・放射線科医達が、患者様の治療方針について頻繁に意見を交わし、常に広い視野を持って患者様に優しい最良の医療を提供すべく努力して参りました。またメディカルスタッフを交えた定期的なカンファレンスでその診断・治療が適切であったかどうか真摯に検討してきました。

 今後はそれを更にグレードアップし、消化器内視鏡センターはもとより、既に開設している透析センター・画像診断センター、今回同時に開設された循環器センターのスタッフと共に、循環器・腎疾患など様々な合併症を抱えておられる患者様に対してもオール西陣で診療にあたります。

 No Man Alone 「人は独りでは事を成し得ない」スタッフ一同協力して、無駄なく質の高い医療を提供すべく頑張りますので、宜しくお願い申し上げます。



葛西先生 内科部長・消化器内視鏡センター長 葛西 恭一

 消化器内視鏡センターは、内視鏡(胃カメラや大腸カメラなど)を使って病気の診断・治療を行う部門です。近年の内視鏡関連機器の進歩は目覚ましく、従来では発見できなかった非常に小さな癌を診断することが可能となってきました。治療法の進歩も目覚ましく、以前は不確実であった早期癌の内視鏡切除も、より確実性の高い治療法が開発されており、当院でも積極的に導入しております。今後は、外科医と内視鏡医が同時に手術に携わることにより、さらに体への負担の少ない治療が行われる時代になると言われています。もちろん癌以外の消化器疾患の診断・治療も日々進歩しております。

 我々は高度化・専門化する医療に対応していくと同時に、地域の病院としてさまざまな病態・状況に陥った患者様に柔軟かつ全人的に対応するという従来からの当院の姿勢を忘れてはいけないと考えています。患者様や近隣の開業医の先生からの更なる信頼を得るため、引き続き努力していく所存ですので今後ともよろしくお願い申し上げます。


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胆石症と急性胆道感染症

(この記事は2012年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


稲垣先生 内科 医長 稲垣 恭和

 胆石症はきわめて頻度の高い疾患ですが、多くの方は無症状です。しかし一部の患者様は急性胆道感染症として発症することがあります。急性胆道感染症は急性胆嚢炎と急性胆管炎にわかれますが、胆嚢の出口(胆嚢頚部、胆嚢管)に石がはまりこんで発症するのが急性胆嚢炎、総胆管にはまりこんで発症するのが急性胆管炎です。急性胆管炎の方がより重症化する可能性があり、危険な病気です。本来肝臓で作られた胆汁は胆嚢に蓄えられ、胆嚢→総胆管→十二指腸に流れますが、石がはまりこむことにより胆汁の流れが悪くなり、胆汁うっ滞がおこり、腸内細菌が胆嚢、胆管に感染を起こすのです。最初におこる症状としては上腹部痛、発熱、嘔気、嘔吐などが多く、急性胆管炎では黄疸がでることもあります。重症化すると血圧低下や意識障害が起こることもあります。高齢者では症状が出にくいこともあり発見が遅れ易く注意が必要です。

※胆道とは、肝臓でつくられた胆汁(消化液 兼 不要な黄色色素の排泄物)が十二指腸に排泄されるまでの管の総称です。
 胆道には、胆管と胆のうがあります。胆管は、胆汁が通る管です。胆のうは、胆汁を貯めておく袋です。なくなっても生活に支障はありません。胆のうは食事を摂らない時間帯に胆汁を一時的に濃縮しながら貯蔵します。食事を摂って胃が動き出すと収縮して中に貯めていた胆汁を十二指腸に押し出します。
資料提供:日本イーライリリー(株) COUNSELING FILE(膵臓・胆道)


【診断】
 採血、腹部超音波検査、CT、MRI などで診断します。


【治療】

 基本は入院のうえ絶食とし抗生物質の点滴を行います。急性胆嚢炎の場合は重症度に応じて緊急胆嚢摘出術や経皮的胆嚢穿刺吸引術(PTGBA)、経皮的胆嚢ドレナージ術(PTGBD)などを行うこともあります。PTGBA は腹部超音波をみながら胆嚢に針をさし、感染した胆汁を抜く治療法であり、PTGBD は同様に胆嚢に針を刺し、胆嚢内にチューブを留置する治療法で共に有効な治療法です。急性胆管炎の場合は抗生物質だけで改善しないことも多く、できるだけ早く内視鏡をつかって胆管にチューブを挿入し胆管内の感染した胆汁を抜く必要があります。その後胆管炎が落ち着いた段階で内視鏡的に結石を除去します。急性胆道感染症は治療により改善しても再発することが多いため、胆嚢摘出術を行うことが勧められています。
ERCP (内視鏡的逆行性膵管胆管撮影)


 急性胆道感染症は重症化すると命に関わることがある疾患です。胆嚢結石をもっている方は腹痛、発熱などの症状があればできるだけ早く医療機関を受診するように心掛けてください。また症状がない方でも、胆嚢の石が総胆管に落ちていることもあり、そうなると高率に急性胆管炎が起こるため、1年に1度は腹部超音波などの定期検査を受けられることをお勧めします。



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普段何気なく使用している目薬。皆さんは正しい使い方をご存じですか?

(この記事は2012年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



 薬剤部 薬剤師 青木 芙美


 緑内障など成人の目の病気が多く発症してくる40~60代の男女1,200人(病院で複数の目薬を処方された経験のある人)を対象に、点眼方法に関する調査を行った結果、3人に1人が目薬をさし過ぎ、94.2%が点眼後に“目をパチパチさせている”や37.2%が十分間隔を空けずに複数の目薬を点眼しているなど、点眼滴数、点眼後の行動、点眼の間隔について正しく点眼できていない実態が報告されています。
目薬



◆目薬は1滴だけで本当に効果があるの?

目薬の1滴は約50μlで、瞼の中に貯めておける涙の量は約30μlと言われており、1滴だけでも瞼の限界を超えています。つまり、1滴で効果が期待できます。


◆点眼後は目をパチパチさせると良い?

 目をパチパチさせると目薬を外に追い出すことになり、目薬の十分な効果が得らません。点眼後は目を閉じ、目薬を眼球(患部)に行き渡らせることがポイントです。 


複数の目薬◆目薬が2種類以上ある場合は?

 2種類以上の目薬を使用する場合は、間隔を5分以上あけて点眼しましょう。
 続けて点眼すると、先に差した目薬の効果が減弱します。点眼薬の種類によって、水溶性⇒懸濁性⇒油性の順に点眼すると良いのですが、医師の指示がある場合は指示に従ってください。




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食中毒を予防しよう

(この記事は2012年5・6月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)

食中毒


 栄養科 管理栄養士 山本 茂子




 食中毒の予防は、手洗いが基本となりますが、菌を増やさないということも忘れてはなりません。

 食べ物や飲み物をそのままにして、時間が経ってから食べたり飲んだりするのはやめましょう。室内放置は菌を増やす原因になりますし、味や臭いに変化がなくても菌が増殖している場合がありますので注意しましょう。特に夏場は腸管出血性大腸菌、カンピロバクター、サルモネラ食中毒が多く発生します。

 腸管出血性大腸菌(O-157、O-111など)は、主に牛の腸にいる細菌です。牛の糞尿などを介して牛肉やその他の食品・井戸水等に付着します。腸管出血性大腸菌は、少量で感染します。菌が付いた食品を食べると、2日から7日くらいで、発熱や激しい腹痛、水溶性の下痢、血便、吐き気、嘔吐などの症状が現れます。特に抵抗力の弱い子どもや高齢者は、重い症状になりやすく、合併症を起こして死亡する例もあります。

 腸管出血性大腸菌による食中毒を防ぐためには、生肉や加熱が不十分な肉の料理は食べないことが重要です。肉や脂をつなぎ合わせた結着肉や挽肉、筋切りした肉、タレや軟化剤に漬け込んだ肉、牛や鶏のレバーなどの内臓などは、内部まで十分に加熱してから食べましょう。目安は、肉の内部の温度が75度で1分間加熱することです。


食中毒予防の3原則
1. 菌を付けない : 基本は、手洗いです
2. 菌を増やさない : 食品を購入後は速やかに食すか、冷蔵庫に入れます。
3. 菌をやっつける : 調理の際は十分に加熱をする。


手洗い



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心房細動に対する抗凝固療法について

(この記事は2012年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


北村先生 内科 医長 北村 亮治

 みなさんは心房細動ってご存知でしょうか? この心房細動は、心房自体から1分間に約350~600の頻度で不規則な電気信号が発生し、心房全体が細かくふるえ、心房のまとまった収縮と弛緩がなくなる不整脈のことです。心房細動にはいくつかのタイプ(詳細は省略)がありますが、加齢とともに発症しやすく現在は約80万人いると推定されます。この不整脈が何故良くないかと言えば、一つは心房収縮がなくなるために心臓のポンプとしての働きが(約20%程度)低下した結果、うっ血性心不全を合併しやすいことが挙げられます。もう一点は心房から心室への血液がスムーズに流れず、一部は心房の片隅(左心耳)でよどみを生じて血栓を形成しやすく、その血栓が血流に乗って脳梗塞などを発症しやすいことです。

心房細動 このため、心房細動はうっ血性心不全及び脳梗塞に対する予防が非常に重要となります。そこで今回は脳梗塞予防に対する薬物療法についてお話したいと思います。この薬物療法には抗血小板剤療法及び抗凝固療法がありますが、バイアスピリン等の抗血小板剤の脳梗塞予防効果は、抗凝固薬であるワーファリンに比べて弱く、効果がなかったとする報告すらあります。このことから特に禁忌がなければワーファリンを中心とした抗凝固療法が主流と考えられています。

 一般に70歳以上の心房細動の方では、ワーファリンを内服していないと脳梗塞の発症率4.8%/年と言われ、これがワーファリン内服により0.9%/年に改善されるという報告があります。しかし、ワーファリンによる出血の合併症対策として定期的に血液検査で効果の強さ(PT-INR)を測定する必要があり、その結果によって内服量を変えるというように煩雑な一面もあります。また、食事制限(納豆、クロレラ等のビタミンKを多く含む食物)もあるのが難点です。

 一方で、2011年3月より新規の抗凝固薬であるダビガトラン(商品名:プラザキサ)が発売されました。この薬剤はワーファリンと同等以上の予防効果を持ち、定期的に採血を行う必要もなく、かつ食事制限も不要、また内服中止にてすぐに薬効が消失するために外科手術が行いやすいというメリットがあります。(透析中の方は使用不可)しかし、デメリットとして1日2回の内服であること(2012年3月までは2週間処方)、ワーファリンに比べて薬価が高く、また出血以外の消化器症状の発生が比較的多いなどの点が挙げられます。このため、PT-INRの安定している方では、ダビガトランへの変更の利益はないとも言われています。いずれにしても大事なことは薬剤をしっかり内服することです。

 現在でも新たな抗凝固薬が開発中で、臨床試験も進行しています。今後も治療薬の選択肢が増えるのは良いことと考えますが、動悸などもなく無症状で放置されている心房細動の方もいますので、何かありましたらいつでも気軽に循環器科の医師に相談して下さい。


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