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(この記事は2007年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
薬剤科 三宅健文
慢性腎臓病が原因となる心血管病により、2015年までに世界で3600万人が死亡すると予想され、日本では成人の20人に1人以上(約500万人)が慢性腎臓病を患っていると予想されます。
クレアチニン値
血液中のクレアチニン値は腎機能を知る最も簡単な血液検査で、どの医療機関でも簡単に検査が可能で、多くの健康診断にも取り入られています。このクレアチニンとは筋肉からできる老廃物で腎臓の糸球体からこされて尿に排泄されます。したがって、腎臓の働き(腎機能) が低下すると血液中に蓄積し濃度が高くなります。
尿中に出てくるタンパク質(尿蛋白)
蛋白 (特にアルブミン) は腎臓が正常な場合にはほとんど尿には出てきません。このため慢性腎臓病 (特に糖尿病、高血圧、動脈硬化、慢性糸球体腎炎などが原因の場合) になると尿中にアルブミンが漏れ出るようになり、それが多くなると尿検査で蛋白が陽性になり治療が必要となります。ただし残念なことにこの尿中アルブミン検査が日本の健康保険で認められているのは糖尿病が原因となる慢性腎臓病のみです。尿中アルブミン検査は、高血圧や血尿だけが陽性の慢性糸球体腎炎の早期発見や治療効果の判定にとても有効なことが国際的に認められていますので、早く保険が適用になることが希望されます。
西陣病院では腎臓病教室を開催しています
腎臓病を患うすべての患者様とその家族に病気に対する正しい知識を身につけていただき、少しでも良い医療を受けられることを目的に開催しています。正しい知識は不要な不安を取り除くことができます。くわしくは、受付でお聞きください。
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(この記事は2007年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
西陣病院 院長 伊谷賢次
明けましておめでとうございます。
皆様には、さわやかな新春をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。また、昨年中、当院に賜りました数々のご厚情とご支援に対しまして、職員一同心より御礼申し上げます。
昨年は3度目の診療報酬のマイナス改定などで、医療を取り巻く環境はさらに厳しいものがありますが、当院の目指すべき目標は変わらず、設立当初からの基本方針である、地域に密着した良質な医療をさらに高いレベルで提供することにあります。また、良質な医療を提供するためには、さらにハード面、ソフト面とも充実させなければなりません。
ハード面では、昨年9月に、地上5階、地下2階の本館増改築の第一期工事が終了しました。地下1階には64列のマルチスライスCT(MDCT)、1.5TのMRIなどの最新機器に更新し、画像診断センターを開設しました。64列のMDCTにより鮮明な冠動脈が描出できるようになリ、画像はすべてデジタル化し、PET画像とCTやMM画像との融合画像化も容易になり、診断技術が向上しました。また、画像のデジタル管理により地域の診療所の先生方にはフィルムはもちろんCDでも画像をお渡しすることが可能となりました。予約も直通電話を設置し、より簡便に、より信頼して利用していただける画像診断センターを目指しますので、ご指導のほどよろしくお願いいたします。地上2階は当院の柱のひとつである透析センターのワンフロアー化に向けて、まず43床を設置しました。今年8月には115床の完全なワンフロアー化が完成しますので、透析患者さまにはもうしばらくご迷惑をおかけしますが、完成後はさらに安全で安心な透析医療を受けていただけるように努力していく所存です。地上3階から5階の病棟は1病床に8㎡を確保し(1病室4床)、患者さまのアメニティを向上させました。昨年9月以降にご入院された患者さまからホテルみたいに快適ですとのお言葉を頂き職員一同喜んでいます。アメニティだけでなく接遇や医療でもさらに高いレベルを目指しております。
ソフト面では、今後さらに診療体制を充実させ専門性の高い急性期病院を目指します。しかし、中高年層の多い地域密着型の病院ですので、合併症の多い患者さまが安心して安全で高度な医療を受けていただけるには各科医師の連携はもちろん看護師をはじめ、すべての医療スタッフのチームワークが必要です。職員全体が、患者さんを主体に考え、良質な医療を提供するためにスタッフ一人ひとりが役割と責任を自覚して努力していきます。本館増改築後には、ハード・ソフトともさらに良くなり、患者さんが安心して高度な医療を受けていただける病院にしたいと考えています。
患者さんや地域住民や開業医の先生方からのご意見を真撃に受け止めて、全職員が良質な医療を提供できるように努力していきますので、今年一年、さらなるご指導、ご鞭随をよろしくお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
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(この記事は2007年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)
西陣病院 青木 正
明けましておめでとうございます。
皆様にはさわやかに新しい年をお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。昨年はひとかたならぬご厚情とご支援を賜り誠にありがとうございます。どうか本年もよろしくお願いいたします。さて、当院の透析療法は昭和47年(1972年)7月31日に開始され、平成11年4月には当初の「透析室」から「透析センター」へ改組、35年の年月を重ね、今日に至っています。
主な業務は血液透析などの血液浄化療法の実施で、スタッフは泌尿器科医5名、看護師・准看護師、臨床工学技士、看護アシスタント、医療アシスタントで、日頃から内科、外科などの診療各科の専門医、栄養科、薬剤科、医療社会福祉課などの各部、各科(課)の協力を得て、チーム医療を大切に「よりよい透析」をめざし努力しています。
平成18年11月1日現在、導入期を含めた慢性透析患者さんの総数は354名で、糖尿病性腎症、長期透析、高齢の方々への対応が大きな課題となっています。しかし腎不全にかかる医療費は1兆円を超えているとのこと、平成18年4月に改定された診療報酬の内容は透析関連にも厳しく、慢性維持透析患者外来医学管理料や夜間加算及び休日加算の引き下げなどがあり「よりよい透析」を継続するための創意工夫が必要となります。病院は現在、新生・西陣病院へ向けて本館の増改築を進めていますが、新透析センターはよりよい治療環境を求め、本館2階すべてを透析専用とし、分散して手狭になった3フロアー88台を、生理検査室や食堂を併設した「ゆとりあるベッド間隔によるワンフロアー115台」に一新、新本館3階は総室の6人部屋を4人部屋へ、ADL低下症例用の病棟透析を4台から8台へ増床、持続緩徐式血液濾過や個室透析にも対応できる、腎不全を中心にした病棟として活用、センターと病棟を一体化し、導入透析や維持透析をはじめ多彩な病状に応じた各種血液浄化療法の可能な「500名の受け入れ体制」を予定、平成18年9月18日には新センター43台を仮オープンさせました。
亥年の初め、透析療法35年の節目にあたり、もう一度初心に戻り、病院の基本理念として掲げている人間としての尊厳を重んじた愛の精神で、最良かつ最適の「よりよい透析」を実施、皆様のご期待にお応えできればと思います。
皆様のご多幸をお祈りいたします。
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(この記事は2007年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです。森医師は転勤のため、現在西陣病院で外来診療はしておりません。ご了承ください))
泌尿器科 森 優
膀胱癌は、人種で見ると白人や黒人に多く、日本人には少ないと言えます。最近の日本人が1年間に膀胱癌にかかる率は人口10万人あたり約6人です。原因としては、尿中に排泄された化学物質が膀胱の粘膜に接して発癌させると考えられており、喫煙による膜胱癌の危険性は証明されております。年齢は45歳以上に多く、患者さんの平均年齢は60歳といわれています。症状としては、突然何の症状もなく血尿が出たり、頻尿、排泄時痛といった膀胱炎症状がなかなか改善しなかったりと言った事があげられます。
膀胱癌には①表在性、②浸潤性の2種類があります。
①は膀胱の内腔に向かい発育し、根が浅く筋層には達しないものです。比較的おとなしい癌が多いです。膀胱癌の70%から80%はこのタイプです。
②は膀胱壁の深部へ浸潤し筋層にまで達するものです。たちの悪い癌が多いです。
治療法
①の場合は経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)が適応になります。特殊な内視鏡を尿道から挿入し腫瘍を切除する方法です。しかし経過を追っていくと膀胱内の新たな部位に再発をすることがあり、再発率は単発性の場合は30から40%、多発性の場合は70から90%とされています。また表在性癌でも上皮内癌という粘膜内に存在するが、細胞の悪性度が高いタイプの場合はBCGの膀胱内注入が行われますが粘膜下層に浸潤している場合は、膀胱摘出が必要なことがあります。表在性癌でも再発を繰り返すうちに浸潤性癌になったり、転移を生じてくる場合がありますが、一般的には生命予後は良好です。
②の場合は基本的には膀胱全摘術が適応になります。膀胱を切除しますから尿を違う所から出すこと(尿路変更)が必要になります。以下の2通りの方法が主に行われています。
○回腸導管法:小腸を15Cm程遊離して、これの一方の断端を閉じるとともに尿管を縫いつけ一方の断端を皮膚に縫い付けるものです。歴史があり安定した手術ですが、お腹に袋を下げる(パウチ)必要があります。
〇代用膀胱造設術:小腸や大腸を60Cmほど遊離し腸管を開いて布状とし球形に縫い、これに尿を貯めるものです。この袋に尿道を縫いつけ、尿が溜まった時には自分で腹圧をかけて排尿します。手技は複雑で、合併症もありますが、ストーマがなく自排尿できる点で優れています。
ただし浸潤の程度が酷い場合(膜胱外にまで出ていたり、隣接臓器にまで浸潤している)又は転移を既に起こしている場合は、抗癌剤化学療法や放射線治療、膀胱全摘術を単独、又は併用して行います。
膀胱癌は早期発見、早期治療が膀胱温存又は生命予後の改善につながります。上述しましたような症状が出るようでしたら、怖がらずに泌尿器科を受診してください。
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