NEWEST / < NEXT   BACK >

手根管症候群について

(この記事は2014年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


整形外科 部長 牧之段 淳

 夜中や明け方手がしびれて目が覚めることはないでしょうか?進行すると1日中しびれ感が持続し、指の感覚が鈍くなり、さらにひどくなるとボタンをつけはずしたり、ペンを握ったり、物をつまんだりするなどの動作がしにくくなってしまいます。このような症状があれば手根管症候群かも知れません。

 手根管とは手首にあるトンネルのことを言います。このトンネルの中に指を曲げる屈筋腱ときし麺くらいの太さの神経(正中神経)が通っています。屈筋腱が腫れたりすると神経が圧迫され、小指以外の4 本の指にしびれ感が生じます。診断は上記の特徴的な症状があれば分かりやすいですが必ずしも夜中や明け方にしびれ感を伴うわけではありません。当院では神経伝導検査を行うことができますので本検査で診断のみならず重症度を判断することができます。治療については軽症ならビタミンB12などの内服による保存的治療、筋委縮を伴うようなら手術的治療になります。手根管症候群にかかられる方は腱鞘炎を伴うことも多く手指を酷使しないことが大切です。

 手術の場合、手掌を数cm切開して直接手根管を開放する方法と内視鏡を使って手根管を開放する方法の2 通りあります。当院では11年前から内視鏡を用いて手術しています。術後はすぐにしびれ感が消失することは少なく徐々に改善し1年もすれば多少指先にしびれが残存していてもほとんど気にならないとおっしゃる方が大多数です。





 思い当たる症状があれば整形外科受診をお勧めします。


◆鏡視下手根管開放術について

 当院では2003 年から今日まで300 件を超える鏡視下手根管開放術を行ってきました。当院の手根管症候群治療の最大の特徴は電気生理学的検査を行って重症度を評価し、術後も約1年間神経伝導検査を行い客観的に術後成績を評価していることです。今までの経験が蓄積されておりその結果に基づいた的確な説明を行っております。手術の約6 割は近隣の医療機関からの紹介によるもので、結果は随時紹介先にお知らせさせていただいています。手術は局所麻酔で行う日帰り手術で手術時間は約20 分です。患者様にはモニターで手術を見ていただくことも可能です(実際には見たくないとおっしゃられる方が多いですが)。抜糸は6日後です。


| Copyright 2014,03,01, Saturday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

そろそろお花見の季節ですね

(この記事は2014年3・4月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


薬剤部 薬剤師 須山 奈見子

 日本を代表する花と言えば、やっぱり「桜」ですよね。日本書紀にもその名が見える桜は、古くから私達日本人にとって、無くてはならない最も愛すべき花の一つです。実はこの桜にも薬効があるのをご存知ですか?

 最も広く知られているのは、咳止めです。桜の樹皮のエキスである桜皮エキス(ロウヒエキス)は、現在でも、咳止めに含まれています。

 桜皮は江戸時代には民間療法として様々に応用され、食中毒、蕁麻疹、腫れ物などの皮膚病の治療、また解熱、解毒、排膿、咳止めとして知られていました。また、葉に含まれるクマリン配糖体が分解されると芳香物質が生じますが、これが桜餅の独特の香りです。

 八重ザクラの花にも桜皮と同じ成分が含まれていて、お酒に漬けて飲用すると、のどの痛み、美容やリラックス効果があると言われています。

 最近スーパーなどで目にする“桜茶” は桜の花びらで作ってありますが、桜の花びらのクマリンという成分は、二日酔いにも良いとされています。

 桜の樹皮を煮出した桜湯には、湿疹、打ち身などの炎症を抑える働きがあります。花びらを一緒に浮かべれば風雅な春の趣も楽しめますね。


| Copyright 2014,03,01, Saturday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

「言語聴覚療法室」を開設しました。

(この記事は2014年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


リハビリテーション科 言語聴覚士 西村 豪文
 平成25 年7月より、リハビリテーション科に言語聴覚士が配属され、「コミュニケーション」や「食べること」に問題がある方の援助を行っています。
 「コミュニケーション」の問題は失語症、構音障害や、注意・記憶などさまざまな高次脳機能障害によって生じます。失語症とは、脳の言語領域の損傷により、「聴く・話す・読む・書く」という言葉の機能に障害が生じることです。失語症では、その方の重症度や失語症タイプ、年齢や職業など身体的・社会的背景にそった練習を、種々のドリルを用いて行います。構音障害とは、脳の病気や舌癌などにより、「声が出ない」「呂律がまわらない」など、話しにくくなることです。構音障害では症状に合わせて、発声器官の運動や、ドリルなどを使用しての発音の練習を行います。また、ゆっくり、大きく、区切って話すなど代償的な発話法も指導します。「コミュニケーション」の問題に対しては、障害された機能を可能な限り改善することと、機能の改善が難しい場合も、残された機能を生かすことで、コミュニケーション能力の改善を目指します。

 「食べること」の問題は、脳の病気や癌などにより、飲み込みが上手くできなくなることです。食べることは、単なる栄養補給だけでなく、生きる楽しみの一つであり、コミュニケーションとともに“生きがい”に関わる問題です。嚥下訓練(飲み込みの練習)では、飲み込みにかかわる器官(のどや口など)の体操、呼吸訓練、嚥下パターン訓練、食事指導(姿勢や食事形態の調整など安全に食事を摂取するための指導)を行います。また当科では、低周波刺激法、筋電図によるバイオフィードバック法(以下BF法)など新しい技法を積極的に取り入れています。嚥下訓練では“飲み込む運動” を改善することが目標ですが、うまく飲み込めているかどうかは、自分自身ではわかりにくいものです。BF法では、飲み込んだ時に、のどの筋肉から発せられる電流を皮膚上から記録し、モニター上で“飲み込む運動”の状態(強さ・持続時間など)をリアルタイムで見ていただきながら、嚥下訓練を行います。このBF法は、見えないものを、見えるようにする技法であり、日本では導入している施設はわずかですが、欧米においては信頼性の高い治療法として認知されています。

 先進の技術とチームワークで、地域の皆様が“生きがい” をもって暮らし続けられる、その一助になれればと考えております。


| Copyright 2014,01,01, Wednesday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

肺炎球菌ワクチンのはなし

(この記事は2014年1・2月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)


森本 卓志 薬剤部 院内感染予防委員 森本 卓志


 テレビコマーシャルや新聞広告で知っている方も多いと思いますが、厚生労働省の発表によると「肺炎」は悪性新生物(がん)、心疾患(心不全など)に次いで日本人の死因第3 位。しかも肺炎で亡くなる方の 95%以上が 65 歳以上だそうです。

 肺炎は細菌やウイルスなどが、からだに入り込んで起こる肺の炎症です。そして、日常でかかる肺炎の原因菌で最も多いのが、「肺炎球菌」とういう細菌です。「肺炎球菌」に対する免疫をつけるワクチンが肺炎球菌ワクチンです。

 現在、肺炎球菌感染症を予防するワクチンとしては、2歳以上で肺炎球菌疾患にかかるリスクが高い人および65歳以上の人を対象とした23価肺炎球菌多糖体ワクチンと、9歳以下の小児を対象とした13価肺炎球菌結合型ワクチンの2種類が発売されています。

 この23価肺炎球菌多糖体ワクチンは1回の接種で肺炎球菌の23種類の型に対して免疫をつけることができます。現在90種類以上の肺炎球菌の型が報告されていますが、この23種類の型で成人の肺炎球菌による感染症の80%以上がカバーできます。また、個人差はありますが、1回の接種で5年以上の効果が期待できます。

 ワクチン接種の副反応(期待される効果とは異なる作用)として、接種後に注射部位の腫れや、痛み、赤みなどがみられることや発熱や筋肉痛などがみられることがありますが、これらの反応は通常3日以内に自然に消失します。

 肺炎の予防には、うがい、手洗い、規則正しい生活などの日常的な感染予防が大切です。また、次のような方には成人用肺炎球菌ワクチンの接種が勧められています。
65歳以上の方
呼吸器に病気をお持ちの方(肺気腫(COPD)、喘息、結核感染後など)
糖尿病の方
慢性心不全、肝硬変などの肝臓病、免疫抑制剤による治療を受けている方

 西陣病院でも肺炎球菌ワクチン接種を行っています。ご希望の方は主治医にお尋ねください。


| Copyright 2014,01,01, Wednesday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

麻酔科術前診察外来を開設しました。

(この記事は2013年11・12月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』に掲載したものです)



麻酔科 部長 中川 博美


 近年、手術と麻酔の進歩により、高齢な方や重症な方でも手術を受ける機会が増えてきました。多くの皆様が何らかの全身疾患をお持ちですので、安全に手術を受けていただくためには手術が決まった時点から体調を整えていただき、手術や麻酔の準備を進める必要性が高まってきました。欧米では1990 年代半ばから、本邦でも大学病院を中心に2000 年代に入ってから麻酔科術前診察クリニックあるいは術前外来が開設され、ご入院前から麻酔管理の準備をはじめ周術期医療の安全に努めるようになりました。

 西陣病院でも2013 年5月に「麻酔科術前診察」を開設しました。麻酔専門医が麻酔管理に必要な問診を行い、日頃から常用されている薬を確認します。手術前には服用を中止する薬もありますので、受診の際には常用薬や「お薬手帳」をご持参ください。また、禁煙も確認しますので、ご理解とご協力をお願いいたします。次いで、簡単な診察と術前検査結果から重症度を評価し、手術と麻酔のリスクとともに麻酔管理法などを説明します。必要に応じて追加検査や特別な麻酔関連モニターを検討し、最善の状態で手術と麻酔を受けていただく準備を進めていきます。ご入院後には麻酔担当医が診察を行い、最終的な麻酔管理法を決定します。

 「麻酔科術前診察」は毎週月曜日の午前・午後(定期)と土曜日の午前(不定期)、完全予約制です。手術予定が決まり次第、該当科の医師が「麻酔科術前診察」を予約しご案内いたします。ご家族様からのご質問・ご要望にも喜んで対応いたしますので、どうぞ皆様ご一緒にご来院ください。

| Copyright 2013,11,01, Friday 12:00am administrator | comments (x) | trackback (x) |

 

NEWEST / PAGE TOP / < NEXT   BACK >

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACK


LINK

PROFILE

OTHER

POWERED BY

BLOGNPLUS(ぶろぐん+)