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植え込み型ループレコーダー「ILR」について

(この記事は2017年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


ILR
北村先生内科 副部長 北村 亮治



 みなさん、植え込み型ループレコーダーってご存知でしょうか? この医療機器は治療目的のペースメーカーと違い診断が目的ですが、大きさの関係もあってあまり普及していませんでした。それが最近ではかなり小さくなったこともあり紹介したいと思います。


 心臓は普段は1分間に60~70回の拍動を行い、1分間に約5~6リットルの血液を送り出しています。このポンプとしての機能は刺激伝導系と言われる心臓の電気系統の働きで全身に血液が供給されています。しかし、何かのきっかけでこの刺激伝導系にトラブルが発生すると心臓の脈拍が極端に低下(徐脈)したり、極端に上昇(頻脈)することがあります。この時の最も重大な症状は失神発作です。これは心臓からの血液の供給不足に対して最も敏感な器官は脳であるため、脳の活動が低下をして、目の前が暗くなって意識を失う状態です。

 日本では、毎年20万人の失神患者が病院に搬送されていると推定され、そのうち20~30%は従来の検査方法では診断できない原因不明失神とされています。

ILR 繰り返す失神発作に対して12誘導心電図やホルター心電図検査などいろいろな検査をしても原因がわからない場合には、心臓由来によるものかどうかを確認するために植込み型ループレコーダーの適応を考えます。これは長期間心臓の拍動を継続的に監視(約3年間)し、不整脈や失神などの症状が起きた時の心電図を記録する装置です。記録された心電図から、症状が起きた時に心臓の拍動に異常がなかったかを調べることができ、失神の原因診断に利用することができます。装置は左胸の皮膚の下に入れて使用します。手術時間としては10~15分程度で終了する簡単なものです。サイズが小さいこともあり植え込んだ後は見た目がほとんど目立たない利点があります。ペースメーカーと違って、万一感染しても簡単に摘出できるので、大きな問題になりにくいです。 手術の傷が回復したらいつも通りの生活をすることができます。他の心電図検査のように身体の表面に電極を貼る必要がなく、入浴もできます。 発作を捕まえて原因がわかったときは簡単に取り出せます。また、条件はありますがMRI 検査も可能です。

 失神発作の原因がわかればペースメーカーやカテーテルアブレーションなどの治療になっていきますが、原因がはっきりしない場合にはこのような比較的侵襲の少ない方法で経過を見ています。何かあれば循環器内科の医師もしくはかかりつけ医に相談して頂ければと思います。


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頚椎症性脊髄症について

(この記事は2017年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


北中先生整形外科 医長 北中 重行


 頚椎症性脊髄症とは、脊柱管を構成する骨性要素や椎間板、靭帯性要素などによって頚部の脊柱管や椎間孔が狭小となり、脊髄や神経根の絞扼性障害をきたして症状の発現した状態を言います。簡単に言うと、首における神経の通り道が狭くなり症状の発現した状態です。

北中先生
 頚部痛などは一般になにかあったとしても軽度で、手指あるいは足のしびれ感や知覚異常で発症することが多く、症状が進行するに従って、手指巧緻運動障害や歩行障害を認めます。

 手の症状としては、箸が使いにくい、ボタンかけがしにくい、書字がしにくい、つかんだ物をよく落とすなどが挙げられます。下肢症状としては、歩行時のふらつき、小さな段差でもつまずくことなどが挙げられます。

 また膀胱直腸障害が出現することもあり、男性では前立腺肥大症、前立腺炎など、女性では骨盤臓器脱や婦人科系疾患などが合併している可能性もあり、それぞれ泌尿器科、婦人科での受診も必要となることもありますが、頻尿、尿失禁、排尿遅延、尿流低下、残尿感、便秘などが挙げられます。

 治療法は、保存療法と手術療法に分かれます。保存療法では、薬物療法、装具療法、生活指導(洗濯の物干し、うがい、空を見上げるなどの頚椎が過度に後屈することを避ける)などが挙げられます。

 患者さんが手術を希望しない程度の軽症例において保存療法と手術療法の成績は3 年の経過で有意差はなく、重症例では手術療法群では良好に改善したのに対して、保存療法群では悪化傾向を認めたという根拠に基づいた報告や罹病期間(症状が出現してから手術までの期間)と術前の重症度は予後と相関するという、これも根拠に基づいた報告があります。

 要するに軽症例ではまず保存療法が第一選択となります。しかし、罹病期間が長く、術前の重症度が高い症例では、十分な改善が得られにくい傾向にあるため、日常生活に支障を来す場合や症状が進行性に悪化する場合はできるだけ早期の手術療法が必要になります。さらに、急速に進行する神経症状、筋力低下、膀胱直腸障害などは絶対的な早期の手術適応となります。

 近年の医療進歩とともに、高齢者(70歳以上)に対する手術も増加してきていますが、手術療法により各年代ともほぼ同等の手術成績が期待でき、高齢という理由だけで手術回避を強く勧める理由とはなりません。

 手術適応と判断された患者さんにおいて、罹病期間が長く、重症化すると、前述した通り、十分な改善を得られないことがありますので、適切な時期に手術療法を受けることが重要です。

 当科では、患者さんの意欲、意思を尊重し、保存療法、手術療法ともに積極的に行っておりますので、前述したような症状があれば、いつでもお気軽に御相談頂ければ幸いです。

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後発医薬品(ジェネリック)の使用促進

(この記事は2017年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


  薬剤部 医薬品情報室

 後発医薬品(ジェネリック)は、先発医薬品と治療学的(有効成分は同じ)に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に研究開発に要する費用が低く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっています。
 ジェネリックを普及させることは、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資するものです。
(厚生労働省HPより)

 ジェネリックと先発医薬品は、有効性や安全性に関して基本的に違いはありません。

 ジェネリックは、先発医薬品と異なる添加物を使用する場合がありますが、先発医薬品が販売後に添加物を変更する場合と同様に、添加物の違いによって有効性・安全性に違いが生じないことは確認されています。

 また、ジェネリックに使用されている添加物は、多くの先発医薬品にも使用されています。つまり、添加物が原因でアレルギー反応などの副作用等を引き起こすことは、先発医薬品であってもジェネリックであっても、同様に起こりうることです。

 西陣病院では、大学病院や日赤、市立病院などと同様に、全ての入院患者さんに対して、ジェネリックを使用しています。そのため、一部の薬剤を除き、先発医薬品の在庫がないため、患者さんの希望による先発医薬品への切り替えはできません。

 西陣病院は、外来においても、処方せんには、後発医薬品の商品名が記載されています。外来でのジェネリックに関する相談は、かかりつけ薬剤師もしくは普段利用されている薬局でお聞きください。入院時には、持参薬や入院中の薬を管理している『病棟担当薬剤師』にお尋ねください。

薬局でもらっている薬を医師が診察室で確認します。
受診時には、必ず「お薬手帳」を持ってきてください。


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日本列島 ”食” めぐり「大分県」

(この記事は2017年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



 栄養科 管理栄養士 安井 裕香


◆全国各地の特色ある料理や名物をご紹介していきます。

あつめし



~あつめし~
 あつめしとは、新鮮な魚の切身を、しょうゆ・みりん等の調味料に漬け込んでからいただく大分の郷土料理“りゅうきゅう”を白ご飯にのせた丼料理です。“りゅうきゅう”の名前の由来は、この調理法が“琉球”の漁師から伝わったためとも、ゴマを和える調理法である“利休和え(りきゅうあえ)”から名付けられたためとも言われているようです。

●あつめし


1人分:
エネルギー430kcal
塩分 1.2g
材料 (2人分)
  
作り方

(1) しょうゆ・みりん・酒を混ぜ合わせ、軽くひと煮立ちさせ、冷ます。
(2) 小ねぎは小口切りに切り、生姜は皮をむきすりおろす。
(3) (1)とたい(刺身用)と(2)の生姜を混ぜ、冷めた漬け汁へ30分程漬け込む。
(4) 盛り付け時に(2)のねぎと白ごまを混ぜる。
(5) (4)の具材を白飯の上にのせ、完成。
 たい(刺身)100g~150g
 小ねぎ2本程度
 白ごま小さじ1
 生姜適量
 白飯400g

漬け汁
醤油 大さじ1
みりん 大さじ1
 大さじ2
     ≪アレンジ例≫
(具 材)さば・ぶり・めじななど、旬の魚や好みの魚を利用
(調味料)お好みで、しょうが・わさび・にんにく・のり等の薬味をトッピング
(食べ方)出汁やお茶漬けにして食べる食べ方もあるようです

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新年のごあいさつ

(この記事は2017年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


伊谷先生 西陣病院 院長 伊谷 賢次

 明けましておめでとうございます。

 皆様には、さわやかな新春をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。また、昨年中、当院に賜りました数々のご厚情とご支援に対しまして、職員一同心より御礼申し上げます。

 昨年4月に熊本地震があり、被害にあわれた方々に心からお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復興を心より願っています。また、昨年6月にはイギリスでEU離脱派が勝利、11月にはアメリカ大統領選挙で「米国第一」をスローガンにしたトランプ氏が勝利し、世界中が大きな動揺と不安に直面し、日本の経済成長がさらに不透明なものとなりました。

 福祉医療においては、昨年4月に診療報酬改定が行われ、社会保障費抑制のため7対1看護の急性期病院のハードルがさらに高く設定されました。このような厳しい状況でも、当院の目指すべき目標は、設立当初からの基本方針である、「地域に密着した良質な医療を高いレベルで提供する」ことです。そのためには、ハード面、ソフト面ともさらに充実させなければなりません。

 ハード面では、昨年6月に消化器内視鏡室は地下1階のPET 検査室をリニューアルし、新しい消化器内視鏡センターとして稼働しました。内視鏡室は3室で、うち1室は内視鏡専用のX線TV室です。また、内視鏡機器は最新機種に更新し、特に下部消化管内視鏡はすべて拡大内視鏡が行え、生検を行わない、より安全で精度の高い画像診断が可能となりました。今後も良質な医療を提供するには、できるだけ最新の機器整備が必要であり、今後も計画的に医療機器の更新を行っていく予定です。

 ソフト面では、昨年4月より京都府立医科大学呼吸器内科学教室より専門医が常勤医として呼吸器疾患の診療を行っていますが、今後もさらに診療体制を充実させていきます。また、昨年3月より急性期1病棟を地域包括ケア病棟に転換しました。7対1の急性期病棟を維持しながら、地域包括ケア病棟でサブアキュート・ポストアキュート・レスパイトなど地域にあった医療を提供しています。今後も、一般急性期医療と透析医療を車の両輪と考え、2次医療圏で小回りの利くチーム医療を地域にアピールしながら急性期医療を行っていきます。

 今後も職員全体が患者さんを主体に考え、良質な医療を提供するためにスタッフ一人ひとりが役割と責任を自覚して努力していきますので、今年一年、さらなるご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。


平成二十九年 元旦


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